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第二章 新たな出会い
3話・俺の実力
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「ぐ、ぐのぉお~!う、動かねぇえ!?お、俺が...この俺が力...負けを
する...だとぉおぉぉ!?そ、そんなバカな事が――――グバガァ!!」
腕を捻った後、俺はお留守になっている足に向かって、少し強めの
ローキックを食らわせ、酔っぱらいを地面に叩きつける。
「き、貴様!よ、よくも俺様の相棒を~!ゆ、許さ―――ハギャン!?」
地面に叩きつけれた自分の相棒を見たもうひとりの酔っぱらいが、怒りを
露にしてナイフで斬り掛かってくるので、俺はそれをひょいといった感じで
身を躱し、相手の腕をグッと掴むと、その反動を利用して力いっぱいに
酔っぱらいを背負い投げで投げ飛ばす。
「ふう...やれやれ。結局、関わってしまったな......」
しかしこの状況、昔を思い出すぜ。
サキナとニーナを好きな連中から四六時中、恋人と勘違いをされては、
様々なちょっかいや嫌がらせを受けていたからな。
そういう訳で、平凡な力しか持っていない俺とはいえども、自ずとケンカには
慣れちまうってもんさ。
その度、二人が「やるじゃん、ザック!」とか「あいつらしつこくてな、
ホント格好良かったぞ、ザック!」とか言って、俺に抱きついてきてたっけ?
―――ぐはっ!?
く、くそ......こ、こいつらのせいで、せっかく忘れようとしている幼馴染達を
また思い出してしまったじゃないかっ!
俺が地面で気絶しているふたりの酔っぱらいを見ながら、悪態と嘆息を
こぼしてしまう。
そんな俺の下に、
「あ、あの大丈夫ですかぁ~~!」
ナンパをされて困っていた少女が、慌てるようにして俺の下にバタバタと
足音を立てながら近づいてきた。
「ああ、大丈夫だよ。ちょっと軽く腕を打ったくらいで、後はそこまでの
怪我はしていないから」
俺は怪我をしている箇所をパンパンと叩いて、相手を安心させる。
「いやいや!腕から血が出ているじゃないですか!?す、すいません!
本当にすいませんでしたっ!わたしが周りを見ていなかったせいで
そんなケガを負わせてしまってっ!」
俺の怪我した箇所から予想外な量で血が出ている事に、少女の顔がみるみる
真っ青になっていくと、何度も何度も頭を深く下げてペコペコと平謝りをして
きて、お詫びの言葉を口にする。
「いやいいや、そ、そんなに謝らないでいいから!さっきも言ったけどさ、
ホ、ホントにそこまでの怪我じゃないからさ、ねぇ!こんなん、最初だけ
だからさっ!」
俺はそう言いながら、腕の血を持っていた布でゴシゴシと拭っていく。
「で、でもぉ......」
――はう!?
マ、マジでそんな顔で、こっちを見んといてぇぇえっ!
それ以上そんな顔で謝られてしまうと、キミを見捨てて行こうとした
俺の精神が良心の呵責に苛まれて再起不能になっちゃうからぁぁあっ!!
心の中でそう悲痛な叫声を荒らげ、顔を両腕で隠そうとしたその瞬間、
腕に嵌めていた時計針の指している時間に目が止まる。
「だぁぁああ!?そ、そうだったぁあああっ!?こんな所でまごまごしている
場合じゃなかった!は、早く馬車乗り場に行かないと馬車が出発してしまうっ!」
俺の目に映った時計の指す時間は、王都に向かう馬車が出発する時間に
迫っていた。
「......ば、馬車?はあぁう~!?そそ、そうでした!このままじゃ、馬車に
乗り遅れちゃう~!?あ、朝の馬車に乗らないと王都に着かないのにぃ~っ!」
「......え?お、王都??も、もしかして、キミも朝の王都に向かう馬車に
乗る予定なの?」
「あ、はい!...という事は、そちら様もそうなんですか?」
「ま、まぁね。取り敢えず、その話は後にしておいて、今は馬車乗り場まで
急いで走ろうか!本当に馬車に乗り遅れてしまうからさっ!」
「そ、そうですね!」
俺と少女はそう言い合うと、急ぎ馬車乗り場に駆けて行く。
それから数十分後。
「ふう...何とか間に合ったな......ゼェゼェ」
「は、はい......ハァハァ」
俺と少女は何とか、馬車が去る前に馬車乗り場に辿り着いた。
「ふう......そ、それでキミは王都には何の用で行くんだい?」
「わたしですか?えっと、わたしは王都にある『エクトス学園』に
向かう予定です!」
「え!キ、キミもエクトス学園に?」
「も、もしかしてあなたもエクスト学園に行く予定ですか!?」
「う、うん。そ、そっか、キミもエクトス学園にねぇ......。こんな奇遇も
あるんだね?あはは♪」
「うふふ、ですねぇ~♪」
同じ目的地だと知った俺と少女は、満面の笑みでクスクスとお互いに
笑い合う。
する...だとぉおぉぉ!?そ、そんなバカな事が――――グバガァ!!」
腕を捻った後、俺はお留守になっている足に向かって、少し強めの
ローキックを食らわせ、酔っぱらいを地面に叩きつける。
「き、貴様!よ、よくも俺様の相棒を~!ゆ、許さ―――ハギャン!?」
地面に叩きつけれた自分の相棒を見たもうひとりの酔っぱらいが、怒りを
露にしてナイフで斬り掛かってくるので、俺はそれをひょいといった感じで
身を躱し、相手の腕をグッと掴むと、その反動を利用して力いっぱいに
酔っぱらいを背負い投げで投げ飛ばす。
「ふう...やれやれ。結局、関わってしまったな......」
しかしこの状況、昔を思い出すぜ。
サキナとニーナを好きな連中から四六時中、恋人と勘違いをされては、
様々なちょっかいや嫌がらせを受けていたからな。
そういう訳で、平凡な力しか持っていない俺とはいえども、自ずとケンカには
慣れちまうってもんさ。
その度、二人が「やるじゃん、ザック!」とか「あいつらしつこくてな、
ホント格好良かったぞ、ザック!」とか言って、俺に抱きついてきてたっけ?
