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三章 おっさん勇者の初めての人命救助

第二十六話・御褒美の為に...

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「そこの盗賊連中!俺の御褒美...チューの為に全員、死にさらせぇぇっ!!」

「ウギャァァァ―――――――ガハァッ!!」

俺の魂の叫びと共に拳で殴りつけた盗賊が、二、三回バウンドしながら、
近くに生えている木へと思いっきり叩きつけられて絶命する。

「ちょっ!なんなの、レンヤ!?そ、その御褒美ってのはさぁっ!?」

「願望だよ、願望!助けた御褒美に美女二人がお礼のチューしてくれたら
いいなぁっていう、俺の細やかな願望だよっ!」

ルコールが「こいつ、何を口走っているの!?」という呆れた表情でこっちを
見てくるので、俺は白い歯をキラリと歯を輝かせ、ドヤ顔の表情でビシッと
サムズアップを決める。

「はは...そっか。その願い、叶うといいねぇ......」

サムズアップを決めるレンヤを見て、ルコールはさっきより更に呆れ顔で
ニガ笑いを口からこぼす。

「き、貴様ぁあっ!いきなり沸いて出て来て、何を訳のわからん事をぉおっ!
このクソがやろうがああぁぁぁぁあっ!!」

自分達の仕事を邪魔され、青筋を立ててムキムキと激昂している盗賊の
ひとりが、大きく斧を振りかぶり、俺に向かって猛突進してきた!

「ふん!そういうお前こそ...俺の御褒美の邪魔をするんじゃ...ねぇぇぇえっ!」

「ウロォォボゥゥロォォッ!!?」

ドタドタと足音を鳴らし突進して来る盗賊の懐へ俺は滑り込む様に入り込み、
そして下から思いっきり拳を振り上げ、盗賊の顎を叩き砕く!

「おお!中々凄い威力のパンチじゃん♪」

レンヤの叩き込んだパンチで、盗賊の顔がクシャッと潰れているのを見て、
ルコールが「やるねぇ、レンヤ!」と、感心した表情を浮かべている。

「ねぇねぇ、レンヤ!レンヤのパンチ力が凄いのってもしかして、レアギフトの
『怒髪天』の効果が発動しているからかな?」

「まぁねぇ~!」

レアギフト...『怒髪天』

俺とルコールがこのレアギフトの存在を知っている訳は、こいつら盗賊
退治の前に自分のステータスを知ってた方がいいと、ルコールから貰った
ステータスをチェック出来るというアイテムを使用して、自分のステータスを
チェックしておいたからだ。

因みにこのアイテム、一回限りの使い捨てアイテムである。

「ったく...勇者だっていうんなら、ステータスをチェックするギフトくらい
覚えさせておけってんだよなぁ...」

あ、でもステータスチェックを覚えていないのって、もしかしたら勇者の
中では俺だけの可能性も否めないか。

いや、何か絶っ対にその可能性が大きい気がするっ!

.....ま、まぁいい。

ともかくも、その時に俺のステータスをチェックした結果はこんな感じだ。


――――――――――――

レンヤ・シロカワ

LV25

ジョブ【勇者】

HP【580/580】
MP【330/330】

力【A】
防【D+】
素【B】
魔【A-】
幸【C-】



≪ギフト≫

『瞬歩』...LV2
『気合い』...LV2
『採取察知』...LV3
『識別』...LV1


≪レアギフト≫

『怒髪天』LV...2
『アイテムボックス』
『超・成長』
『錬金』LV...1
『絶対ドロップ』LV...3


≪状態耐性≫

毒【D】痺【D】石【D】
幻【D】魅【D】即【D】


―――――――――――


これが今現在の俺のステータスらしい。


HPは生命ポイント、これが無くなると戦闘不能になる。
MPは魔法ポイント、これが無くなるとギフトの技や魔法を
使用できなくなる。

減少したHPやMPは休憩やアイテム、または技や魔法にて回復する事が
できるらしい。

力は攻撃力。
防は防御力。
素は素早さ、回避。
魔は魔法力、魔法防御力。
幸は幸運、クリティカルアップ。


これらステータスは、E-からDCBAS+の順で能力値が
高いとの事。

因みに、とある条件をクリアすると、更に能力値は上昇するらしい。


次に状態耐性は...

毒は毒と猛毒の耐性。
痺は痺れと麻痺の耐性。
石は石化の耐性。
幻は幻惑、精神攻撃の耐性。
魅は魅了、洗脳の耐性。
即は即死の耐性。

ステータスと同じくランクが高い程、耐性能力が上がり、
Sで完全無効になるらしい。

しかし状態耐性が全部Dって...俺、一応勇者様だよなぁ。

「こういう状態耐性ってさ、勇者には効果が効きにくいっていうのが
ゲームや漫画とかの王道パターンだろうが!せめてさ、A...いやBくらいに
しとけやぁぁあっ!」

それにステータスもあんま強いようには見えないんだが?

確か勇者って、通常より十倍近くステータスが上がるとか、あの城の王女様が
言っていた気がするんだけど?

ステータスチェックの技を覚えていない事といい、

この最低ランクの状態耐性といい、

そしてステータスの上昇率の悪さといい、

俺の勇者能力を設定したどこぞの誰かに対し、心の底から愚痴と文句を
言いたくなる俺だった。

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