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第四章 ダンジョン探索テスト

2話・チャラい奴とは思われたくない

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「じゃ、何であんな凄い先輩達から告白なんて受けるのよ!?......あっ!?
ひ、ひょっとしてあなた、魅了や誘惑のスキル、もしくはその魔法系を
使ったんじゃっ!?」

「そ、それもないない!俺のスキルは普通の技ばっかだし、魔法に至っては
ひとつも習得していない駄目駄目ステータスの凡人さんだからっ!」

スズ先輩とルル先輩に惚れられた俺を、今度は猜疑心を含んだ怪しいぞと
いう、全開なるまなこで、フローラがジィィ~~ッと見てくるので、
俺はそれを全力で否定する。

大体、魅力系のレアスキルや魔法を習得していたら、サキナやニーナの
二人をあんなチャラ野郎に取られてなんていやしないっていうのっ!

いや...例え持っていたとしても絶対に使わないよ、

そんな卑怯なスキルや魔法なんて!

そんなもので得た好意なんぞ、所詮は紛い物の偽物だしね。

「スキルや魔法じゃないなら、な、何であの二人が一目惚れなんて
しちゃうのさぁっ!?」

「ふ...それは俺がカッコいいからじゃないかな♪」

「いやいや、それはないと思うわ、ザックは普通下の顔立ちだし♪」

「だね、ザックはどっち付かずの顔立ちかな?」

未だに認められるかという表情をしておるフローラに、俺が白い歯を
キラリと輝かせ、ニヒルなポーズを取りそう答えると、

フローラとエレアが冷淡な表情で首を左右に振ると、即座に否定の
言葉を返し、苦笑を口からこぼす。

「ちょっ!?即答で否定は流石にひっどいと思うですけどっ!?ったくさ、
魅力を使っただの、普通以下の顔立ちだの、好き放題言ってくれちゃった上、
顔の事まで馬鹿にしちゃってさ!もういいですよぉ~だっ!ふんだぁあっ!!」

エレアとフローラから散々小馬鹿にされた俺は、膨れっ面でプンプンと
怒りながら、学生寮へドカドカと足音を鳴らして帰って行く。

「あらら、怒らせちゃったかな?もうザック、そんなに拗ねないでよぉ~!
ちょっとしたジョークなんだからさぁ~♪」

「そうそう。それに男は顔だけじゃないよ、ザック♪」

プンプンと湯気を頭から出して先に帰って行くザックを、苦笑の笑みを
浮かべつつ追い掛けて行き、エレアとフローラが機嫌を治すフォローをする。

そんなフォローをザックに入れている最中、エレアが二人に気付かれないくらいの
か細い声で、

「しかしこれはマジで参った展開になっちゃったぞ.....。まさか初日からザックが
異性に告白を...しかも二人同時に受けるとは......」

ザックが女子先輩の二人から告白をされたというクラスの談笑を聞き、慌てて
その相手を見に行ってみれば、なんと超美人と可愛いルックス、更には学園の
人気者ときたもんだ。

それにフローラがさっき語った様に、能力値もずば抜けているときている。

ぐぬぬぬ......

お、己れぃぃぃいっ!

流石に初日でそんな凄い人達からというのは、予想外も良いところだよっ!

「これじゃ、わたしの計画がぁあ~!ザックとラブラブ恋人大作戦の計画に
思いっきり支障が出ちゃうじゃんか~っ!危うい大ピンチじゃんかぁぁあ~っ!」

エレアがザックの告白騒動に、納得がいかないと愚痴をこぼしていると、

「......ん?エレア、今なにか言った?」

「――へわ!?」

エレアの挙動不審に気付いたザックが、心配そうな表情でエレアを見てくる。

「ご、ごめん、聞こえちゃった?ち、ちょっと独り言をしていただけだから!」

「独り言?」

「う、うん。大した事のない独り言をね。だから気にしないでいいから!
あは、あっはは~~♪」

ザックに独りごとを気づかれてしまったエレアは、苦笑いをこぼして
それを誤魔化す。

そして、内心はテンパりながらも、

「そ、それよりもザックさんよ。そ、その先輩二人の告白に対してどうする
おつもりなんですかい?ああ~!も、もしかして、どちらともお付き合いを
しちゃう......とかですかなっ!?」

ザックに聞きたい事を……スズ先輩とルル先輩のとお付き合いはどうする
つもりなのか、それを茶を濁すいうな口調で問うてみる。

すると、

「いや、二人とは付き合わないよ」

ザックはキッパリと、どちらとも付き合わないという答えを返ってきた。

「へ!な、なんでよ??」

「そ、そうだよ!あんな素敵な先輩とお付き合い出来るっていうのに!?」

わたしの驚きにフローラも乗ってザックに問うと、

「はは、そうだよね。二人の言う通り、確かにスズ先輩もルル先輩も素敵だと
思うよ。でもさ、出会ったばかりの女性といきなりお付き合いを始め、恋人関係に
なれる程、俺はチャラ野郎じゃないからさ!だからスズ先輩とルル先輩には告白の
返事はもうちょっと待って欲しいって頼んだよっ」

ザックは少し俯きながら、何故二人からの告白を受けなかったのか、それを
淡々とした口調で語っていく。

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