おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお

文字の大きさ
上 下
102 / 130
六章 おっさん、初めてのクエスト

第百二話・受付嬢達、羨ましがる

しおりを挟む

「ちょ!?ラ、ランカ!?」

ランカの述べた言葉が図星だったのか、

サオリナは見た目でも分かるくらいの動揺を見せてうろたえる。

「ちち、違うんですよ、レンヤ様!それは――」

そしてサオリナが慌てながら、その言い訳をしようとするが、
それを遮る様に、

「ギルド外での冒険者同士のいざこざってさ、基本的にギルドは
不介入なんだ。けどさ、流石に何の罰則も無しじゃギルドの信用に
キズがついちゃうじゃない?だからさ、ギルドは不介入だけど、
担当者の受付孃には連帯責任っていうのが発動するの。その連帯責任の
形がお詫び金なんだよ。そういう訳があるからさ、それをレンヤさんが
受け取ってくれないと、あいつらの担当受付孃であるサオリナが
ギルドから注意を受けてしまい、その結果、サオリナの受付嬢ランク
ポイントが下がっちゃうのよ!」

ランカがお詫び金...つまりレンヤが金貨を受け取ってくれないと、
連帯責任でサオリナの受付嬢ランクポイントが下がるんだという説明を
詳しくしてくる。

「へ、へぇ~そ、そうなんだ......」

受付嬢ランクポイントか。

そういえば、ミュミュ達の説明の中にも、そんなランク制度があるとか
言っていたっけ。

「そういう訳だからさ、そのお詫び金は貰ってくれた方がサオリナに
取っては逆に嬉しい事なんだよ。だからさ、レンヤさんも悪気を感じずに
それを素直に受け取ってあげてよ♪」

「お、お願いしますレンヤ様!ランカの言う様に、そのお詫び金を
受け取ってもらう事で、このいざこざを許してもらえると...その...
こ、こちらとしても大変ありがたいです......あはは」

サオリナがレンヤを上目遣いでチラッと見て、バツが悪そうな表情で
お詫び金を受け取ってくれと嘆願してくる。

「......まぁ確かに、酔っ払いの絡みからくる延長戦程度の出来事で、
サオリナさんが罰則を食らうのは流石に忍びないか。はい、分かりました!
ではこのお詫び金を貰う事にて、あいつらを許すとしましょうか♪」

俺はニコッと微笑みを浮かべつつ、サオリナさんの謝罪を受け入れ、
お詫び金を懐にしまい込んだ。

「あ、ありがとうございます、レンヤ様!」

俺がお詫び金を受け取ってくれたのを確認したサオリナさんが、
満面な笑顔を浮かべて深々と頭を下げると、俺に感謝の意を表す。

「しっかし、手痛い失敗をしちゃったよねぇ!まさか、レンヤさんが
ここまでできるおじ様だったなんてさぁ......」

「ええ。ギルドで指名手配していた強盗犯を掴まえてくるし、ドラゴンの
素材は持ってくるし...加入していきなりこれだけの成果を上げるだなんて、
ミュミュがホント羨ましいですよっ!」

「そ、そっかなぁ。いや~それほどでもないと思うんだが、デヘヘ......」

いや~こんなべっぴんさん達から絶賛の褒め言葉を貰える事なんて、
俺の人生の中でそんな事、タダの一度もなかったから、頬のやつが緩みを
抑えきれませんなぁ♪

「いやいやホント、サオリナの言う通りだよねぇ~。今すぐにでも
レンヤさんを引き抜きたいとこだけどさ、残念ながらそれはギルドじゃ
御法度なんだよねぇ~。ハァ、もう本当失敗したぁ~っ!」

へぇ、ギルドでは冒険者の引き抜きって出来ないルールなんだ?

でも考えてみたら、それが許されてしまうと良い冒険者が一ヶ所に
偏り過ぎるだろうし...うん、それは賢明なルールかな。

「あ!そうそう、そう言えば!レンヤ様の持ち込んだドラゴンの素材の件で
ミュミュの受付嬢ランクが上がるのは決定らしいよ!更にドラゴンの素材が
良い値で売れたらさ、ミュミュの手元にも結構な額が入るんだって!」

「ドラゴンの素材の十パーセントをかぁ...はあ、もうホンマジでミュミュが
羨ましいぃぃいっ!」

目の前でサオリナとランカが、ミュミュに対し、羨望と嫉妬の入り混じった
嘆息を洩らしていると、

「すいませ~ん、レンヤ様ぁ~。お、お待たせしましたぁぁ~~!」

そんな羨望と嫉妬を受けているとは露知らず、ミュミュが受付の横にある
通路奥からドタバタと音を上げてこちらに駆けて来た。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

処理中です...