おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお

文字の大きさ
上 下
38 / 130
三章 おっさん勇者の初めての人命救助

第三十八話・おっさん、取り敢えず逃げる

しおりを挟む
「じっとしててね、レンヤ。じゃないと落ちちゃうからさ!」

「へっ!?落ちちゃう?お、落ちちゃうって、何......」

ルコールがニコッと微笑み、俺にそう述べた瞬間!


「のわわわあああぁぁぁぁぁ―――――っ!!?」


俺の身体が上に昇っていくフワッとした重力を感じ、そしてハッと
気づくと、目の前に映ってくる視界が一瞬で空の風景へと
切り替わっていた。

「な、何なんだ、これ!?周りが空だらけじゃんっ!?」

まだ空の上にいる事に全く思考が気づいていない俺は、回りを
キョロキョロ見渡し、その視界に入ってくるのが、右も左も、
空、空、空、の風景に、思わず「何これ!?」と喫驚してしまう。

「ん?そういえば、さっきから何~か、地に足がついていない感じが
するん―――」

そして足に重力を感じない感覚が気になった俺は、目線を下の方に
スーッと向ける......

「って!?な、なんじゃ、この高さはぁぁぁぁぁ―――――っ!!?」

じ、地面や騎士達が、ああ、あんなに遠くにっ!?じじ、じゃあ!

こ、ここは空の......上っ!!?

俺はやっと自分がルコールに抱きかかえられ、空の上にいる事に気づく。

「ん...?この身体の震え?もしかしてレンヤって、高所恐怖症...なの?」

「そそ、そんな事あるか!ここ、こんな高さ、全然わけないっていうのっ!」

俺はルコールの「ウソでしょう?」と言わんばかりのニヤッとした表情が
気に食わず、つい虚言を吐いてしまう。

「そっか、それは良かった♪んじゃ、もうちょっと高く飛んでも問題ない
みたいだね♪」

「へ!?」

そんなやせ我慢な俺の答えを聞いたルコールが、ニヤりと満面な笑みを
浮かべた瞬間、更に上空高くへと上昇して行く!

「ちょ、まま、待ってええええぇぇぇぇぇええっ!?」

今のうそですぅぅっ!!

たた、高い所、マ、マジでめちゃくちゃ苦手ですぅぅぅぅうっ!!

ヤヤヤ、ヤバいって!この高さ、マジで高過ぎるってぇぇぇぇええっ!!

ドンドン遠くなっていく地面を見て、両の目玉がグルグルと回り、
心臓はいつもの何倍も早く鼓動を打ち、俺の恐怖心を加速させていく。

そ、そうだ!目をつぶって回りを見ればいいんだよっ!

あまりにも高鳴った恐怖心から今にも気絶しそうな俺は、それを回避するべく、
急ぎ慌てて目線を遮断させる為、目をつぶった。

「すぅぅぅ~はぁぁぁ~すぅぅぅぅ~はぁぁぁぁ~~~!」

そして平常心を取り戻そうと、ゆっくり、ゆっくりと深呼吸を何度か繰り返し、
グルグルドキドキな気持ちを少しずつ落ち着かせていく。

そして何とか、俺の平常心は持ち直したのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!

クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』  自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。  最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...