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閑話 エレアの裏事情
1話・わたしがキミを大好きになった理由
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わたしの名前はエレア。
昔からわたしは男勝りな性格で、親からはいつも女らしくしろだの、
大人しくしていろだの、口を酸っぱくなる程に毎日言われていた。
そんなわたしだからか、男の子達からケンカも売られる事も多々あった。
だけども、そんな連中に負けるほどわたしは柔ではなかったので、
直ぐ様に返り討ちにしてボコボコにしていた。
しかしそんな事を繰り返していたある日、そう簡単には勝てない相手が
わたしにケンカを売ってきた。
そいつはわたしがいつも返り討ちにしていた、苛めっこの大将をしていた
奴で、他の苛めっこ連中より、力も魔力も強かった。
流石にそんな相手に女のわたしが勝てるはずもなく、一方的な苦戦を強いられ、
そして遂に苛めっこ大将がわたしにとどめと言わんばかりに拳を上に大きく
振り上げ、わたしの顔面を殴り掛かろうとしてきたその瞬間、
「おい、おい。流石にそれはどうかと思うぞ?」
「な、なんだ、てめえは!俺様の邪魔をするっていうなら、てめえも
こいつ同様、ぶっ殺し―――――あぎゃぁぁああぁっ!」
そんな声が聞こえ、苛めっこ大将の悲痛な叫声が辺りに響き渡った。
そして、
「ったく...女の顔を殴ろうなんて、男の風上にもおけない奴だよな......。
大丈夫だったかい、キミ?」
目をゆっくり開けたわたしの目の前には、さっきの苛めっこ大将にお怒り
ながら、殴られそうになった事で尻餅をついたわたしを起きあがらせる。
「は、はい、だ、大丈夫で...す」
「そっか、それなら良かった♪」
たどたどしい口調で返事を返したわたしに、その男の子は優しい顔をして
そう言った。
「う、うん、本当ありがとう。おかげで助かっ―――」
「ああ、いたぁ~。もう!いきなり走り出したかと思えば、そんな所に
いたのねぇ、ザック!」
「おっと、怖い幼馴染がお呼びのようだ。それじゃ、俺は行くね♪」
「え、ちょっと、待って!まだお礼を言ってい.........行っちゃった」
でも凄いな。わたしが全くかなわなかったこいつを、こんな目に
合わせちゃうなんて。
わたしは床に目をグルグル回して気絶している苛めっこの大将を見る。
「それにしてもさっきの男の子、優しい顔をしていたなぁ~~」
あ、あれ?あれれ??
か、顔が熱い?
い、いや、身体全身も火照っている??
それに、何なの?さっきから鳴り止まないこの胸に高鳴りは!?
さっきの男の子の事を思えば思う程、ドキドキが止まらない??
