おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお

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三章 おっさん勇者の初めての人命救助

第二十三話・助けない?助ける?

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ハァ...それにしても、

何か俺の行く先々って、人と戦うイベントごとが多過ぎじゃねぇ?

俺はあの城で何十人の騎士、兵士、神官と戦った事を思い出す。

ホント、魔物と戦ったと言えば、未遂だけど ドラゴンこいつだけじゃんか。

......まぁいい。

それを置いておくとして、

「盗賊かぁ......あいつらを相手をするのは少し...いいや、かなり面倒で
厄介そうだよなぁ......」

しょうがない。

ここは盗賊あいつらが消えていなくなるまで、その辺でのんびりと
休憩して、そして盗賊らがいなくなったら、リタイの町の旅を再開するか。

という事で、俺はルコール言う盗賊連中が消え去るまで、ここでのんびり
待つ事にした。

「お...あそこに丁度良い、休めやすそうな巨木があるじゃん♪」

俺は良い休憩所を見つけたと、心をウキウキさせながら移動し、その巨木へ
腰を据えて寄りかかる。

「ねぇ、レンヤ。盗賊に襲われている馬車を救出に行かなくていいの?」

俺がのんびり休憩をしていると、ルコールがそんな事を聞いてくるので...

「はぁ~?俺が救出に?何でさ?」

...と、ルコールの問いにハテナ顔をして返す。

「何でって...この展開は勇者であるレンヤが、盗賊に襲われている人を
助け出しに行くパターンかな~っと思ってさ?」

「イヤイヤイヤ...なんで何処の誰やも知れぬ他人の為に、俺が命を
張らなきゃいかんのよ?」

こんなの普通に考えても、至極当然な思考だと思う。

え...道徳心?んなの知った事か、俺は聖人君子じゃないし!

第一、自分の命の方が、他人の命なんかよりも何倍も大事だ!

そうさ、命あっての...なんとやらって言うじゃん。

それなのに、そんなくだらない正義感で死んでちゃ、元も子もない。

俺が勇者としてこの世界に召喚されていたとしたら、ルコールの言う
行動も吝かじゃないかもしれない。

だが現実は、勇者と言う肩書きを持っていても、勇者として落ちこぼれの
烙印を押された身だ。

そんな烙印を押された俺が、何が悲しくて勇者ヅラをして正義を執行しな
きゃいかないんだっていうの!

そう...あの城で蔑まれ、つま弾きにされた時に、俺はこの世界の救世主と
なる事を拒絶し、のんびりと冒険をするって...そう心に決めたんだよ!

「...とう言うわけで、そんな何の得にもならん事は無視するに限る!」

「うん、確かにレンヤの言う通りだよ。あたし達は正義の人じゃないしねぇ。
でも助けないってなると、あの子達ちょっと可哀想だね。あんなに美人さんに
可愛い みたいだから、きっとこれから酷い目に合っちゃうんだろうなぁ...」


―――美人さんっ!?可愛い娘っ!?


「でも、それも運命。あの二人は運が無かったと諦め―――」

「おい、ルコール!そんな所で何をボケッとしてやがるんだっ!急ぎ、盗賊の
クソ野郎どもを全員無きモノにして、襲われている姫君を救出に行くぞっ!」

ルコールの示す盗賊のいる場所へ向かって、人差し指をビシッと突き付け、
俺はその瞳をメラメラと燃やすのだった。

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