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二章 新たな出会い

第十三話・リコット王女の選択は...

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「しかし正直これには参ったね。どう見てもあのおじさんの方が
オレらより勇者能力が完全に高かったようだ......」

周りをキョロキョロと見渡し、見事なくらいにボコボコにされている
兵士や神官達を見て、改めて光太郎がレンヤの強さを再確認する。

「つまりこれはあれだよねぇ。冒険ものによくある展開のひとつ、
勇者復讐劇ものっ!その証拠にまず手始めが兵士や神官達をボコボコに
されちゃってうしねぇ。そして恐らく次に狙われるターゲットは......」

「...ん。それを止めなかった私達。そしてこの城の王族と勇者召喚の
元凶......リコット王女だろうね!」

神妙な面持ちで述べる久美の言葉に、光太郎と芽々も神妙な面持ちで
首を縦に小さく振る。

「そ、そんな!?勇者様を召喚する一族として遥か昔から繁栄してきた、
我がギガン城が、まさか勇者様から狙われてしまうだなんて......」

自分の取った自業自得な行動のせいで、大変な事になっている事実に、
リコット王女が戸惑った表情をオロオロしてしまう。

「それで...リコット王女様。王女様はこれからどうなさるおつもりですか?
あのおじさんに今回の騒動は全面的にこちらが悪かったと謝罪しますか?
それとも王族に逆らった反逆者として、あのおじさんを手配しますか?」

「あの御方に心からお詫びして謝罪する。もしくは反逆者として汚名を
被せる......ですか。決まっています。私がこの先あの御方に取るべき
行動はただひとつです......!」

リコット王女は拳をグッと力強く握りしめると、これからレンヤに
取るべき行動を心の中で既に決定していた。



◇◇◇◇◇◇◇



―――ギガン城がレンヤのせいで混乱状態に満ちていたその頃。


「えっと...あ、あなたを一緒に連れて行けと言われましても、それは
流石に難しいと言いますか...何と言いますか......はは、あはは」

だって、どう見ても一緒に連れて歩けるってLVの大きさを越えているしな。

俺は見上げる様に大きいドラゴンを見て、思わずそれは無理難題が過ぎる
だろうと苦笑をこぼす。

「い、一緒に連れて行くのが難しいって、我が連いてくるのがそんなに
嫌なのか?」

表情の読めないドラゴンだったが、俺の否定の言葉を聞いてシュンとなり、
落ち込んでいる事は、感覚で何となくわかった。

「ち、違うんですよドラゴンさん!俺が悩んでいるのは駄目とか嫌とか、
そんな事ではないんですよ!俺が悩んでいる理由は......あなた自身と
俺を見比べてみて下さい。察すれば一目瞭然で分かると思いますから!」

「何?我とお主を見比べろじゃと?」

そう言われたドラゴンが、自分と俺の身体を交互に何度か見比べてみる。

「う~む、そうじゃのう?......ハッ!?分かった、分かったぞ!羽根じゃ!
お主には羽根が付いとらんっ!それに尻尾もじゃあっ!!」

ドラゴンが然も正解を言ってやった、そう言わんばかりのしたり顔をする。

「ええぇぇ...なんですか、そのコントみたいな答えは......」

確かに正解っちゃ、正解だけどさ。

「むむ...そ、それじゃ、一体正解はなんだと言うのじゃっ!」

「言わないと分からないんですか!あなたの大きさですよ!大きさっ!
その山の様な大きなあなたの身体ですっ!あなたはそんな巨体で人間の
住む場所を練り歩くおつもりなのですか!?」

うん、人々が恐怖と絶望の表情で逃げ惑う姿が、容易に想像つくんですけど。

「ふう...なんじゃ。何を言うのかと思えば、そんな事じゃったか.....」

「そんな事じゃったか...じゃありませんよ!それが大きな...問題...
なん...で...す........っ!?」

俺の言葉を聞いたドラゴンがニヤリと口角をあげると同時に、その身が
真っ白に輝いていく。

そしてしばらく輝いた後、その輝きがパッと消え去ると、

「どう...かな?これなら問題はないって思うんだけどさぁ♪」

そこには翠色の髪をサイドテールに束ねた可愛い少女が立っており、
真っ白に輝く八重歯と、ルビーの如き深紅の瞳をキラリと光らせ、
俺に向かってサムズアップをビシッと突き出すと、お日様のような
笑顔でニカリと笑う。

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