この感情をその時のわたしは知らなかった。
が、後に分かる。
――そう、
あの瞬間から、わたしはザック君の事を好きになっていた事に。
あの時のザック君をわたしは今でも忘れない。
現在進行形の今でも、わたしはザック君の事を大好きだからだ。
目を開けた時、わたしの目線に飛び込んできたザック君の顔...あのわたしを
助けるんだっていう誇りに満ちた顔。
そして助けてくれた後、大丈夫とわたしの手をギュッと優しく握り、
起き上がらせてくれた時のザック君の手の温もり。
あれを食らったら、落ちるに決まってるじゃん。
改めて思い出す度に、わたしの頬は紅に染まっていく。
「はぁ~もうホント、あの時のわたしってば、男勝りだった癖にさ、
チョロインと呼ばれても構わないくらいにデレちゃってたよねぇ......」
まぁ、しょうがないか。
だってあの頃、毎日読んでいた大好きだった絵本、その主人公みたい
だったんだもの。
惚れるなっていうのが無理だよ。
勿論、ザック君に告白をしたかった。
―――でもそれは出来なかった。
何故ならば、ザック君の側にはいつもいつも、あの完璧人間の幼馴染達が
いたからだ。
昔からわたしは男勝りな性格で、親からはいつも女らしくしろだの、
大人しくしていろだの、口を酸っぱくなる程に毎日言われていた。
そんなわたしだからか、男の子達からケンカも売られる事も多々あった。
だけども、そんな連中に負けるほどわたしは柔ではなかったので、
直ぐ様に返り討ちにしてボコボコにしていた。
しかしそんな事を繰り返していたある日、そう簡単には勝てない相手が
わたしにケンカを売ってきた。
そいつはわたしがいつも返り討ちにしていた、苛めっこの大将をしていた
奴で、他の苛めっこ連中より、力も魔力も強かった。
流石にそんな相手に女のわたしが勝てるはずもなく、一方的な苦戦を強いられ、
そして遂に苛めっこ大将がわたしにとどめと言わんばかりに拳を上に大きく
振り上げ、わたしの顔面を殴り掛かろうとしてきたその瞬間、
「おい、おい。流石にそれはどうかと思うぞ?」
「な、なんだ、てめえは!俺様の邪魔をするっていうなら、てめえも
こいつ同様、ぶっ殺し―――――あぎゃぁぁああぁっ!」
そんな声が聞こえ、苛めっこ大将の悲痛な叫声が辺りに響き渡った。
そして、
「ったく...女の顔を殴ろうなんて、男の風上にもおけない奴だよな......。
大丈夫だったかい、キミ?」
目をゆっくり開けたわたしの目の前には、さっきの苛めっこ大将にお怒り
ながら、殴られそうになった事で尻餅をついたわたしを起きあがらせる。
「は、はい、だ、大丈夫で...す」
「そっか、それなら良かった♪」
たどたどしい口調で返事を返したわたしに、その男の子は優しい顔をして
そう言った。
「う、うん、本当ありがとう。おかげで助かっ―――」
「ああ、いたぁ~。もう!いきなり走り出したかと思えば、そんな所に
いたのねぇ、ザック!」
「おっと、怖い幼馴染がお呼びのようだ。それじゃ、俺は行くね♪」
「え、ちょっと、待って!まだお礼を言ってい.........行っちゃった」
でも凄いな。わたしが全くかなわなかったこいつを、こんな目に
合わせちゃうなんて。
わたしは床に目をグルグル回して気絶している苛めっこの大将を見る。
「それにしてもさっきの男の子、優しい顔をしていたなぁ~~」
あ、あれ?あれれ??
か、顔が熱い?
い、いや、身体全身も火照っている??
それに、何なの?さっきから鳴り止まないこの胸に高鳴りは!?
さっきの男の子の事を思えば思う程、ドキドキが止まらない??
この感情をその時のわたしは知らなかった。
が、後に分かる。
――そう、
あの瞬間から、わたしはザック君の事を好きになっていた事に。
あの時のザック君をわたしは今でも忘れない。
現在進行形の今でも、わたしはザック君の事を大好きだからだ。
目を開けた時、わたしの目線に飛び込んできたザック君の顔...あのわたしを
助けるんだっていう誇りに満ちた顔。
そして助けてくれた後、大丈夫とわたしの手をギュッと優しく握り、
起き上がらせてくれた時のザック君の手の温もり。
あれを食らったら、落ちるに決まってるじゃん。
改めて思い出す度に、わたしの頬は紅に染まっていく。
「はぁ~もうホント、あの時のわたしってば、男勝りだった癖にさ、
チョロインと呼ばれても構わないくらいにデレちゃってたよねぇ......」
まぁ、しょうがないか。
だってあの頃、毎日読んでいた大好きだった絵本、その主人公みたい
だったんだもの。
惚れるなっていうのが無理だよ。
勿論、ザック君に告白をしたかった。
―――でもそれは出来なかった。
何故ならば、ザック君の側にはいつもいつも、あの完璧人間の幼馴染達が
いたからだ。
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