幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

第七章 ダンジョン探索テスト開始

8話・ランダムイベント

「ふぅ～ん、なるほどねぇ。幼き頃より想いをずっと寄せていた
幼馴染達だったのに、気づいたらいつの間にかイケメン陽キャラの
彼氏ができていたと？」

「は、はい......」

「そして自分以外の異性、特にイケメン陽キャラとイチャイチャして
いる幼馴染達を見たくないから、このエクトス学園に転校して来たと？」

「そうです......」

「で、幼馴染達の彼氏というイケメン陽キャラが、さっきのイケメンくんに
似ていたから、思いっきり拒絶反応が出てしまったと？」

「あはは......お恥ずかしいかぎりで」

「まぁでも、逃げたくなるのもしょうがありませんか......」

「そだね。ズット意識していた幼馴染達を、イケメンとはいえども、
そんなアッサリとぽっと出に取られたんじゃねぇ......」

俺は何でああまで陽キャラを拒絶するのか、

その説明...つまりはここ、エクトス学園に転校しくる経緯となった事情を、
サーシュ先輩、アンネ先輩、ミカリ先輩に話した。

すると、アンネ先輩とミカリ先輩が情けないなぁという顔をしつつも、
同情の言葉を掛けてくれた。

しかしサーシュ先輩は、

「ハァ...駄目駄目ですわね、平凡三下は！取られたというのでしたら、
そいつらからまた取り返してやるぜ！...という気概はなかったんですの？
昔から思いを馳せた、とても大事な幼馴染達だったのでしょう？」

俺の顔をジッと見据えながら、何故尻尾を巻いて逃げたんだと、納得の
いかない表情を見せて俺にそう問う。

なので俺は、

「......はは。正直そういう気持ちがなかったかといえば、嘘になります。
ですが二人とも幸せそうな表情をしていましたしねぇ。なので素直に敗けを
認めて、その身を引くしかなったんですよ。それに俺とあいつらとじゃ、
元々不釣り合いでしたから......」

苦笑いを浮かべつつ、自分なりのケジメと諦めをつけたとサーシュ先輩の
問いに答えを返す。

「そ、そうですか......」

そんな俺の真剣な表情を見て、サーシュ先輩が少し俯いて申し訳なかったと
いう顔を見せる。

「さ、さぁ、辛気くさい話はれくらいにしておいて、テストの続きを
再開しましょうかっ！」

そんなサーシュ先輩を元気にする為、俺は少し無理した笑顔を浮かべた後、
剣を手に取り、そしてダンジョンをスタタと駆けて行く。

「あ、お待ちなさいな、平凡三下！そんな駆けて行くと転びますわよ！
やれやれ...から元気は注意散漫の原因になるというのに......」


「どうやらザック君にとって、幼馴染関連の話はかなりナイーブを
突いちゃう事柄のようだね？」

「そうみたいだね。これはアンネさんの言う様に、今後はあんまり
幼馴染の事で後輩くんを揶揄わない様にしなきゃかな？」

「フン、だったら口に出さなきゃ良いですのに......それでしたら勘繰らる事も
ありませんのに......」

ザックの幼馴染達に対する煮え切らない態度に、サーシュが愚痴をこぼす。

「ザック君だって口にはしたくないんでしょうけど、でも言う気がなくとも、
ついつい口に出てちゃうんだよ。つまりそれだけ幼馴染の子達とは付き合いが
長いって事なんでしょうね......」

そんなサーシュの愚痴に、答える様にアンネがそう呟く。

「......さて、こんな所で長話をしていたらザック君に置いておかれますね。
それじゃ、サーシュちゃん、ミカリちゃん。ザック君の後を追い掛けますよ！」

「了解！」

「ええ！」

アンネの言葉にミカリとサーシュが頷くと、先に行ったザックに追い付く為、
三人が早足で駆けて行く。



それからザックパーティがしばらくの間、魔物を倒しながら、ダンジョンの
奥へ奥へと探索をしていると、



「......ん？何だろう？何かあそこに人だかりが出来ているみたいけど？」

少し奥に行った場所で、人がいっぱい集まっているのを発見する。

「あ！あれ見てよ。あの人だかりの前に部屋らしきものが何か見えますよ？」

「どれどれ...あ、本当だ。こんな中央に部屋って事は、どうやら『ランダム
イベント』が発生したようだね？」

アンネ先輩が人だかり近くにある部屋らしき物に指を差すと、ミカリ先輩が
その部屋の正体に気付く。