おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお

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六章 おっさん、初めてのクエスト

第百九話・ズキンの青年三人組、動揺する

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「......安心ねぇ?『殺気』をそんなに剥き出しにしているのにか?」

「「「――――――なっ!!?」」」

俺は取り敢えず、奥の森に待機しているだろう、こいつらの仲間には
気づいていないフリをしつつも、様子見を含めたお前らの殺気には
気づいているぞという牽制をかけてみた。

すると案の定、誰が見ても分かるくらいのレベルで、ズキンをかぶった
青年三人が動揺と慌てる姿を見せてくる。

「おぐ!?ほほう...しょ、初心者冒険者なのに、よくそれに気づいたな。
だ、だがよ、こ、これは別におっさんへ向けた殺気じゃねぇんだよ!」

「そう、そう!先程魔物から襲われてしまってよ、つい殺気立っている
だけなんだよ!な、そうだよな!」

「あ、ああ!こいつの言う通りだ!魔物からやっとこさ逃げた直後だから、
その...まだ殺気が抑えきれてないんだよ...あは、あはは♪」

俺から図星を突かれたズキンをかぶった青年三人は、ズキンで顔が
隠れているのにも関わらず、それでもハッキリと分かるくらいの
パニクった姿を見せ、必死の言い訳と誤魔化しを繋げていく。

「ほう、魔物にねぇ......なぁ、若者よ。ひとつ聞いてもいいか?」

「お、おう、何だ?な、何でも聞いてくれよ、おっさん!」

「うむ。それじゃ、ひとつ聞くが...なんで俺達が『初心者冒険者』だと
分かった?特に俺はどこをどう見ても、見た目だけは年季の入りきった
おっさんグラだと思うんだが?」

とっくにバレているのにと俺は心の中で思いつつも、ズキンをかぶった
青年三人に顔を向けると、思わず吹き出しそうな気持ちをグッと堪えて、
次のこいつらの牽制ポイントをつついてみた。

すると、

「はぐぅ!?そ、それは――」

この突つつきが余程正論だったのか、目の前にいる黒いズキンの
青年がその表情でバレバレなんだけど...と言わんばかりに目を見開き、
言葉を詰まらせる。

「そそ、それはな!そう、こ、こう見えても、俺達はそこそこの冒険者だ!
だ、だからよ、ひと目見りゃ、お、おっさんが初めてですよってのが、
何となくわかんだよ!なぁ、ロング!」

「あ、ああ!そいつの言う通り、俺達には雰囲気でわかるんだよ!そう!
ふ、雰囲気でな!うん、うんっ!」

黒いズキンの青年の失態を右側にいた青いズキンの青年...ロングと
呼ばれた青年が、苦笑を混ぜて必死にフォローすると、それに
合わせる様に、黒いズキンの青年が何度も頭を縦にブンブンと振る。

「と、とにかく、俺達の頼みを聞いてくれませんか?どうかお願い
しますっ!」

レンヤに正論をつつかれてあたふたしている黒と青のズキン青年
二人の少し後ろ方にいた黄色いズキンをかぶった青年が強引に
押し退けると、低姿勢な言葉使いでレンヤに頭をペコッと下げて、
改めて頼み事をしてくる。


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