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6章・学校
066・このプレッシャー、どこかで感じた事が!?
しおりを挟む 周子が投げたナイフを取り上げようとしたが、遅かった。
木賀島の骨ばった手は軽々とそれを持ち上げ、そして、俺の目の前に翳した。
「ん~?なあに~?これ?」
「木賀島……ッ」
「もしかしてさぁ、宰はこれ使って欲しいわけぇ~?」
そんなわけないだろ。
慌ててそのナイフを叩き落とそうとするけど、避けられる。
それどころか。
「ッ、」
すぐ顔の横、突き立てられる銀の刃物に前髪数本が散る。
「あっ、いっけねえ~手ぇ滑っちゃったー」
唇を歪めて笑う木賀島。
痛みはなかった。なかったが、頬に濡れた感触が溢れ、横顔を汚す。
「木賀島君、やめろっ!」
檻の外、ガシャガシャと鉄格子を揺する音がした。
どちらが捕まっているのかわからないぐらいの周子の青褪めっぷりはなかなかの傑作だが、あいにく引き攣った俺の顔の筋肉は今笑えそうにない。
「っ、離せ、離せってばッ!」
腿を掴まれ、腹部へ膝をつけるような形で開脚させられる。
持ち上げられた腰の痛みはこの際どうでもいい。
だけど。
「――ッ」
ケツに食い込むほど引っ張られた下着にナイフを走らせる木賀島に、糸も簡単に切断された下着は最早原型を留めていなくて。
ひやりとした外気に晒される下半身。
剥き出しになったそこを手で隠そうとする余裕すら無くて。
「……ッ」
檻の外、鉄格子を掴んだまま呆然とする周子の顔が見え、瞬間、顔面が火を噴くように熱くなった。
「っ、……やめ……ろ……ッ」
今更木賀島に自分の声が届いていると思っていない。それでも、最後まで抵抗はやめたくなかった。
瞬間、ひやりとしたものが窄みに押し付けられる。
温度を感じさせないその無機質感がナイフの柄だと気付いたとき、頭の中が真っ白になった。
「そんなにさぁ、これが欲しいんならあげるよ」
なんて笑いながら、俺の制止も聞かずに木賀島は思いっきりそのナイフを俺の中に捩じ込んだ。
「……あ?」
突き刺さるようなその痛みに思考が停止する。
持ち上げられた自分の下半身。そこから見える銀の刃物に、体内のこの金属物の存在に目の前が真っ暗になって。
「わぁ~、さすがにギチギチだねぇ。でも安心して~?……もっとあげるから」
木賀島の声がやけに遠くに聞こえた。自分の下半身に目が離せなくて、息が、止まる。
それも一瞬の出来事で、慌てて引き抜こうと唯一頭を出したナイフを掴むが手のひらに鋭い痛みが走り、ぬるぬると滑って痛くて思うように掴むことが出来なくて。
「っ、……んで…ッ、なんで……ッ、俺が、こんな目に……ッ」
「右代君!ダメだ、素手で触っては危険だっ!」
周子のアホが何か叫んでいる。
手のひらが痛い。けど、これを早く抜かないと、抜かないと。こんな姿、誰かに見られたら。じんじんと焼けるように痛む手のひら同様、体内の金属は熱を帯び、体温と同化し始めて。
ああ、そういえば、木賀島のやつはどこに行ったんだ。
挿入されたナイフにばかり気が向いていた俺がいつの間にかいなくなってる木賀島に気付いたときだった。
ガラガラガラ、と目の前に一本のナイフと二本のフォークが落ちる。
そして、木賀島の足。
「探してみたんだけど三本しかなかったよぉ、ごめんね~?」
そう落ちたナイフを手にした木賀島は申し訳なさそうに眉を下げる。
今度こそ、やつの言葉を理解することができなかった。
木賀島の骨ばった手は軽々とそれを持ち上げ、そして、俺の目の前に翳した。
「ん~?なあに~?これ?」
「木賀島……ッ」
「もしかしてさぁ、宰はこれ使って欲しいわけぇ~?」
そんなわけないだろ。
慌ててそのナイフを叩き落とそうとするけど、避けられる。
それどころか。
「ッ、」
すぐ顔の横、突き立てられる銀の刃物に前髪数本が散る。
「あっ、いっけねえ~手ぇ滑っちゃったー」
唇を歪めて笑う木賀島。
痛みはなかった。なかったが、頬に濡れた感触が溢れ、横顔を汚す。
「木賀島君、やめろっ!」
檻の外、ガシャガシャと鉄格子を揺する音がした。
どちらが捕まっているのかわからないぐらいの周子の青褪めっぷりはなかなかの傑作だが、あいにく引き攣った俺の顔の筋肉は今笑えそうにない。
「っ、離せ、離せってばッ!」
腿を掴まれ、腹部へ膝をつけるような形で開脚させられる。
持ち上げられた腰の痛みはこの際どうでもいい。
だけど。
「――ッ」
ケツに食い込むほど引っ張られた下着にナイフを走らせる木賀島に、糸も簡単に切断された下着は最早原型を留めていなくて。
ひやりとした外気に晒される下半身。
剥き出しになったそこを手で隠そうとする余裕すら無くて。
「……ッ」
檻の外、鉄格子を掴んだまま呆然とする周子の顔が見え、瞬間、顔面が火を噴くように熱くなった。
「っ、……やめ……ろ……ッ」
今更木賀島に自分の声が届いていると思っていない。それでも、最後まで抵抗はやめたくなかった。
瞬間、ひやりとしたものが窄みに押し付けられる。
温度を感じさせないその無機質感がナイフの柄だと気付いたとき、頭の中が真っ白になった。
「そんなにさぁ、これが欲しいんならあげるよ」
なんて笑いながら、俺の制止も聞かずに木賀島は思いっきりそのナイフを俺の中に捩じ込んだ。
「……あ?」
突き刺さるようなその痛みに思考が停止する。
持ち上げられた自分の下半身。そこから見える銀の刃物に、体内のこの金属物の存在に目の前が真っ暗になって。
「わぁ~、さすがにギチギチだねぇ。でも安心して~?……もっとあげるから」
木賀島の声がやけに遠くに聞こえた。自分の下半身に目が離せなくて、息が、止まる。
それも一瞬の出来事で、慌てて引き抜こうと唯一頭を出したナイフを掴むが手のひらに鋭い痛みが走り、ぬるぬると滑って痛くて思うように掴むことが出来なくて。
「っ、……んで…ッ、なんで……ッ、俺が、こんな目に……ッ」
「右代君!ダメだ、素手で触っては危険だっ!」
周子のアホが何か叫んでいる。
手のひらが痛い。けど、これを早く抜かないと、抜かないと。こんな姿、誰かに見られたら。じんじんと焼けるように痛む手のひら同様、体内の金属は熱を帯び、体温と同化し始めて。
ああ、そういえば、木賀島のやつはどこに行ったんだ。
挿入されたナイフにばかり気が向いていた俺がいつの間にかいなくなってる木賀島に気付いたときだった。
ガラガラガラ、と目の前に一本のナイフと二本のフォークが落ちる。
そして、木賀島の足。
「探してみたんだけど三本しかなかったよぉ、ごめんね~?」
そう落ちたナイフを手にした木賀島は申し訳なさそうに眉を下げる。
今度こそ、やつの言葉を理解することができなかった。
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