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5章・初登校
058・『あいつ』
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「......その表情と動揺、アタシの考え通りみたいだね。で、一体誰が理緒を
助けて、そしてあいつらを捕縛したんだい?」
「うぐ!え、えっと、それは...だね。そ、そう!そ、その子ってあんまり
目立った事というか、面倒くさい事が嫌いみたいなタイプみたいでさ!
だ、だからその...素性はあまり勘繰らないで欲しいというか......」
桜が理緒の顔をジッと見つめつつ、孝之助達を捕縛した人物を問うてくる
ので、理緒は言い訳をして誤魔化そうとするが、しかし動揺が勝ってしまい、
あたふたを隠す事の出来ない表情でサクヤの事をつい口滑らせてしまう。
「その言い様......やっぱ想像通り、理緒があいつらを捕縛したって訳じゃ
ないんだね?」
「はう!?ち、ち、違うんだよっ!こ、こ、これは言い方を間違って....!
え、えっと...うぬぬ......っ!?」
「ほら、また動揺を表にしちゃってるぞ~。理緒は感情がまる分かりやす過ぎ
なんだよ。将来は理緒も上位ランクの冒険者になる予定なんだろう?だったら、
もうちょい感情をグッと奥に引っ込めなきゃね!」
桜が嘆息を吐いた後、ジト目の表情で理緒の頬を摘まみ、欠点を指摘しながら
両頬をムニムニする。
「うう...桜お姉ちゃんのご指摘は分かってはいるつもりなんだけど....でも私、
桜お姉ちゃんと違って気が弱いから、騙し合いが苦手なんだよな......」
桜の指摘に対し、理緒はそう言うと苦笑いをこぼす。
「騙し合いの苦手さはアタシもあんたとそう変わんないって。何故なら...」
「......まぁいい。それよりも目立ちたくない、それに面倒くさい......か。丸道
一族がアタシ達にもう二度と逆らえないように事情をより詳しく聞き纏め挙げて
おきたかったのだけども...恩人の嘆願は聞き入れない訳にはいかんよね~。
ふう、しょうがない。理緒の証言だけで何とか頑張って処理しておきますか~!」
「あ、ありがとう、桜お姉ちゃん!そしてゴメンね...私のわがままでお手数を
掛けちゃう事になっちゃって!」
理緒が頭をぺこりと下げて、感謝の言葉を口にする。
「いいっていいって。気にしない、気にしない。理緒の恩人さんの嘆願もある
けれどさ、アタシの可愛~い妹の頼みごとだしねぇ~♪なので、これ以上の
詮索や下手な勘繰りはしないから安心して、理緒♪」
申し訳なさそうに感謝とお詫びをしてくる理緒に、桜が胸を手でドンと
叩いた後、サムズアップをビシッと突き出す。
「......それにしても目立ちたくないに面倒くさいって、その理緒を助けて
くれた恩人さん。何か『あいつ』にとっても似てるかも♪あいつもいっつも
何かと言えば、目立ちたくない~、面倒くさい~って、口癖の様にぼやいて
たからなぁ~♪」
桜が理緒の恩人に似ているという、誰かを思い出して懐かっていると、
「似てる?あいつ??」
理緒が桜の口にしたサクヤに似ているという『あいつ』発言に、ハテナ顔で
首を傾げる。
「ね、ねぇ桜お姉ちゃん。そ、そのあいつって誰?」
桜が口にした『あいつ』という人物が気になった理緒が、それを桜に聞く。
「ん?あはは♪理緒に話す程の大した事ない話だから気にしないで♪」
だがしかし、そんな理緒の問いに桜が苦笑いを浮かべながら今の発言を
さらっと横に流す。
「コホン!さて...それよりも話を変えるんだけど。この記憶カードって、
ひょっとしてあなたを助けてくれた恩人くんから貰った物なのかな?」
咳払いを軽くして話を切り替え、そして先程理緒から貰った記憶カードを
ポケットからスッと取り出し、そしてそれを理緒に見せる。
「――はう!?ち、ちち、ち、違うよっ!?ほ、ほ、本当に違うからねぇ!
さ、さっきも言った通り、トリプルフリーオークションで手にいれたんだよ!
う、嘘じゃないよ!ホ、ホントなんだよっ!」
桜の問いに、理緒が慌て様で何度も首を左右に大きく振って、桜の問いを
全力で誤魔化そうとする。
そんな理緒を見て桜が、
「ふう...理緒。アタシ、あれほど感情を抑えろって忠告した筈だよね?
