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三章 おっさん勇者の初めての人命救助

第二十二話・ドラゴンの目

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そっか...やっぱりこの世界にも盗賊がいるのか。

「あ。それじゃ、リタイの町へ向かう途中で盗賊そいつらと出くわす可能性も
あるって事か?」

「そだねぇ。あ、因みにこのままリタイの町へと歩いて進んだら、確実に
盗賊達と鉢合わせになっちゃうかな?」

「――へ!?」

ルコールがリタイの町へ向かう道先をジィィーと見つめると、露骨に嫌な
顔をして首を左右に振り、この道の先に盗賊がいる事を俺に伝えてくる。

「は、鉢合わせって......ま、まさか盗賊達が、この先で活動しているのか?」

「うん。この道をずっと進んだ先で、盗賊の連中が誰かの馬車を襲って
キャッホーをしているみたいだよ♪」

ルコールが道の先を指で差して、俺に盗賊出現中のお知らせを伝えてくる。

「ほ、本当にこの先に盗賊がいるのか?俺には全く何も見えないんだけど?」

俺はルコールの言う先を、凝視してジィィーッ見つめるものの、その瞳には
盗賊の盗の字も映り込んではこなかった。

「ハァ、馬鹿だねぇ~レンヤは♪盗賊がいるのは、大体ここから数キロ
離れた場所だよ。普通に見たって見えるわけないじゃんか♪」

バカな事を述べる子どもを見るかのように、ルコールがケラケラと笑う。

「な!?み、見えるわけないって...じゃあ、お前にも見えていないって
事じゃんか、嗚呼、もしかして俺をからかったのかっ!?」

俺はケラケラ笑うルコールを見て、騙されたと言わんばかりにプンプン怒る。

「イヤ、あたしは普通にハッキリと見えているよ?だってドラゴンの目は
数キロ先の風景もクリアに見通す事ができるからさぁ♪」

あ、そうだった。

こいつってば、こんな見た目をしているけど、元はあのドラゴンさん
だったの忘れていたわっ!

あれだけ恐怖し、恐れ戦いたドラゴンだったというのによ。

ホントおっさんの記憶力って、

ド忘れが多くて何か哀しくなってくるよ。

何かを作業している最中、「後からやらないと」と思っていた事を
スッカリ忘れてしまっていて、作業を終えてから数時間後に「あ!」って
感じでその忘れていた事を思い出す事の多い事、多い事。

マジで何なんだろうね、この記憶力の薄さはさ。

言うなれば、まさに鶏の如しだよ。

いや...鶏の方がまだ頭が良いかもしれんな。

俺はあまりにも不甲斐のない自分の記憶力に対し、心の底から呆れ返って
しまうと同時に、頭をガクッと項垂れて気落ちしてしまうのだった。

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