彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお

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4章・昇級試験

032・ハグ禁止

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「でも珍しいですねぇ、佐々木さん?貴方が女性じゃなく、男性の方を
担当するとか言い出すなんて?」

「いやなにね、あの連中...どう見ても明らかに風菜ちゃんが目当てみたい
じゃん?だからちょいとあいつらに対して絶望感を与えちゃおうっかな~
って思ってさぁ~~くふふ♪」

「ハァ...佐々木さん。あなた本当に性格が悪いですね......」

佐々木が悠々と述べる男性の試験官を担当するその理由に、小鳥は呆れ
顔をして深い嘆息を吐く。

「お褒めの言葉、ありがとうございま~す♪あ、でも言っておくけど
別にそれだけの理由で男性を担当するんじゃないんだぜ?俺ってさ、
女性に優しいじゃん?だから女性新人の試験官を担当したら、甘めの
手抜き採点をつけちゃいそうだしねぇ~♪」

「ああ...それは有り得そうですね。いいえあなたなら絶対確実に、甘々の
手抜き採点をつけちゃいますねっ!」

確かにこいつに任せたら、確実に女性の新人冒険者全員が合格するなと、
小鳥は納得した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「では試験を受ける予定のみなさん。改めて紹介致しますが『黄昏の果て』の
佐々木郁夫ささきいくおさんです。この佐々木郁夫が男性を、そして倉井風菜が
女性の昇級試験の試験官をそれぞれ担当する事となりました。ですので
新人の冒険者さんは男性が左の試合場、女性は右の試合場にと別れて試合の
出番がくるまで準備をしつつ、待機をしていて下さい!」

「はぁああ!だ、男性が佐々木が担当だとぉぉおっ!?」

「な、何で佐々木なんだよ!俺、風菜さんが試験官を担当するって言う
から、この昇級試験を受けたっていうのにぃぃい!?」

「あの佐々木郁男っていう奴、男性には態度が悪い事で有名じゃんかさ!
あいつが試験官をするってんなら、採点もめっちゃ厳しいんじゃないのか?」

「あいつ、男には絶対手加減しなさそうだし、普通に嫌なんだけど!」

「しかも試合が同時だから、風菜さんの勇姿も見れねぇじゃんかよ!」

「ぐぬぬ!昇級試験なんて受けなきゃ良かったぜぇぇえっ!」

担当が佐々木だと知った男性新人冒険者の一部が、ブーイングの合唱をする。

「そんな~!わたし、佐々木さんに試験官をやってほしかったんですけど!」

「あわよくば、佐々木様に私の事を好きになってもらって、恋人関係に
なりたかったのにぃ~思惑が丸潰れだぁぁあ~っ!」

「くぅぅう、私も逆たまを狙っていたのにさ~っ!」

「私は別に倉井さんでも構わないけどねぇ...ううん、やっぱ私もイケメンと
お近づきになりたかった~っ!」

そして佐々木が試験官をすると知った女性新人冒険者の一部も、また同じく
ブーイングを合唱する。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「はう!?あ、あれは!?み、みみ、見てよお兄ちゃん!わたしの目の前に
『戦乙女』のリーダー倉井風菜さんと『黄昏の果て』のサブリーダー、
佐々木郁夫さんがいるんですけどぉぉぉお♪」

A級冒険者が二人もご登場に、成美が黄色い声を上げてテンションをあげて
喜び勇む。

「んふふ...これは行くしかない...うん、これはもう行くっきゃないよっ!」

友達にわたしのお兄ちゃんは、風菜さんと佐々木さんが試験官を担当した
試験を受けたんだぞって、自慢できるしねぇっ!

「ほらほら、何をしているの、お兄ちゃん!ボーッとしていないで昇級試験の
受け付けに行ってらっしゃい!登録が締め切られる前にっ!」

「う、うう...な、なあ成美。や、やっぱり試験受けなきゃ駄目か?」

「......行かなきゃ、もう二度とハグは無しになっちゃうけど...良いの?」

「イエッサァァアッ!迅速で受付に行かせていただきまぁ~~すっ!!」

俺は愛しき妹とのハグ禁止なんて御免被ると、猛ダッシュで昇級試験を
受けるべく駆けて行った。

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