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四章 リタイの町

第三十九話・おっさんの不幸の連鎖

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「あははは。さっきは参っちゃったねぇ♪まさか助けた美女二人が、
王家の血筋のものだったなんてさ♪」

俺が高所恐怖症であたふたしているのをよそに、ルコールが呑気な顔で
ケタケタと笑いながら、先程の状況を語っている。

「全然笑いごとじゃねぇっていうの!ったく...こんな事になるんだったら、
助けなきゃよかった......とまでは、まぁ言わないけどさっ!」

もし助けてなかったら、あの美人さんとあの生意気娘、きっと亡きモノか、
慰みモノにさせていた可能性が大だろうしな。

でも勘違いとはいえ、あの仕打ちはいくらなんでもないよな......。

俺は渋い表情をしながら先程のいざこざを思い出し、愚痴をこぼす。

「しかし何か俺って、事ある毎についていない気がするぞ......」

だってさ、勇者召喚されたと思えば、勝手に召喚した分際で中年だ、老害だと
下されて迫害されるし...

やっとあの城を脱出できたと思えば、落とし穴に落ちるわ、ドラゴンルコー
遭遇するわ...

そしてせっかく盗賊から助けてあげたっていうのに、その恩を仇と返して
拘束してこようとしてくるし...

それから逃げる為に高所恐怖症だっていうのに、こんな上空高くを飛ばされる
羽目になるし...

もう、なんだよこれっ!?

ここまで不幸が続くと、俺のこの先行きが本当に不安全開なんですけどっ!?

「ハァ...大丈夫かな...」

今まで自分に振りかかった数々の火の粉を思い出すと、この先も何か嫌な
予感しか浮かんでこない事に、俺は渋い顔をしながら嘆息を洩らす。

そんな俺の心証など、全く知らないルコールが、

「それでこれからどうするの、レンヤ?やっぱり予定通り、今からリタイの町に
移動しちゃう?」

ニコニコ顔で次の行動予定を聞いてくる。

「う~ん、そうだな...。あの城から追っ手が来るとしても、まだまだ時間は
かかると思うし...」

何せ、あの城から脱出する際に、あの場にいた殆どの兵士、騎士、神官達を
ボコボコにしてやったからなぁ。

「あ、でも俺と一緒に召喚されたあの勇者達が、俺の討伐へ乗り出して来るかも
しれないな?」

もしあいつらが来るとなったら、かなり厄介だぞ。

あの少年少女って俺と同じ勇者だし、きっと戦闘に特化した、とても性能の良い
チートギフトを貰っているに決まっている。

「それにあの子達と戦う事になったら、やっぱ躊躇してしまうだろうしなぁ......」

「ん?だったら、あたしが代わりにその勇者達を殺っちゃおうか?」

「はは...それはさすがにやめてと言っておくよ。だって、お前のその台詞の
ニュアンス、絶対あの子達の事を跡形もなく消し去りそうだから!」

そんな想像が頭の中に鮮明に映ってくるので、俺はやんわりとルコールに
お断りの言葉を入れるのだった。

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