その慌て様と動揺...アタシの疑問に肯定したも同然だぞ......」
「―――う、うぐ!?」
桜がジト目の表情で、自分の顔を人差し指でちょんちょんと突つきながら、
理緒にバレバレですぞと注意する。
助けて、そしてあいつらを捕縛したんだい?」
「うぐ!え、えっと、それは...だね。そ、そう!そ、その子ってあんまり
目立った事というか、面倒くさい事が嫌いみたいなタイプみたいでさ!
だ、だからその...素性はあまり勘繰らないで欲しいというか......」
桜が理緒の顔をジッと見つめつつ、孝之助達を捕縛した人物を問うてくる
ので、理緒は言い訳をして誤魔化そうとするが、しかし動揺が勝ってしまい、
あたふたを隠す事の出来ない表情でサクヤの事をつい口滑らせてしまう。
「その言い様......やっぱ想像通り、理緒があいつらを捕縛したって訳じゃ
ないんだね?」
「はう!?ち、ち、違うんだよっ!こ、こ、これは言い方を間違って....!
え、えっと...うぬぬ......っ!?」
「ほら、また動揺を表にしちゃってるぞ~。理緒は感情がまる分かりやす過ぎ
なんだよ。将来は理緒も上位ランクの冒険者になる予定なんだろう?だったら、
もうちょい感情をグッと奥に引っ込めなきゃね!」
桜が嘆息を吐いた後、ジト目の表情で理緒の頬を摘まみ、欠点を指摘しながら
両頬をムニムニする。
「うう...桜お姉ちゃんのご指摘は分かってはいるつもりなんだけど....でも私、
桜お姉ちゃんと違って気が弱いから、騙し合いが苦手なんだよな......」
桜の指摘に対し、理緒はそう言うと苦笑いをこぼす。
「騙し合いの苦手さはアタシもあんたとそう変わんないって。何故なら...」
「......まぁいい。それよりも目立ちたくない、それに面倒くさい......か。丸道
一族がアタシ達にもう二度と逆らえないように事情をより詳しく聞き纏め挙げて
おきたかったのだけども...恩人の嘆願は聞き入れない訳にはいかんよね~。
ふう、しょうがない。理緒の証言だけで何とか頑張って処理しておきますか~!」
「あ、ありがとう、桜お姉ちゃん!そしてゴメンね...私のわがままでお手数を
掛けちゃう事になっちゃって!」
理緒が頭をぺこりと下げて、感謝の言葉を口にする。
「いいっていいって。気にしない、気にしない。理緒の恩人さんの嘆願もある
けれどさ、アタシの可愛~い妹の頼みごとだしねぇ~♪なので、これ以上の
詮索や下手な勘繰りはしないから安心して、理緒♪」
申し訳なさそうに感謝とお詫びをしてくる理緒に、桜が胸を手でドンと
叩いた後、サムズアップをビシッと突き出す。
「......それにしても目立ちたくないに面倒くさいって、その理緒を助けて
くれた恩人さん。何か『あいつ』にとっても似てるかも♪あいつもいっつも
何かと言えば、目立ちたくない~、面倒くさい~って、口癖の様にぼやいて
たからなぁ~♪」
桜が理緒の恩人に似ているという、誰かを思い出して懐かっていると、
「似てる?あいつ??」
理緒が桜の口にしたサクヤに似ているという『あいつ』発言に、ハテナ顔で
首を傾げる。
「ね、ねぇ桜お姉ちゃん。そ、そのあいつって誰?」
桜が口にした『あいつ』という人物が気になった理緒が、それを桜に聞く。
「ん?あはは♪理緒に話す程の大した事ない話だから気にしないで♪」
だがしかし、そんな理緒の問いに桜が苦笑いを浮かべながら今の発言を
さらっと横に流す。
「コホン!さて...それよりも話を変えるんだけど。この記憶カードって、
ひょっとしてあなたを助けてくれた恩人くんから貰った物なのかな?」
咳払いを軽くして話を切り替え、そして先程理緒から貰った記憶カードを
ポケットからスッと取り出し、そしてそれを理緒に見せる。
「――はう!?ち、ちち、ち、違うよっ!?ほ、ほ、本当に違うからねぇ!
さ、さっきも言った通り、トリプルフリーオークションで手にいれたんだよ!
う、嘘じゃないよ!ホ、ホントなんだよっ!」
桜の問いに、理緒が慌て様で何度も首を左右に大きく振って、桜の問いを
全力で誤魔化そうとする。
そんな理緒を見て桜が、
「ふう...理緒。アタシ、あれほど感情を抑えろって忠告した筈だよね?
その慌て様と動揺...アタシの疑問に肯定したも同然だぞ......」
「―――う、うぐ!?」
桜がジト目の表情で、自分の顔を人差し指でちょんちょんと突つきながら、
理緒にバレバレですぞと注意する。
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