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四章 リタイの町
第六十二話・オークションの説明
しおりを挟む「......やれやれ。それにしても、今のその態度がお前の素なのか?
さっきの態度といい、意外にしたたかな性格をしているな、お前?」
「あはは。お褒めに与り恐縮の至りですね、ギルドマスター♪」
顎に手を添えながらギルマスが俺に軽い嫌味を洩らしてくるので、
俺も同じく、軽い嫌味を込めた返事を返すと、
「そ、その返し...やっぱり、そいつがお前の素なんだな......」
ギルマスは感心と呆れの入り混じった口調で、苦笑してしまう。
「もう、ギルマス!あなたが出しゃばってくると、話が一向に進み
ませんから、レンヤ様へのご報告が終わるまで、しばらくそっちの方で
大人しく待機してて下さいっ!」
「のわあ!?ち、ちょ、ミュミュッ!そんな強引に押しのけるなってぇ!
転んじまうだろうがぁぁあ~~~っ!?」
いつまでもだらだらと談笑を続けるギルマスに、痺れを切らしたミュミュが、
無理やりその場からギルマスを追い出した。
「......ふう、全くギルマスは相変わらずなんですから......。コホン、
ではレンヤ様。先程オークションに出品なされた竜の素材の件ですが、
オークションで競り落とされて、結果が発表されるまでの日が、三日後に
なりました!」
ミュミュが咳払いをして場の空気感を変えた後、オークションの結果が
いつ出るのか、それをレンヤに説明する。
「ですので、三日を過ぎましたら私の下へいらして下さい。その時に
オークションの結果をご報告致しますので!」
「ふむ。今から三日後にここへ来て、ミュミュからオークションの結果を
聞けばいいんだね?うん、わかったよ!」
オークションの説明をおおよそミュミュから聞き終わった俺は、内容を
理解したと示す様に頭をコクンと縦に振る。
「因みに、もし出品アイテムが落札されなかった場合なのですが。
出品したアイテムを次のオークションに回すか、はたまたオークションを
お辞めになられるかを選択して下さい。もしおやめになられましても、
レンヤ様の出品アイテムはギルドで適正価格にてキチンと買い取りを
いたしますので、そこはご安心下さい!」
......なるほどね。
もしオークションが駄目だったとしても、このギルドで買い取りは
してくれるってわけか。
「ありがとう、ミュミュ。ミュミュの説明、とても解りやすかったよ♪」
「はわわ!い、いえいえ、そんなお礼だなんて!こ、これが受付嬢の
お務めですから!そ、それに、こ、こんな拙い説明でちゃんとお伝え
できたのか...うう、ま、誠に恐縮です!」
レンヤが感謝の世辞を述べると、ミュミュはあたふたしながら、
申し訳なさそうに、何度も頭をペコペコと下げる。
「......あ!そ、そうでしたっ!」
頭を下げた時、さっき自分が床に置いてある鞄に気づいたミュミュが、
もうひとつの仕事をハッと思い出す、そして慌ててその鞄を手に取ると、
それをテーブルの上にドンッと置く。
「では、レンヤ様。レンヤ様が先程お売りになられたアイテムを換金した
お金を今からお渡ししますね!」
ミュミュがテーブルに置いた鞄の口を開け、鞄の中からレンヤが売りに
出したアイテムを査定し、換金した硬貨の入った皮袋をスッと取り出すと、
それをレンヤ達の目の前にトンと置いた。
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