121 / 130
六章 おっさん、初めてのクエスト
第百二十一話・お前がドラゴンだというのは内緒!これ絶対な!
しおりを挟む「さぁてっと...レンヤの紹介も済んだみたいだし、次はあたしの紹介の
番だねっ!」
ルコールが椅子からバッと立ち上がる。
「ウッホォンッ!あたしの名はルコール...ルコール・アジョッキンッ!
種族は聞いて驚き、絶叫しろ!そして尊敬の念を込めて膝まづき、頭を
垂れるのだっ!そう...あたしの種族はこの地を畏怖で轟かせるは最上位種ッ!
その名も誇り高きドラ――」
ルコールはムーホ達の前にビシッと人差し指を突き出してニヤリと口角を
上げると、自分が偉大なるドラゴンだという事を大々的に告げようとする。
そんなルコールを見た瞬間、レンヤの脳裏に...
い、いかんっ!?
こいつがドラゴンだという事を内緒にしておかないと、確実に余計な
面倒ごとに巻き込まれるっ!?
...という直感がピキンッと迸り、
「ス、ストォォォォップ!その紹介、少し待てぇぇぇぇええっ!!」
「――へっ!?ち、ちょっと、レンヤ!?いきな―――ゴォニャ!?
ガニャ!!?ムニャニャッ!??」
レンヤは慌てる様に自分の両手をルコールの口に向かって素早く持っていき、
ルコールの口元を強引に覆い隠す。
「モガモガ......ぷっはあぁぁっ!?もう、いきなり何すんのさ、レンヤッ!
そんな力で口を抑え込まれたら、息ができなくて苦しいでしょうがっ!!」
「おっと、スマン。慌てていたから、つい手に力が入ってしまった!
そ、それよりもだ!」
プンプンと怒ってくるルコールに俺は軽く謝罪し、口元を覆っていた両手を
ルコールの口からソッと退かすと、顔をルコールの耳元に近づけて
小さな声でこう呟く...
「お前がドラゴンって事は絶対にバラさないようにしてくれ!」
「何でよ?」
「お前の正体がバレたら、多分...いいや、確実の百パーセントで
碌な事にならないのが目に見えてくる!だ、だからお前がドラゴン
だっていうのは、絶対の絶っっ対に内緒だぞっ!いいなっ!!」
「オッケー!わかった♪」
「ホ、ホントか?何か、納得がとても軽いんだけど?」
「うふふ、大丈夫大丈夫。わかってるってば、レンヤ!それだけ何度も
念を押すって事はさ、あたしがドラゴンっていう事をバラせっていう
フリなんでしょ♪」
「わかってねぇじゃねぇかぁぁぁあっ!バラすなっ!この言葉通りの
意味だっ!いいか、これは冗談でもフリでも決してないからなぁあっ!
いいな!絶対の絶対の絶っっっ対に、な・い・しょ・だからなぁぁあっ!
分かったなぁぁぁああっ!!」
悪びれない表情で冗談を抜かしてくるルコールに、俺は目を大きく見開き、
真剣な表情で絶対にバラすんじゃないという忠告を釘刺し終えると、
ルコールから離れていく。
「え、えっと、そ、その...どうしたんですか、レンヤさん?い、いきなり
コソコソと内緒話をして?」
「あ!?も、もしかしてわたし達、何かレンヤさんに対して気に障る事でも
言ってしまったんでしょうか?」
目の前でいきなり内緒話を始めるレンヤ達を見て、ムーホ達がレンヤを
怒らせるような事を言ってしまったんじゃという動揺の表情で見てくる。
「ああ。スマン、スマン。別にキミ達がどうだこうだという事じゃないんだ。
ただちょっと、こいつに相談したい事があったのをふと思い出してな!」
そんな動揺で不安がっているムーホ達二人に、レンヤはそう伝え安心させる。
「ゴッホンッ!お互いの自己紹介も無事に終わったみたいだし、取り敢えず
反れてしまった話を元に戻すぞ。ではレンヤ、改めてお前に聞く。どうする?
こいつの...ランカの処遇をよ?」
軽く咳払いをしてギルマスが自分に注目を集めると、改めてランカの罰の
有無をどうするのか、それをレンヤに問うてくる。
31
お気に入りに追加
143
あなたにおすすめの小説
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる