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第一章 転校
3話・幼馴染を取られたと知った次の日
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―――幼馴染の二人から衝撃発言をされてしまった次の日の朝。
「でねぇ、でねぇ~。ロード君ったさぁ~剣捌きがまた凄くてさぁ~♪」
「へぇ...そうなんだ」
俺は耳にも脳にも入れたくない幼馴染のノロケ話を聞かされながら、
学園に登校していた。
ハァ...憂鬱だな。
「ロード君も凄いんだけどさ、ロード君の相棒を務めている...あ、
この相棒は昨日話したロード君の親友のルカ君の事なんだけどさ、
これまた魔法の腕が物凄く凄いんだよ~!ねぇ~、ニーナ♪」
「......ん、あれは中々に素晴らしい魔法。ボクでもあれを真似るのは
中々至難......それくらいキレイな魔法だった......」
サキナの言葉に、ニーナが頬を赤くして、コクンと頷く。
「ふぅ~ん、そうなんだ...」
ハァ...答えるの面倒だな。
「...て!ちょっと、ザック!人の話をちゃんと聞いている?」
「え!あ、ああ...聞いてるよ、キミらの彼氏が凄いって話だろ?」
「そうそう!でね、でね、この間のロードと闘った相手がさ......」
俺の気のない相づちを気にもせず、サキナは更に彼氏の武勇伝の
続きをし始める。
ハァ...ロード、ロードって、ホント耳障りだな。
何で聞きたくもない、こいつらの彼氏自慢を聞かなきゃいけないんだよ!
ハァ...ホンッット、面倒くさいなっ!
聞けば聞く程、心にヘイトがドンドン溜まっていく俺だったが、しかし
サキナはそれに全く気づくことなく、学園に到着するまで間、ずっと
彼氏自慢を話し続け、その度に俺は深い嘆息を口からこぼしていく。
「あれ?もう学園に着いたんだ?むぅ~。まだ全然話し足りないのにぃ~!」
まだまだ彼氏自慢をしたかったのか、サキナはガッカリした表情を浮かべる。
「ちぇ~しょうがない。この話の続きは次の機会にするとしますかね♪
おっと、そうだ!ザック、今日の放課後、私とニーナはちょっと用事が
あるから、私達を待たずにひとりで帰っていいからねぇ♪」
「お、おう、分かった」
ふう、た、助かったぁあ。
下校の時もこいつらの彼氏自慢を聞かされたら、今度こそ確実に俺の心が
天に召されてしまうわっ!
「そういう事だから、じゃねぇ~ザック♪行こ、ニーナ!」
「......ん。それじゃね、ザック。また明日」
サキナとニーナがそう言うと、学園に駆け足で去って行く。
「くそ......何が「そういう事だから」...だよっ!こっちの気も知らずに
あんな屈託のないキラキラした笑顔を見せやがってえぇえ~~っ!」
でも放課後に用事って、やっぱ、放課後デートだよな......
「あああぁ、もぉぉぉおお、ちくしょうおぉぉぉぉおおおっ!」
俺は溜りに溜まった鬱憤を、全て吐き出すかの様に心の底から
叫んだ。
ゼェ...ゼェ...ゼェ...ゼェ...
「.........行くか」
そしてその後、肩をガクッと落とし、意気消沈しながら自分の教室へ
トボトボと移動して行く。
「お!ザック!おはようさぁ~ん♪」
教室の中に入ると、俺に向かって親友のアイッシュが、気さくな
口調で朝の挨拶をしてくる。
「あ、ああ...お、おはよう......」
だがまだ元気が回復していない俺は、気のない返事で挨拶を返す。
「なんだ、なんだ?どうしたんだ、ザック?全然元気がないじゃ
ねぇか?あ、もしかしてサキナちゃん達と喧嘩でもしたのか?」
「うぐ!?」
「その表情...どうやら図星の様だな!」
「ず、図星じゃねぇよ!別にあいつらとは喧嘩なんてしてないし!」
「じゃあ、何で落ち込んでんだよ?さっきのお前の表情を見るに、
サキナちゃん達絡みで間違いな―――――ハッ!まま、まさかお前!
つ、遂に知ってしまったのか!?サキナちゃん達に男が出来たって
いう事実をっ!?」
「―――なっ!?なな、何でお前がそれを知っているんだぁあっ!?」
俺が何故だと驚愕していると、
「知ってるも何も、あれだけの美男美女だぞ。そいつらが楽しくワイワイと
談笑していれば、誰の目にも止まるってもんだ。その証拠に俺もあいつらの
イチャ付きをこの目で見ちゃったしな!」
「マジでか...」
それを聞いた俺はこの時ほど、自分の鈍感さを怨んだ事はなかった。
「でねぇ、でねぇ~。ロード君ったさぁ~剣捌きがまた凄くてさぁ~♪」
「へぇ...そうなんだ」
俺は耳にも脳にも入れたくない幼馴染のノロケ話を聞かされながら、
学園に登校していた。
ハァ...憂鬱だな。
「ロード君も凄いんだけどさ、ロード君の相棒を務めている...あ、
この相棒は昨日話したロード君の親友のルカ君の事なんだけどさ、
これまた魔法の腕が物凄く凄いんだよ~!ねぇ~、ニーナ♪」
「......ん、あれは中々に素晴らしい魔法。ボクでもあれを真似るのは
中々至難......それくらいキレイな魔法だった......」
サキナの言葉に、ニーナが頬を赤くして、コクンと頷く。
「ふぅ~ん、そうなんだ...」
ハァ...答えるの面倒だな。
「...て!ちょっと、ザック!人の話をちゃんと聞いている?」
「え!あ、ああ...聞いてるよ、キミらの彼氏が凄いって話だろ?」
「そうそう!でね、でね、この間のロードと闘った相手がさ......」
俺の気のない相づちを気にもせず、サキナは更に彼氏の武勇伝の
続きをし始める。
ハァ...ロード、ロードって、ホント耳障りだな。
何で聞きたくもない、こいつらの彼氏自慢を聞かなきゃいけないんだよ!
ハァ...ホンッット、面倒くさいなっ!
聞けば聞く程、心にヘイトがドンドン溜まっていく俺だったが、しかし
サキナはそれに全く気づくことなく、学園に到着するまで間、ずっと
彼氏自慢を話し続け、その度に俺は深い嘆息を口からこぼしていく。
「あれ?もう学園に着いたんだ?むぅ~。まだ全然話し足りないのにぃ~!」
まだまだ彼氏自慢をしたかったのか、サキナはガッカリした表情を浮かべる。
「ちぇ~しょうがない。この話の続きは次の機会にするとしますかね♪
おっと、そうだ!ザック、今日の放課後、私とニーナはちょっと用事が
あるから、私達を待たずにひとりで帰っていいからねぇ♪」
「お、おう、分かった」
ふう、た、助かったぁあ。
下校の時もこいつらの彼氏自慢を聞かされたら、今度こそ確実に俺の心が
天に召されてしまうわっ!
「そういう事だから、じゃねぇ~ザック♪行こ、ニーナ!」
「......ん。それじゃね、ザック。また明日」
サキナとニーナがそう言うと、学園に駆け足で去って行く。
「くそ......何が「そういう事だから」...だよっ!こっちの気も知らずに
あんな屈託のないキラキラした笑顔を見せやがってえぇえ~~っ!」
でも放課後に用事って、やっぱ、放課後デートだよな......
「あああぁ、もぉぉぉおお、ちくしょうおぉぉぉぉおおおっ!」
俺は溜りに溜まった鬱憤を、全て吐き出すかの様に心の底から
叫んだ。
ゼェ...ゼェ...ゼェ...ゼェ...
「.........行くか」
そしてその後、肩をガクッと落とし、意気消沈しながら自分の教室へ
トボトボと移動して行く。
「お!ザック!おはようさぁ~ん♪」
教室の中に入ると、俺に向かって親友のアイッシュが、気さくな
口調で朝の挨拶をしてくる。
「あ、ああ...お、おはよう......」
だがまだ元気が回復していない俺は、気のない返事で挨拶を返す。
「なんだ、なんだ?どうしたんだ、ザック?全然元気がないじゃ
ねぇか?あ、もしかしてサキナちゃん達と喧嘩でもしたのか?」
「うぐ!?」
「その表情...どうやら図星の様だな!」
「ず、図星じゃねぇよ!別にあいつらとは喧嘩なんてしてないし!」
「じゃあ、何で落ち込んでんだよ?さっきのお前の表情を見るに、
サキナちゃん達絡みで間違いな―――――ハッ!まま、まさかお前!
つ、遂に知ってしまったのか!?サキナちゃん達に男が出来たって
いう事実をっ!?」
「―――なっ!?なな、何でお前がそれを知っているんだぁあっ!?」
俺が何故だと驚愕していると、
「知ってるも何も、あれだけの美男美女だぞ。そいつらが楽しくワイワイと
談笑していれば、誰の目にも止まるってもんだ。その証拠に俺もあいつらの
イチャ付きをこの目で見ちゃったしな!」
「マジでか...」
それを聞いた俺はこの時ほど、自分の鈍感さを怨んだ事はなかった。
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