―――ぐはっ!?
く、くそ......こ、こいつらのせいで、せっかく忘れようとしている幼馴染達を
また思い出してしまったじゃないかっ!
俺が地面で気絶しているふたりの酔っぱらいを見ながら、悪態と嘆息を
こぼしてしまう。
そんな俺の下に、
「あ、あの大丈夫ですかぁ~~!」
ナンパをされて困っていた少女が、慌てるようにして俺の下にバタバタと
足音を立てながら近づいてきた。
「ああ、大丈夫だよ。ちょっと軽く腕を打ったくらいで、後はそこまでの
怪我はしていないから」
俺は怪我をしている箇所をパンパンと叩いて、相手を安心させる。
「いやいや!腕から血が出ているじゃないですか!?す、すいません!
本当にすいませんでしたっ!わたしが周りを見ていなかったせいで
そんなケガを負わせてしまってっ!」
俺の怪我した箇所から予想外な量で血が出ている事に、少女の顔がみるみる
真っ青になっていくと、何度も何度も頭を深く下げてペコペコと平謝りをして
きて、お詫びの言葉を口にする。
「いやいいや、そ、そんなに謝らないでいいから!さっきも言ったけどさ、
ホ、ホントにそこまでの怪我じゃないからさ、ねぇ!こんなん、最初だけ
だからさっ!」
俺はそう言いながら、腕の血を持っていた布でゴシゴシと拭っていく。
「で、でもぉ......」
――はう!?
マ、マジでそんな顔で、こっちを見んといてぇぇえっ!
それ以上そんな顔で謝られてしまうと、キミを見捨てて行こうとした
俺の精神が良心の呵責に苛まれて再起不能になっちゃうからぁぁあっ!!
心の中でそう悲痛な叫声を荒らげ、顔を両腕で隠そうとしたその瞬間、
腕に嵌めていた時計針の指している時間に目が止まる。
「だぁぁああ!?そ、そうだったぁあああっ!?こんな所でまごまごしている
場合じゃなかった!は、早く馬車乗り場に行かないと馬車が出発してしまうっ!」
俺の目に映った時計の指す時間は、王都に向かう馬車が出発する時間に
迫っていた。
「......ば、馬車?はあぁう~!?そそ、そうでした!このままじゃ、馬車に
乗り遅れちゃう~!?あ、朝の馬車に乗らないと王都に着かないのにぃ~っ!」
「......え?お、王都??も、もしかして、キミも朝の王都に向かう馬車に
乗る予定なの?」
「あ、はい!...という事は、そちら様もそうなんですか?」
「ま、まぁね。取り敢えず、その話は後にしておいて、今は馬車乗り場まで
急いで走ろうか!本当に馬車に乗り遅れてしまうからさっ!」
「そ、そうですね!」
俺と少女はそう言い合うと、急ぎ馬車乗り場に駆けて行く。
それから数十分後。
「ふう...何とか間に合ったな......ゼェゼェ」
「は、はい......ハァハァ」
俺と少女は何とか、馬車が去る前に馬車乗り場に辿り着いた。
「ふう......そ、それでキミは王都には何の用で行くんだい?」
「わたしですか?えっと、わたしは王都にある『エクトス学園』に
向かう予定です!」
「え!キ、キミもエクトス学園に?」
「も、もしかしてあなたもエクスト学園に行く予定ですか!?」
「う、うん。そ、そっか、キミもエクトス学園にねぇ......。こんな奇遇も
あるんだね?あはは♪」
「うふふ、ですねぇ~♪」
同じ目的地だと知った俺と少女は、満面の笑みでクスクスとお互いに
笑い合う。
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