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五章 おっさんとテンプレ

第七十一話・返り討ち

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......ハァ、やれやれ。

せっかく今から初めて体験、お楽しみツアーだったっていうのによ。

屋台の味をたっぷり味わうぞモードに入っていたお腹を擦りながら、
俺は目の前の残念な三人組を呆れ顔で見る。

「おっと、おっさん!下手に動くなよ!もし少しでも変な動きを見せたら、
そこのか弱いお嬢さんがどんな目に合うか分からんからなっ!」

か、か弱いお嬢さん!?

ル、ルコールがかっ!?

こいつら、ギルドから俺達をつけて来たって事は冒険者なんだろう?

なのに、ルコールの気質に全く気がついていないのか!?

「ブヒヒ。どうしたおっさん、ボケッとしてよ?もしかしてオデ達が
怖いのか?だったら、オデ達がまだ寛大な内にさっさとそいつを寄越しなよ!
ブヒヒヒィィ~♪」

若い三人組の左側にいたデブった男が下卑た声でそう息巻くと、脂ぎった
汚い手で俺の腰に下げている皮袋を奪おうと伸ばしてくる!

「ちょ、脂ぎった手で触んじゃねぇよっ!」

「ブ、ブヒ!?」

デブった男の脂でベトベトな手に不快感でイラっとした俺は、左手を
思いっきりしならせ、デブった男の汚い手を払い退ける。

すると、

「き、貴様!よくもオデの腕を払い退けや――ボロゲェェェエエッ!!」

その行動に顔を真っ赤にして激昂するデブった男が、俺に拳を振り上げて
襲いかかってきたので、俺はそのデブった男の肥えた腹目掛けて、
思いっきり捻らせた右手の拳を容赦なく叩き込んでやった。

更に拳を叩き込まれた事により、宙に浮いたデブった男へ追撃の回し蹴りを
炸裂させると、デブった男がボールの様に地面をボヨン、ボヨンとバウンド
させて遠くの方へとブッ飛んで行った。

「お、おのれっ!よ、よくもボヨタの奴をやってくれたなぁぁああっ!
おい、ガリレッ!そ、その小娘のガキを痛い目に合わせてやれぇぇええっ!!」

「おう!わかったぜ!げへへへ...悪く思うなよ、お嬢さん。恨むんだったら、
そこのおっさんを恨むん―――ハギャァアアッ!!」

「お前も触んな、このクソ出っ歯が!」

モヒカン青年の命令で受け、ルコールを襲おうと突っ込んで来た
出っ歯な男こと、ガリレの左頬を、能面表情のルコールが思いっきり
ビンタすると、その衝撃でクルクルと勢い良く宙を舞って、顔面から
地面に落ちる。

そして、その衝撃でご自慢の出っ歯が砕け散った。

「お、俺のじ、自慢の前歯がぁああ!?よ、よ、よくもやりや―――
――ブロバァァアッ!!!」

ガリレがご自慢の前歯を砕かれた事で激昂し、ルコールに突っ込んで行くが、
身体を左にクイッと捻らせ、その反動を使ってルコールがガリレの右頬を
空中に打ち上げる様、思いっきり叩き殴ると、その衝撃でガレオの残って
いた歯全部が粉々と砕け散り、そしてガリレはそのまま、空中を高速で
グルグルと回転しながら、孤を描くように地面へ突き刺さった。

「ガ、ガリレェェエエッ!?ぐぬぬぬ、よくも...よくも俺の仲間を酷い目に
合わせてくれやがったなぁぁぁあああっ!!」

仲間をやられた事で、茹でたタコの様に真っ赤に染めて激昂したモヒカンの
青年が、怒りで震える手で腰に下げていた剣を引き抜く。

「もう絶対に許さんぞ、小娘!おっさん!覚悟して死にさらせやぁぁあっ!!」

そして叫声を大きく荒らげながら、レンヤとルコールに向かってドタドタと
足音を立てて突進して来た。


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