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二章 新たな出会い
第十二話・おっさんの強さ
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―――レンヤがドラゴンと対峙していたその頃、ギガン城では。
「こ、これはいったい...どういう事なんですか!?」
何やら召喚部屋が騒がしいと気づいたリコット王女が、ドアを開けて
召喚部屋を覗き見ると...
そこに映るあまりの無残な風景に、信じられないといった表情で目を
見開き、喫驚してしまう。
何故なら、その目線に映る先には、鎧やローブ等...着ているもの
全てを剥ぎ取られた兵士や神官達が、ほぼ全裸状態で床に転がって
いたからだ。
そして、そこいら中に転がっている兵士や神官達の全ての顔が、倍近く
腫れあがるまでボコボコにされており、最早その姿は知り合いが見ても、
見分けも見当も全然つかない状態だった。
そんな中、唯一意識があったドアの番人をしていた兵士のひとりが、
リコット王女によろよろとした足で近付き、
「うう...うぐぐぅぅ、ず、ずいまぜん、リコット王女ざまぁぁぁぁ......。
あの男にじてぇやられで...じまいまじたぁぁぁ......」
今にも死にそうな声で、この状況の説明を語ってきた。
「あ、あの男とは...私が召喚した...先程の成人男性の事でしょうか?」
リコット王女がこの場からいなくなっているおっさんに気付き、その兵士に
成人男子こと、おっさんの仕業なのかと問いかける。
「ばい...。一瞬...ほんどうに一瞬でじぃぃたぁ......ぎ、気づけぇぇば...
わ、我々、ぜ、全員...あ、あの男に...ボゴボゴに叩きつぶざれで...お、お、
おりまじぃぃたぁぁぁぁ......うう、ぐう...ガハッ!!」
リコット王女に伝える事を伝えた兵士は、その場にガクンッと崩れ落ちた。
「うへぇ~すごい光景だねぇ~!筋肉な裸がいっぱいだよ~!これがもし女性の
裸だったら、めっちゃ嬉しかったんじゃないの、光太郎君♪」
「そ、そんな事あるかっ!全く...キミは普段からいつもそんな調子なのか?」
からかわれた黒髪の少年こと...『九条院光太郎』が、ジト目の表情で
マイペースな芽々に呆れ口調をこぼす。
「しかし...オレ達がこの部屋に入って、まだ十分も経っていない筈なのに、
この数を全滅させるなんて......」
目の前の部屋の至る所に転がっている兵士や神官達を見て、その恐ろしさに
光太郎は驚愕してしまう。
「更に見て...壁や飾り物も粉々だ......」
久美が指差した先にある、キレイな絵が書いてあった壁や、キラキラ輝く
宝玉が散りばめられていた飾り物が、まるで怪物にでも殴られたのかと
見紛うように粉々のグシャグシャ状態になって、部屋中に錯乱している。
「しかし何故、彼はこのような暴挙に出たのでしょうか?」
「「「え!?」」」
神妙な面持ちでそう呟くリコット王女のあまりにも天然な発言に、芽々達の
目が驚きで丸くなってしまう。
「え!?とは、一体どういう事なのでしょうか??」
それに気付いたリコット王女が、ハテナ顔で芽々達を見る。
「どういう事も何も...こいつらが露骨におっさんの事を差別していたからに
決まってんじゃん!勝手に呼び込んで置いて、あんな態度を取られちゃったら、
流石に良い大人でもキレちゃうっていうのっ!」
芽々が先程のおっさんに対する兵士達の蔑視な視線や言葉使いを思い出すと、
苦笑が口からこぼれてしまう。
「.....ん、そしてそれはリコット王女にも言える事......」
「え!わ、私にもですか!?」
「そう...あなたもこいつらと同じで......ボク達とおじさんに対する態度が
全然違っていた.....つまり差別をしていたとおじさんに思われても......
仕方なしだと......思う......」
「そ、そんな!?わ、私があの御方を差別するなんてこと、絶っ対に
ありえ...は...し......ま......せ......」
ハッ!?
