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五章 おっさんとテンプレ
第八十四話・やはり理不尽だな
しおりを挟むそして、もう片方の女性......
こいつも如何にも凛とした知的で立派な魔法使いって風貌なのによ、
何でこんなにもガラが悪いんだよ!
それに加えて、口も悪いしさっ!
ハァ...ホント、面倒な連中に絡まれてしまったなぁ。
俺が深く嘆息を吐いて、こいつらに対して心の底から呆れていると、
「おい、おっさん!俺の話をちゃんと聞いているのかぁあっ!エリートの
この俺が話しかけているんだぞ!おっさん風情が無視してんじゃねぇぇえっ!」
俺に無視されたランスが、さっきよりも更に顔を真っ赤にし、吠えるかの様な
大声を荒らげて怒鳴ってきた。
なので俺は、
「ああ、一応聞いているぞ。タダ少し考え事をしていてな......」
取り敢えず、ボォーッとしていた理由を、ランスに説明した。
だがしかし、俺が説明をし終えた瞬間、
「あぁぁあんっ!このAランクの俺様が話してかけているっていうのに、
考え事をしていただとぉぉおっ!このゴミにも劣るクソジジイの分際で、
よくそんな態度が取れるもんだな、おいっ!!」
「ハァ...本当に何様なのでしょうねぇ。自分の力を過信してわたくし達に
ちょっかいをかけてくる連中も大概我慢なりませんけど、あなたみたいに
何の取り柄もなく、顔も不細工なおじさんから自惚れた態度を取られるのも
癪に障りますわっ!」
「ホントホント。ランスやアンナリッタの言う通りだぜっ!それによぉ~、
あんたみたいなおっちゃんがプレシアちゃんみたいな娘とイチャイチャして
いる姿は、かなり見苦しくそして鬱陶しいんだよ!おっちゃんはさ、端っこで
目立たずに日向ぼっこでもしていなよっ!」
ランスとその仲間の女性二人がレンヤを囲み、自分勝手で理不尽過ぎる言葉を
捲し立て、次々とレンヤの事を罵倒してくる。
「うぐ。な、なぁ...プレシアさん。こいつら、めっちゃくちゃ騒ぎまくって
いると思うんですけど...出禁の注意はしないのか?」
俺はこいつらの態度を見て、数分前のルコールと言い争っていた状況に
酷似していると気づき、プレシアに小さな声で先程忠告された出禁の条件が
こいつらには当てハマってるんじゃと、問いただすと...
「あはは...そうですねぇ。出禁にしたいのは山々なんですが、この人達って
腐ってもこの町の貢献者、Aランクパーティなんですよねぇ......」
プレシアがランス達への不満と愚痴を洩らすと、その表情は冷めていき、
そして両の目からは輝きがフッと消えていく。
うわ、プレシアさんったら、何て感情のない表情を!?
あれを見るに、きっと今までもこいつら絡みで、色々と気苦労が
絶えなかったんだろうな。
「ハァ...全くどこの世界も、力を持たない者には世知辛いよね......」
俺がそう呟くと、プレシアが「あはは......だよねぇ」と乾いたニガ笑いを
こぼし、頬をポリポリと掻くのだった。
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