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四章 リタイの町
第四十一話・ギルドカード
しおりを挟む「でも役所で登録しないっていうんだったら、一体どこで身分証明を
作成するんだ?」
「えっと、それはね。冒険ギルドで冒険者登録の申請をして、この
【ギルドカード】を作成してもらえばいいんだよ!これさえ作っちゃえば、
どこの町に行っても、自分の身分を証明できちゃうからさ♪」
俺の問いを聞いたルコールが、自分のギルドカードを胸ポケットから
サッと取り出すと、俺の目線近く前にビシッと突き付けてくる。
「なるほど。そのギルドカードとかいうやつさえあれば、身分を証明でき、
そしてどこの町でもフリーで入る事ができるんだ?」
「うん、そういう事♪」
「へぇ~そいつは中々便利アイテムだな。でもそのギルドカードを
作成する申請って、どこまで書かなきゃいけないんだ?」
俺は先程思考した、あの城にバレるという疑念を払拭したい為、それを
ルコールに訪ねる。
「ああ、ハイハイ。王女様にバレる事を懸念しているんだね?それだったら
大丈夫だよ。冒険者の登録は偽名でもいいし、年齢を詐称してもいいし、
とにかく詳しい記入はしなくてもいいから安心しなよ!」
「え?そ、そうなのか?それなら一先ずは安心だけど。でも嘘の記入でも
いいだなんて、それはそれでどうなんだって、思うけどな......」
俺がザルな申請登録だなと、ニガ笑いをこぼしていると、
「そこは大丈夫。嘘の記入で大丈夫なのはね、ギルドカードを作成するに
あたり、契約の証明として一滴の血を使うんだけどさ、その血が自分と
いう証明を立証してくれるから♪」
ルコールが、嘘の記入でも大丈夫なのか、その理由を説明する。
「な、なるほどね、血の契約か。つまり、その血の契約で作成された
ギルドカードを魔法か何かを使用し、身元のチェックするって感じかな?」
「うん、そんな感じだよ♪それじゃま、身分証明の説明も終わった事だし、
早速、冒険者の登録と休む為の宿屋探しをするべく、ちゃちゃっと町の中に
入ろうか、レンヤ♪」
「おう、そうだな!」
ルコールがニコッと微笑んでそう述べると、俺はルコールと共に門の前へと
移動して行く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ようこそ、リタイの町へ!では身分証明を拝見してもよろしいですか?」
「ほい、どうぞ。あ、こっちのおっさんは身分証明を持っていないから、
仮入場をお願いねぇ♪」
ルコールが自分のギフトカードを提示して、俺は身分証明を持ってない事を
門番へと伝えた。
「はぁ?そ、その歳で身分証明を持っていないのか......?」
身分証明を持っていない俺を、門番がジィィーと疑いの目で見てくる。
なので、
「あはは...すいません。自分、ここよりずっと東の方にある、名もない
地方での田舎暮らしだったもので、そういう証明とは無縁というか、
疎い生活だったんですよ!」
...と、咄嗟に思う浮かんだ事をバレないようと願い、門番に語っていく。
「な、なるほど、そういう理由があるのだな。それでこの町には何をしに?
やはり出稼ぎに来たのかい?」
「はい、仰る通りです。恥ずかしながら、うちの村はかなりの貧困でしてね。
ですのである日、こんな村で貧乏のまま死んじゃうのはゴメンだと、ふと思い
立ち、どうせ死ぬんだったら、昔から憧れだった冒険者となって、大きな
クエストをこなして一発稼いでやろうではないか!...とまぁ、そんな決意と
野望を胸に秘め、この町に遠路遥々とやって来た。そういう次第です!」
俺は門番の出稼ぎという言葉に便乗して、頭の中の引き出しに入っている
出稼ぎテンプレを懸命に取り出しては、門番にバレない様に会話を続ける。
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