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閑話 三人の先輩達

14話・治らない天邪鬼

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「わ、わかった。ご、ごめんね、アンネちゃん……」

「.....あ」

アンネに露骨なまでに嫌な顔で拒否されてしまったザックは、
トボトボとした足取りで教室を静かに出て行った。

「......ふ」


ぐおおぉぉおぉぉおおお――――――っ!!


「またやってしまったぁぁぁああ~~~~っ!!!」

もう!何でなのよ、私ぃぃいっ!!

ただ普通の態度でさ、「何々、ザック?私に何かご用かな♪」...って、
言えばいいだけの事じゃんかぁぁぁあっ! 

それが何で言えないのかな、私よぉおぉぉおおっ!!

「嗚呼、ホントに忌々しい性格だよ、この天邪鬼はさぁぁぁあっ!!」

私はいつまで経っても治る気配がない、この天邪鬼な性格に対して苛立ち、
力強く机を何度もダンダンと叩きながら、叫声を荒らげ悶絶してしまう。

「......見てなさい!明日こそ、明日こそはちゃんと普通な態度をとって、
今度こそあいつと前みたいな仲良しさんに戻ってやるんだからっ!」



――この時の私はまだ気づいていなかった。


――そんな今度という未来など、もう二度とこないという事に。


――そして私は後悔する。


――この天邪鬼だけは決して起こしてはいけなかったという事に。


――この愚かな天邪鬼のせいで、私は未だに苦しみ続け、後悔の念の
毎日を過ごしているのだから。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「はぁ...また拒否されちゃったな......」

明日のアンネちゃんの誕生日を切っ掛けに、今度こそ仲直りしようと
思ったのに。

「......もうアンネちゃんとは仲良くなれないのかな?」

ザックが暗い表情で深く落ち込んでいると、少し離れた場所で談笑を
している声が耳に聞こえ入ってくる。

「なあ、あの噂って本当だと思うか?」

「あの噂?あの噂ってなんだよ?」

「ちょいと小耳に挟んだ情報なんだがよ。この学校近くにある西のダンジョン、
その最下層でさ、とあるレアアイテムがゲット出来るらしいんだわ!」

「...とあるレアアイテム?」

「ああ、そのレアアイテムってのがさ、何と!それさえあれば、どんな難関な
恋もたちまちに成就させてくれる...そんな噂があるんだよ!」

「ハア!?なんだよその眉唾物のアイテムはよ!?そんな噂、嘘に決まって
いるじゃん!」

「いやな、これがどうも噂じゃないらしいんだよ!」

「マ、マジでか!?」


「いやな、これがどうも噂じゃないらしいんだよ!」

「マ、マジでか!?」

「何でもな、この学園の昔の生徒がさ、そのレアアイテムを好きな相手に
贈って告白をしたところ、見事カップルになったんだってさ!しかもその
生徒だけじゃなく、他にも複数の生徒達がそのレアアイテムのおかげで
告白を成功させたっていう話らしいぜ!」

「ホ、ホントかよ......!?」

「ホントだって!翌々聞けば、この学校ではかなり昔から語り継がれている
伝説的なアイテムって話しらしいぞ!」

「ふ~ん、伝説的な...ねえ。でもおかしくないか?そんなアイテムがあるって
いうのなら、今そのアイテムを使って、告白する生徒が誰もいないって
いうのはさ?今までそんな噂も話も聞いた事ないだろ?」

「ああ...そ、そう言われれば確かに聞いた事ないな?大体あんな近くにある
ダンジョンなんだ。もしそんなレアなアイテムが本当に存在するって
いうんだったら、誰かがとっくの昔にゲットして告白をしているよな?」

「な、そうだろ?だけどさ、そのアイテムをゲットしたっていう噂も、
そのアイテムを使って告白をしたっていう話も聞いた事がないってのは、
そんなアイテムはないという証拠だなんじゃねえの?」

「う~ん。そう言われてしまうと、俺もそうだよなって感じになってきた。
でもさ、もしそんなアイテムがあったら、面白い.......あ!」


キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~~ン。


「おっと。そろそろ次の授業が始まる時間みたいだな?」

「おお。もうそんな時間なんだ?そんじゃ、そろそろ行こうか?」

学校に伝わる伝説のアイテムの談笑を終えた二人が、席を離れて廊下に
歩いて出て行った。

「......恋を成就させるアイテムか」

それさえあれば、アンネちゃんとまた仲良くなれるかも。

「その為だったら.....僕は......っ!」

ザックはさっきの生徒達の談笑に出てきた恋を成就させるという
レアアイテムをゲットしようと決意すると、西のダンジョンに向かう為の
準備に入る。
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