嘘と月

物語の始まり

剣豪

人間の中には稀に霊能力を持つ者がいる
目の前にいる透明人間もその類だ

サイレントなどと名付けられている透明人間は
正義のヒーローを気取り、私を殺しに来ている
 
「霊能力を持ったせいで背負う必要のない"自称責任"を背負ったってやつか」



…




サイレントは近頃自分の存在を感じ取ることができる能力者に会うことについて少し恐怖を感じていたが、自分の霊能力には自信があり
この剣豪を倒すことに恐れはなかった

サイレントが一歩剣豪に近づく

「確かに私は人を殺して来たけれどその復讐に君が出てくる必要はないんだ」

サイレントが一歩剣豪に近づく

「霊能力を持った限り活かしたくなるのはわかる」

サイレントが一歩剣豪に近づく

「だけど君も単なる人殺しってことは忘れないでね」

サイレントが一歩踏み出そうと右足を正面に出そうとしたとき、剣豪は言った。

「間合いだ」







…






サイレントは自分の能力であったはずの透明な体が、首が一瞬で切り飛ばされたことに
疑問を感じることもなく、その命を終えた