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第一章 転校
1話・幼馴染達の告白 その1
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―――俺には二人の幼馴染がいる。
幼馴染達の名前はサキナとニーナと言い、
お隣さん同士の関係だ。
サキナはさらさらした髪をポニーテールに纏め、日焼けの似合う天真
爛漫な可愛い系の女の子で、性格は明るく元気っこ。
そしてもうひとりの幼馴染ニーナといい、ふんわりしたボブショートの
似合う、清楚で可憐な顔立ちの美人系で、性格はサキナとは真逆で大人しい。
また人が困っていると放って置けない性格の持ち主で、更に人付き合いも
人当たりも良いので、周囲からの人気も当然高く、常に注目の的である。
そんな誰もが羨む、可愛くて綺麗とされる異性達と、
―――嬉しい時も
―――悲しい時も
―――楽しい時も
―――辛い時も
生まれた時からいつも一緒に時を過ごすともなると、そりゃ鈍感な俺とて、
流石に二人を意識するってものだ。
イヤ、するってどころの話ではないな。
だからいつの日にか、このどちらかの幼馴染に恋に落ちて告白をし、
そしていつまでも末永く付き合っていくんだろうなぁと、朧気ながらも
そう思っていた。
もしそうなってしまった時には、恋人関係となった幼馴染と一緒に、
もう一人の幼馴染へ
「ゴメン、こいつとは恋人関係になったんだ」
...と、申し訳ない表情をして謝りに行くんだろうなぁと思ったりも。
ふふふ。何様だよな、あの頃の俺ってさ。
―――でも、
そう...こんな自惚れ全開なる勘違いは、幼少期までで終わる事となる。
時が経つにつれて、俺と幼馴染二人との差は顔立ちだけではなく、
戦闘に必要な能力、技や魔法の力も圧倒的スピードでドンドンと
離されて行き、ふと気づけば、俺と幼馴染達との能力の違いは
火を見るより明らかなくらいに雲泥の差となっていた。
―――無論、それを甘んじても、軽んじてもいない。
俺は頑張って頑張って、頑張り抜いて二人との差を埋めるべく、血の滲む様な
努力で技や魔法の研磨や鍛練を繰り返し、特訓の日々に明け暮れていた。
―――だが。
努力すればするほど、特訓すればするほど、俺はあいつらとの才能の差を...
あいつら幼馴染の異常なまでの成長力...エリートなる才能の差を見せつけら
れる結果だけしか残らなかった。
そう...いくら努力しても、いくら特訓を繰り返そうとも、あいつらとの
差はまったく縮まらないと否応なしにも分かってしまうだけだった。
そりゃ、馬鹿でも気づくだろう。
俺が頑張って、頑張って、頑張り抜いて、やっと能力値を1上げると、
あいつらはあっさりと3も4も能力値を上げてくるのだから。
そんな事を繰り返していく内に、俺のやる気は完璧に消えてなくなって
しまい、幼馴染二人に追い付こうなんて気概も気持ちも、すっかり無く
なってしまった。
それから数年後。
俺はもう幼馴染の二人とは競おうとも追い付こうとは考えはせず、
お気楽気分で時を過ごしていた。
距離を置けば、自尊心をなくさないで済むんだろうが、悲しいかな、
こいつらとの腐れ縁を切る事に未練があるらしく、俺はこいつらと
離れる事が出来ないでいた。
――そして、
そんな未練がましくも続いた腐れ縁の長さが、丁度十六年に達した
今年の春。
俺達の関係が、一瞬で崩れる出来事が起こる。
それはいつもの様に幼馴染二人と、学園への道を歩いていた時だった。
「あ!そうだった!ザックにもこの嬉しい報告をしなきゃいけなかった!
コホン...実は私ね。ロード君とお付き合いする事と相成りました♪」
「――――へ!?」
幼馴染の口から信じられない......
本当に耳を疑う様な言葉を突然と告げられしまう。
幼馴染達の名前はサキナとニーナと言い、
お隣さん同士の関係だ。
サキナはさらさらした髪をポニーテールに纏め、日焼けの似合う天真
爛漫な可愛い系の女の子で、性格は明るく元気っこ。
そしてもうひとりの幼馴染ニーナといい、ふんわりしたボブショートの
似合う、清楚で可憐な顔立ちの美人系で、性格はサキナとは真逆で大人しい。
また人が困っていると放って置けない性格の持ち主で、更に人付き合いも
人当たりも良いので、周囲からの人気も当然高く、常に注目の的である。
そんな誰もが羨む、可愛くて綺麗とされる異性達と、
―――嬉しい時も
―――悲しい時も
―――楽しい時も
―――辛い時も
生まれた時からいつも一緒に時を過ごすともなると、そりゃ鈍感な俺とて、
流石に二人を意識するってものだ。
イヤ、するってどころの話ではないな。
だからいつの日にか、このどちらかの幼馴染に恋に落ちて告白をし、
そしていつまでも末永く付き合っていくんだろうなぁと、朧気ながらも
そう思っていた。
もしそうなってしまった時には、恋人関係となった幼馴染と一緒に、
もう一人の幼馴染へ
「ゴメン、こいつとは恋人関係になったんだ」
...と、申し訳ない表情をして謝りに行くんだろうなぁと思ったりも。
ふふふ。何様だよな、あの頃の俺ってさ。
―――でも、
そう...こんな自惚れ全開なる勘違いは、幼少期までで終わる事となる。
時が経つにつれて、俺と幼馴染二人との差は顔立ちだけではなく、
戦闘に必要な能力、技や魔法の力も圧倒的スピードでドンドンと
離されて行き、ふと気づけば、俺と幼馴染達との能力の違いは
火を見るより明らかなくらいに雲泥の差となっていた。
―――無論、それを甘んじても、軽んじてもいない。
俺は頑張って頑張って、頑張り抜いて二人との差を埋めるべく、血の滲む様な
努力で技や魔法の研磨や鍛練を繰り返し、特訓の日々に明け暮れていた。
―――だが。
努力すればするほど、特訓すればするほど、俺はあいつらとの才能の差を...
あいつら幼馴染の異常なまでの成長力...エリートなる才能の差を見せつけら
れる結果だけしか残らなかった。
そう...いくら努力しても、いくら特訓を繰り返そうとも、あいつらとの
差はまったく縮まらないと否応なしにも分かってしまうだけだった。
そりゃ、馬鹿でも気づくだろう。
俺が頑張って、頑張って、頑張り抜いて、やっと能力値を1上げると、
あいつらはあっさりと3も4も能力値を上げてくるのだから。
そんな事を繰り返していく内に、俺のやる気は完璧に消えてなくなって
しまい、幼馴染二人に追い付こうなんて気概も気持ちも、すっかり無く
なってしまった。
それから数年後。
俺はもう幼馴染の二人とは競おうとも追い付こうとは考えはせず、
お気楽気分で時を過ごしていた。
距離を置けば、自尊心をなくさないで済むんだろうが、悲しいかな、
こいつらとの腐れ縁を切る事に未練があるらしく、俺はこいつらと
離れる事が出来ないでいた。
――そして、
そんな未練がましくも続いた腐れ縁の長さが、丁度十六年に達した
今年の春。
俺達の関係が、一瞬で崩れる出来事が起こる。
それはいつもの様に幼馴染二人と、学園への道を歩いていた時だった。
「あ!そうだった!ザックにもこの嬉しい報告をしなきゃいけなかった!
コホン...実は私ね。ロード君とお付き合いする事と相成りました♪」
「――――へ!?」
幼馴染の口から信じられない......
本当に耳を疑う様な言葉を突然と告げられしまう。
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