久美の言葉を聞き「私が差別を?」という困惑した表情でリコット王女が
その時の状況を脳裏に浮かべて思い出していくと、ふと何かに気付いたのか、
リコット王女の表情がみるみる真っ青へと変わっていく。
「こ、これはいったい...どういう事なんですか!?」
何やら召喚部屋が騒がしいと気づいたリコット王女が、ドアを開けて
召喚部屋を覗き見ると...
そこに映るあまりの無残な風景に、信じられないといった表情で目を
見開き、喫驚してしまう。
何故なら、その目線に映る先には、鎧やローブ等...着ているもの
全てを剥ぎ取られた兵士や神官達が、ほぼ全裸状態で床に転がって
いたからだ。
そして、そこいら中に転がっている兵士や神官達の全ての顔が、倍近く
腫れあがるまでボコボコにされており、最早その姿は知り合いが見ても、
見分けも見当も全然つかない状態だった。
そんな中、唯一意識があったドアの番人をしていた兵士のひとりが、
リコット王女によろよろとした足で近付き、
「うう...うぐぐぅぅ、ず、ずいまぜん、リコット王女ざまぁぁぁぁ......。
あの男にじてぇやられで...じまいまじたぁぁぁ......」
今にも死にそうな声で、この状況の説明を語ってきた。
「あ、あの男とは...私が召喚した...先程の成人男性の事でしょうか?」
リコット王女がこの場からいなくなっているおっさんに気付き、その兵士に
成人男子こと、おっさんの仕業なのかと問いかける。
「ばい...。一瞬...ほんどうに一瞬でじぃぃたぁ......ぎ、気づけぇぇば...
わ、我々、ぜ、全員...あ、あの男に...ボゴボゴに叩きつぶざれで...お、お、
おりまじぃぃたぁぁぁぁ......うう、ぐう...ガハッ!!」
リコット王女に伝える事を伝えた兵士は、その場にガクンッと崩れ落ちた。
「うへぇ~すごい光景だねぇ~!筋肉な裸がいっぱいだよ~!これがもし女性の
裸だったら、めっちゃ嬉しかったんじゃないの、光太郎君♪」
「そ、そんな事あるかっ!全く...キミは普段からいつもそんな調子なのか?」
からかわれた黒髪の少年こと...『九条院光太郎』が、ジト目の表情で
マイペースな芽々に呆れ口調をこぼす。
「しかし...オレ達がこの部屋に入って、まだ十分も経っていない筈なのに、
この数を全滅させるなんて......」
目の前の部屋の至る所に転がっている兵士や神官達を見て、その恐ろしさに
光太郎は驚愕してしまう。
「更に見て...壁や飾り物も粉々だ......」
久美が指差した先にある、キレイな絵が書いてあった壁や、キラキラ輝く
宝玉が散りばめられていた飾り物が、まるで怪物にでも殴られたのかと
見紛うように粉々のグシャグシャ状態になって、部屋中に錯乱している。
「しかし何故、彼はこのような暴挙に出たのでしょうか?」
「「「え!?」」」
神妙な面持ちでそう呟くリコット王女のあまりにも天然な発言に、芽々達の
目が驚きで丸くなってしまう。
「え!?とは、一体どういう事なのでしょうか??」
それに気付いたリコット王女が、ハテナ顔で芽々達を見る。
「どういう事も何も...こいつらが露骨におっさんの事を差別していたからに
決まってんじゃん!勝手に呼び込んで置いて、あんな態度を取られちゃったら、
流石に良い大人でもキレちゃうっていうのっ!」
芽々が先程のおっさんに対する兵士達の蔑視な視線や言葉使いを思い出すと、
苦笑が口からこぼれてしまう。
「.....ん、そしてそれはリコット王女にも言える事......」
「え!わ、私にもですか!?」
「そう...あなたもこいつらと同じで......ボク達とおじさんに対する態度が
全然違っていた.....つまり差別をしていたとおじさんに思われても......
仕方なしだと......思う......」
「そ、そんな!?わ、私があの御方を差別するなんてこと、絶っ対に
ありえ...は...し......ま......せ......」
ハッ!?
久美の言葉を聞き「私が差別を?」という困惑した表情でリコット王女が
その時の状況を脳裏に浮かべて思い出していくと、ふと何かに気付いたのか、
リコット王女の表情がみるみる真っ青へと変わっていく。
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