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第七章 ダンジョン探索テスト開始

7話・イケメン陽キャラ

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「...とまあ、そんなんだった俺が今じゃこんな感じなんですから、
アンネ先輩もミカリ先輩もその内、きっと慣れますよ♪」

俺は当時の自分の実体験を元に、アンネ先輩とミカリ先輩にさりげない
フォローを入れておく。

「うふふ、ありがとうね、ザック君!慰めてくれて♪」

「い、いいえ!そんな慰めるとか、大袈裟な事ではありま―――」

「でも、何か不愉快になったから、減点1っと......」

「......同じく」

「全く、あれほど幼馴染の事で惚けるなって言いましたのに......」

アンネ先輩のマイナスを皮切りに、ミカリ先輩とサーシュ先輩も
マイナスの評価を付けていく。

「ええぇええ!?またですかぁああぁぁぁっ!?っていうか、今のどこに
惚けの要素がありましたっけっ!?」

それを見た俺は、もう何度目かは分からない叫声を再び荒らげてしまう。

ぐぬぬぬ......

フォローを入れて、まさかマイナスを食らってしまうとはな。

しかしここで理不尽と抗議をしても、確実に言いくるめられるのは
目に見えている。

それに下手な突っ込みでも入れようものなら、更に減点を食らう可能性は
確実だろう。

「よし、次に進むか......」

そういう事で俺は抗議をする事をスパッと諦め、ダンジョンを進んで行く。


それから襲い掛かってくる魔物を倒しながら、ダンジョンを探索していると、


「ん!キミは!?おぉぉぉぉ~~~いっ!」

俺達のいる場所から少し離れた所で、こっちに向かって大きく手を振ってくる
人物がいた。

「やあ、ザックくん!キミもここまで来れたんだ!中々やるじゃないか♪」

「あ、え、えっと.....キミ、だ、誰だっけ?」

爽やか笑顔で俺に話しかけてくるイケメンに、戸惑いの表情で首を傾げていると、

「えええ!この間、自己紹介をし合ったよね!?ぼ、僕だよ、クウヤだよっ!
同じクラスメイトのっ!それなのに「誰だっけ?」はちょっと酷いと思うよ!?」

爽やかイケメンが、嘘でしょうという表情で、慌てる様に自分の名前を口にする。

「ああ、はいはい。思い出した!確か初日に会った、あの爽やか陽キャラかっ!」

俺はそうそうと、手のひらをポンと叩く。

「さ、爽やか陽キャラって...変な感じで覚えられているね......」

俺の覚え方に不満があるのか、爽やかイケメンこと、クウヤ君が苦笑を口から
こぼしている。

「コ、コホン....まぁいい。そ、それより、キミもパーティの探索テストを
受けていたんだね?大抵のクラスメイトは先輩との交渉が面倒だからと言い、
他の2つを選んでいたのに?」

「ソロもいいけどさ、ダンジョンの探検はパーティを組んでこそって
思ってる口なものでね!」

でもまぁ確かに、クウヤ君の言う様に交渉は厄介で面倒だったかな?

俺はそう呟くと自分のパーティメンバー、

特に面倒この上なかったサーシュ先輩をチラリと見る。

すると、

「......ん?平凡三下、わたくしに何か御用でしょうか?」

「い、いいえ!な、なんでもありませんですっ!」

サーシュ先輩が訝しむジト目でこちらを睨んでくるので、俺は慌てて
違う方向に顔をサッと向ける。

ふう...危ない、危ない。

しかし一瞬しか見ていないっていうのに、何て観察眼をしているんだよ、
サーシュ先輩は......。

俺が危機一髪だったと、額に掻いた汗を手で拭っていると、

「そうそう。そういえば、ザックくん。キミのポイントは今どんな
感じなんだい?」

クウヤ君がこんな事を聞いてきた。

「え、えと...お、俺は......」

「あ、ここまで来たんだ。悪い訳がないよねぇ、あはは~♪」

「うぐ!そ、そういうクウヤ君はどんな感じなんだい?」

「僕のポイントかい?ん~なんとか合格ラインは無事に越えてるって
感じかな?で、そっちの方はどうなんだい、ザック君?キミはどれ
くらいのポイントを稼いだの?ここまで来たって事は合格ラインには
もう届いているんだよね?」

「へ?お、俺!?俺は......その...あはは......ギリギリ...より...ちょっと
下な感じぃ......かな?」

「え!?ギ、ギリギリより下!?な、何で!ここまで来たっていう事は、
かなりの数の魔物を退治したんだよね?」

「そ、それは...な、内緒って事で。こっちも色々と事情ごとが
あったんだよって事は言っておくよ。じ、じゃあ、そういうだから、
お、俺はテストが終了する前に急いで合格ラインのポイントを
稼がなちゃいけないので、この辺で失礼させてもらうねっ!」

「......事情ごとか。分かった、キミに何があったのか、それはもう
聞かないでおく事にするよ。でもキミが合格出来るように祈っては
おくから頑張ってね、ザック君っ!」

「ありがとう、クウヤ君!」

俺はクウヤ君に軽く会釈をして手を振ると、ダンジョンの探索を
再開する。

「ねぇ、平凡三下。今の男子生徒......」

「あいつですか?あいつはさっきの会話通り、俺のクラスメイトですよ。
しかしあいつってば格好いいですよねぇ、しかも見たままの爽やかな
性格っぽいですし......」

サーシュ先輩がニヤニヤした表情で、爽やかイケメン野郎のクウヤ君の事を
聞いてくるので、俺は少し顔を曇らせた表情でサーシュ先輩にそう答える。

「あ!ひょっとしてサーシュ先輩。あいつに惚れちゃいましたか?」

「惚れてなんていませんっ!わ、わたくしが聞きたいのは、貴方の事ですわ!
貴方...あの生徒と会話をしている最中、見えない角度で露骨に嫌なそうな顔を
何度もしていましたよね?」

どうやらサーシュ先輩に「イケメン陽キャラよ、俺と関わんじゃねぇっ!」と
いう拒否反応をしっかりと見られていたようだ。

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