おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお

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六章 おっさん、初めてのクエスト

第百十三話・ズキンの青年三人組の最後

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「はぁあっ!?いい、いつの間に俺の後ろに移動し――――ホゲエッ!!」

不意に肩を叩かれ、慌てざまに後ろへと振り向いた黒いズキンの青年の頬に、
レンヤは力を込めたビンタを思いっきり食らわせた。

「あが...あが、がぁぁ...がが......ぁ」

「こいつはオマケだ......」

頬を思いっきり引っ叩かれ、意識を朦朧とさせている黒いズキンをかぶった
青年に、レンヤがトドメと言わんばかりにギフト技の『気合い』を発動させて
攻撃力をドンドン上げていく。

そして再び『瞬歩』を発動して大地を静かにパンッと蹴り上げると、レンヤは
相手の懐まで一気に接近し、

「......取っとっけっ!」

「――ぶほっ!!?」

スクリューの如く回転する拳を下から上へと振り上げて、黒いズキンを
かぶった青年のみぞおちに叩き込んだ!

「いぎゃい...ああ...いだい...あ......あが...が...ぁぁ......がぁ......ぐはぁ!?」

みぞうちに走るあまりの激痛に、黒いズキンの青年は吐く様に痛声を
荒らげ、ヨタヨタと後退して行った後、両の瞳が白目へと変わり、
口から大量の泡をブクブクと吹き出す。

そして黒いズキンの青年が大きな音を立てて、その場にバタンと
崩れ落ちた。

「あわわっ!?な、なな、何だよ、あの動きはぁああ!?う、嘘だろ!?
あのおっさんもめちゃくちゃ強えじゃねえかよぉぉおっ!?」

レンヤの見せる圧倒的な強さに驚愕した黄色いズキンの青年が、身体を
ブルブルと震わせる。

「油断大敵だぞ、そこの黄色いの♪」

「ハッ!し、しま―――」

レンヤの強さに恐怖し、集中が欠けてしまった黄色いズキンの青年の
真正面にルコールが素早く移動して近づく。

そして、

「はい、王手♪」

「―――ガハァ!!」

ルコールがニカッと笑って八重歯を光らせると、黄色いズキンの青年の
首後ろ辺りに手刀をトンッと打ちつけた。

「ぐぬぬ...む、無念...ラン...カ、さ......ん...」

ルコールの手刀を食らい、意識が薄れ遠のいていく最中(さなか)、黄色いの
ズキンの青年はブツブツと細い声で何かを呟いた後、意識を真っ白に
変えて気絶する。

「ふう......これで戦闘は終わりって事でいいのかな?」

ひと息ついたルコールが両の手をパンパンと叩き払うと、
「残党はもういないよね?」と言いつつ、周囲にまだズキンの青年
三人組の仲間が潜んでいないかどうか、気を巡らせて探ってみる。

「ふむ、殺気らしき気はどこにも感じないか?どうやらこいつら
ズキン組とあの森の茂みに潜んでいた連中以外に残党らしき者は
誰も残ってないみたいだねぇ♪」

「そうみたいだな。俺も軽く辺りを見渡して見たけど、こいつらの
仲間から追撃がくるような気配はなさそうだ!」

レンヤも残党が残ってないか、反撃がどこからかこないか、辺り一面を
キョロキョロと凝視で見渡すが、何もこないと確認した。

「そんじゃ。黒ズキンと黄色ズキンのそいつらをリタイの町の衛兵に
突き出しちゃえば、取り敢えず万事は解決だね♪」

「あとそれから、お前の蹴りを食らってぶっ飛ばされた、あそこで
気絶しているあいつも回収しておかなきゃな!」

レンヤが先程ルコールの回し蹴りでふっ飛んでいった青いズキンの
青年に目線を移す。

でもあいつ、生きてる......のか?

ルコールからぶっ飛ばされ、未だに動かない体勢で地面に転がっている
青いズキンの青年の生死を確認する為、レンヤが冷や汗を掻きつつ、
近づいて行く。

「............どれどれ」

お!

今、ちょっと肩が動いた!?

あの蹴りを食らって生きているとは...

「...お前、悪運が強いんだな......」

青いズキンの青年の生存を確認したレンヤは、黒と黄色のズキンの青年達の
いる場所に、青いズキンの青年を引きずって行くと、アイテムボックスから
取り出したロープで、三人をグルグル巻きの素巻き状態にするのだった。

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