幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお

文字の大きさ
上 下
48 / 79
第六章 新たなる先輩達との出逢い

5話・ミカリ先輩の気配を察知しにくいその訳

しおりを挟む
アンネ先輩とサーシュ先輩と共に、ミカリ先輩の下に辿り着いた俺は、
直ぐ様、右手を前にサッと突き出し、そして頭を深々と下げると、

「どうか俺のパーティに入って下さいミカリ先輩!お願いしやあぁぁすっ!」

ミカリ先輩に、パーティメンバーへの参加を嘆願する。

「え?わ、わたし!?わたしをパーティに......ですか?」

「はい!」

そんな熱ある俺の嘆願に、ミカリ先輩がビックリしつつ、オロオロと
戸惑ってしまう。

「そ、それで返答はどっちでしょうか、ミカリ先輩?」

「....入る入らないの前に聞いても良いかな?何でキミはわたしの名前を
知っている......ああ、そういう事か。そこにいるアンネさんから
わたしの事を聞いたんだね?」

ザックの横にいるアンネに気付き、ミカリはなるほどと納得する。

「そしてアンネさんからわたしの事を聞いたキミは、知り合いだったら
交渉しやすいと思い、ここにやって来たというわけだ?」

「え?違いますよ?俺がミカリ先輩とパーティを組みたいと思ったのは、
アンネ先輩とほぼ同時でしたから!」

ミカリの言葉に対し、ザックは首を軽く横に何度か振って否定する。

「あら?そ、そうなの?それじゃ、そこにいるサーシュさんでしたっけ?
その人もそんな感じでお仲間に?」

「いいえ、サーシュ先輩の場合は少し違う感じですかね?サーシュ先輩は
俺からではなく、自ら望んで仲間になりたいと直談判してきたので」

「ち、ちょっとお待ちなさい、平凡三下!その言葉にはかなりの語弊が
ありますわっ!その言いぐさでは、まるでこのわたくしが貴方のパーティに
どうしても入りたいと直訴した感じに聞こえてしまうではないですかぁあっ!
い、言い直しなさいっ!あ、貴方の方がわたくしにど~~~しても仲間に
なって欲しかったと切望し、媚び諂って頼み込んだ、そう訂正し直すの
ですっ!!」

「ええぇぇ......」

面倒くさいなぁ。

でも言い直さないと、もっと面倒そうだな。

「ああ.....はいはい、そうですねぇ。サーシュ先輩の言う通りです。
俺からどうか仲間になって下さいと、お願いを、お誘いを、直訴を
致した次第であります!」

俺はやれやれと思いながらも、適当な感じでサーシュ先輩の言葉通りに
言い直す。

しかしそれがお気に召さなかったのか、

「おい!平凡三下!なんですか、そのあからさまな棒読みはぁぁあっ!?
なげやりにも程がございますでしょうがっ!もっと心を込め、もう一度
言い直しさないっ!誠意と心を込めてえぇぇぇえっ!!」

サーシュ先輩はプンプンと激モードで、俺に猛烈なる抗議してくる。

「まぁまぁ。落ち着きなって、サーシュちゃん。ザック君の交渉の邪魔を
しちゃ駄目でしょう!ほら。取り敢えず、ザック君から離れて離れて♪」

「――な!は、離しなさいな、アンネ!?はうぐぅう!?え、衿で首が
締まる.....!?ち、ちょっとアンネ!つ、強い!引っ張る力が強過ぎでは
ありませんかしらぁぁあ~~~っ!?」

これ以上は埒が開かないと踏んだアンネ先輩が、サーシュ先輩の首根っこを
グイッと軽く掴むと、そのままズルズルと引っ張り俺から離れて行った。

ナイスです、アンネ先輩!

では交渉の続きを、

「あはは...すいませんね、ミカリ先輩。少し話が脱線してしまいしたね!」

俺は苦笑いを浮かべながら頭を小さくペコッと下げ、ミカリ先輩に謝る。

「あはは。あのサーシュって子、噂通りの性格みたいだね♪でもそっか、
アンネさんからの助言じゃなかったんだ?助言じゃないとしたら、よく
わたしの事を見つける事が出来たわね、キミ?」

「――へ?そ、それってどういう意味でしょうか?」

ミカリ先輩の疑問に、俺が首を傾げてハテナ顔をしていると、

「えっとね。わたしって、いわゆる人見知りってやつでさ。だから初めての
人とはあんまり関わりたくないんだよ。そういう事もあって、わたし常時
≪認識阻害≫のスキルを発動させているんだ。けど、キミはそんなわたしを
見つけてしまった......つまりそういう事よ!」

ミカリ先輩がその疑問の答えを、教えてくれた。

「ああ~≪認識阻害≫のスキルですか!なるほど、だからミカリ先輩を
少しだけ認識しずらかったんですね!」

「いやいや、少しだけ認識しずらかったって済む話じゃないんだけど!?
何故なら、わたしの認識阻害のレベルは5で、キミみたいな一年生が
認識できる筈がないんだよ!」

ミカリ先輩が納得いかないという疑問顔をしているので、

「え、えっと...実は俺、その≪気配察知≫を習得しているんですよ」

俺はミカリ先輩の事をあっさり発見できた、その理由を口にする。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした

恋狸
青春
 特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。 しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?  さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?  主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!  小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。  カクヨムにて、月間3位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...