124 / 130
六章 おっさん、初めてのクエスト
第百二十四話・あれも駄目!これも駄目ってさぁっ!
しおりを挟む「くふふ♪どう?中々の良いアイディアでしょ?そのオッパイお化けならさ、
奴隷商人達にも分のある言い値で買ってくれると思うんだ♪」
「い、いや。いやいや...さ、流石に借金奴隷はやり過ぎなんじゃねぇか!?
なぁ、サオリナ。お、お前もそう思うよなっ!」
「え、ええ、そうですね!借金奴隷に落ちてしまいますと、規約上受付嬢に
復帰する事ができなくなってしまいますから......」
ドヤ顔で述べるルコールの意見に対し、ギルマスとサオリナが慌てた
表情と苦笑をこぼし、全力でルコールの意見に待ったをかけてくる。
「はあぁぁ...ったく!もう、なんなのさ!斬首も駄目!借金奴隷も
駄目ってさぁ!犯罪者の片棒を担いでいた分際で、ちょいとばっかし、我儘が
過ぎやしませんかねぇっ!」
そんなギルマスやサオリナの言い分にルコールが嘆息を深く吐くと、椅子から
バッと立ち上がって呆れ口調でそう述べ終わった後、ギルマスとサオリナを
ジロリと睨む。
「う、うぐ......お、おい、レンヤ!お、お前はどうなんだよ?お、お前も
ルコールと同意見なのか?違うよな!違うと言ってくれぇぇっ!」
「ち、違うと言って下さい、レンヤ様っ!」
ルコールの少しだけ正論の入った愚痴に対し、思いっきり動揺している
ギルマスとサオリナが、救いの手を求めるような目線でレンヤに顔を勢い
良くバッと向けると、激おこ中のルコールに、
「俺はお前の意見には反対だぞっ!」
そう言えと言わんばかりの形相でこっちを二人が見てくる。
なので俺は、
「あ、ああ。うん、そ、そうだなぁ...お、俺もギルマスとサオリナさんが
言う様に、ランカさんの借金奴隷落ちには、ちと反対...かな?」
俺はニガ笑いを浮かべつつ、ルコールの意見に反対しておく。
「ほ、ほぉれ、見ろ!レンヤの奴もランカの奴隷落ちには反対だと言って
いるんだ!だ、だからよ、ルコール。ランカを借金奴隷落ちにするっていう
アイディアは却下!それでいいよなっ!」
「い、いいですよね、ルコール様!」
「ハァ、やれやれ~。その方が面倒もなく話が終わるっていうのにさぁ~。
ホォンット、レンヤはお人好しだよねぇ......」
みんなに諭され、ルコールが嘆息と呆れ口調をこぼして肩を竦めると、
さっき座っていた椅子に再び腰をゆっくりと落とす。
そして椅子に座ったルコールは、背もたれに身体を預けるように寄り
かかって足を組むと、
「でもさぁ~現実問題、どうするつもりなのよ?そこのオッパイお化けの
足りないお金の件はさぁ~?」
ジト目でジィィーッとギルマスを睨みながらそう問う。
「うぐぅ!そ、それは.........そうだな。責任って言うんだったら、
俺もここの最高責任者なんだ。俺も何かしらの責を取らないといけねぇか。
よし!こうなったら、可愛い部下の為だ!俺の大事なヘソクリの全財産、
金貨二十枚を全てランカの詫び金に寄付してやろうじゃないかっ!」
ギルマスは頭をポリポリ掻いて、意を決めた表情に変わると、ギルマスは
自分のヘソクリをランカのお詫び金に寄付してやると告げる。
「駄目ですよ、ギルマス!そのヘソクリはコツコツと頑張って貯めて
いたじゃないですか!それを――」
だがランカは、ギルマスがそのヘソクリを地道に地道に貯めていた事を
知ってたので、慌てて辞退を口にしようとするが、
「二言を言わせるな、ランカ。可愛い部下の為に使うんだ。何を勿体なく
思うものか!」
しかしギルドは手を前にバッと突き出すと、ランカの言葉をとめる。
「ギ、ギルマス!ありがとう...ございま...すっ!」
そんなギルマスの心意気に、ランカは感嘆の表情を見せてギルマスに深々と
頭を下げると、瞳に溜まった涙が頬を流れて落ちていく。
27
お気に入りに追加
143
あなたにおすすめの小説
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる