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4章・昇級試験
027・昇級試験
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ほうほう...平均値よりちょっと高いって言われているな。
で、数値はどれくらいかな?
次に『鷹の目』のスキルを発動させ、俺は測定したステータスを書き
込む書類に記載されている数値を覗き見る。
なるほど、なるほど。
こんな感じ......ね。
なら、この数値より少し落としたくらいの数値が普通なんだな。
見えた数値を記憶すると、再び隠蔽スキルを発動させて隠蔽する数値を
その数値を参考にしたものへと変換させていく。
「更に保険として、こいつも装着しておくか......」
俺は収納スキル...『無限の倉庫』から、気をある程度押さえ込む事の出来る
装備品、緑色に輝く宝石の付いた【エメラルドアンクレット】を取り出し、
それを右足に装着する。
「これで今度こそいけるだろう!」
―――それから数分後。
「お待たせしたねキミ。では改めて測定しようか。じゃあさっきやった
みたいに.......」
新しい測定器を持ってきた測定係のギルド員にそう言われると、俺は先程の
様に人差し指にリングを嵌め、再度の測定を始める。
「ふむふむ...今度はちゃんと測定出来るな!」
......ホッ!
どうやら今度は上手くいったようだな。
「...で、キミの能力だが...平均よりちょい下って感じかな?はい、これが
キミのステータス数値だよ!」
測定係のギルド員が、今測定した俺のステータスの記載された書類を
手渡してくる。
「正直いって、キミのステータスは平均より低い。でも努力次第で化ける
奴も結構いるのも事実。だからキミもステータスが低いからって諦めず、
頑張って精進しなさい!」
「あ、ありがとうございます。俺、頑張ります!ではっ!」
諦めずに頑張れとフォローを入れてくる測定係のギルド員の優しさに、
俺は「あちらの世界の愚王どもとは大違いだな!」と、ニコッと笑顔で
軽く会釈すると、その場を離れていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、帰ってきた!」
俺の姿を確認した成美が、トタトタと足音を鳴らしながらこちらに
近づいて来る。
「そ、それで結果はどうだった、お兄ちゃん?能力値は高かった?それとも
やっぱり低かった?」
「やっぱりってなんだよ、やっぱりって!ま、まぁ~ご指摘通り、可もなく
不可もない能力値だったけどさ......」
俺はそう言うと、手に持っていたステータス数値の書かれている紙を
成美に見せるため手渡す。
「フムフム...これを見るに、確かに平均より劣るステータスだね?でもま、
戦えないステータスではないみたいだし...何とか形にはなるかもね♪」
測定結果の記述された紙を見た成美は、少し揶揄いを含んだ笑顔を見せると、
渡された紙を俺に返してくる。
「さてっと。お兄ちゃんのステータスも確認したし、そろそろ行こっか
お兄ちゃん♪」
「え?行こうかって、ど、どこにだよ?」
俺の袖を引っ張り、どこかに連れて行こうとする成美にそう訊ねると、
「どこってあそこだよ、あ・そ・こ・♪」
成美は人差し指をスッとある方向に向ける。
「あそこって......あ、あれはっ!?」
成美の人差し指が示す場所に目線を移すと、そこは先程、説明係のお姉さんの
言っていたF級冒険者への昇級試験の準備が行われていた。
「ま、まま、まさかお前!?昇級試験を受けろとか言わないよなっ!?」
俺が目を見開いた戸惑い顔で成美を凝視すると、
成美はニッコリ笑顔で「うん、そだよ♪」と間もなく返す。
「うん、そだよ♪...じゃねぇよっ!お前、俺のステータス見たよねっ!?」
「別にいいじゃん、平均以下レベルのステータスでもさぁ。やれるってっ!
さっきの説明係のお姉さんも言ってたけど、試験を受けても特にデメリットは
ないんだし受けてみなって!それでもし万が一が起こって合格出来たらさぁ、
超ラッキーじゃんさ♪」
いやいや成美さん。
その超ラッキーが出来ちゃうから、試験を受けたくなんですよ。
「なぁ、ひ、ひとつ聞くけどよ。初日でそれをやる奴っているのか?」
「そりゃいるに決まってんじゃん!いなきゃ、係のお姉さんもあんな事は
言わないし、そもそも昇級試験自体しないってば♪」
「そ、そっか...それもそうだよな......」
「それにね、昇級試験に合格した人達ってみんなS級...またはA級冒険者に
なってる人が多いから、その縁を手にするべく新人冒険者はこの日を狙って
試験を受けている人が結構多いんだよ?」
「―――ツァッ!?」
やえべぇぇぇええっ!?
そ、それって完全なる目立ちコースじゃんかぁぁぁあいっ!
あ、危うく、成美に乗せられて試験を受けるところだったぜっ!
「なぁ、成美さん...じ、時間もない事だし、や、やっぱ試験を受けるのは
また後日って事で―――」
俺はやんわり試験を受けるのをやめる事を、成美に伝えようとした瞬間、
「―――絶っっ対に試験官なんてしねぇっ!断固としてお断りだぁぁあっ!!」
試験場の方角から、何かを拒否っている怒号の大声が聞こえてきた。
で、数値はどれくらいかな?
次に『鷹の目』のスキルを発動させ、俺は測定したステータスを書き
込む書類に記載されている数値を覗き見る。
なるほど、なるほど。
こんな感じ......ね。
なら、この数値より少し落としたくらいの数値が普通なんだな。
見えた数値を記憶すると、再び隠蔽スキルを発動させて隠蔽する数値を
その数値を参考にしたものへと変換させていく。
「更に保険として、こいつも装着しておくか......」
俺は収納スキル...『無限の倉庫』から、気をある程度押さえ込む事の出来る
装備品、緑色に輝く宝石の付いた【エメラルドアンクレット】を取り出し、
それを右足に装着する。
「これで今度こそいけるだろう!」
―――それから数分後。
「お待たせしたねキミ。では改めて測定しようか。じゃあさっきやった
みたいに.......」
新しい測定器を持ってきた測定係のギルド員にそう言われると、俺は先程の
様に人差し指にリングを嵌め、再度の測定を始める。
「ふむふむ...今度はちゃんと測定出来るな!」
......ホッ!
どうやら今度は上手くいったようだな。
「...で、キミの能力だが...平均よりちょい下って感じかな?はい、これが
キミのステータス数値だよ!」
測定係のギルド員が、今測定した俺のステータスの記載された書類を
手渡してくる。
「正直いって、キミのステータスは平均より低い。でも努力次第で化ける
奴も結構いるのも事実。だからキミもステータスが低いからって諦めず、
頑張って精進しなさい!」
「あ、ありがとうございます。俺、頑張ります!ではっ!」
諦めずに頑張れとフォローを入れてくる測定係のギルド員の優しさに、
俺は「あちらの世界の愚王どもとは大違いだな!」と、ニコッと笑顔で
軽く会釈すると、その場を離れていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、帰ってきた!」
俺の姿を確認した成美が、トタトタと足音を鳴らしながらこちらに
近づいて来る。
「そ、それで結果はどうだった、お兄ちゃん?能力値は高かった?それとも
やっぱり低かった?」
「やっぱりってなんだよ、やっぱりって!ま、まぁ~ご指摘通り、可もなく
不可もない能力値だったけどさ......」
俺はそう言うと、手に持っていたステータス数値の書かれている紙を
成美に見せるため手渡す。
「フムフム...これを見るに、確かに平均より劣るステータスだね?でもま、
戦えないステータスではないみたいだし...何とか形にはなるかもね♪」
測定結果の記述された紙を見た成美は、少し揶揄いを含んだ笑顔を見せると、
渡された紙を俺に返してくる。
「さてっと。お兄ちゃんのステータスも確認したし、そろそろ行こっか
お兄ちゃん♪」
「え?行こうかって、ど、どこにだよ?」
俺の袖を引っ張り、どこかに連れて行こうとする成美にそう訊ねると、
「どこってあそこだよ、あ・そ・こ・♪」
成美は人差し指をスッとある方向に向ける。
「あそこって......あ、あれはっ!?」
成美の人差し指が示す場所に目線を移すと、そこは先程、説明係のお姉さんの
言っていたF級冒険者への昇級試験の準備が行われていた。
「ま、まま、まさかお前!?昇級試験を受けろとか言わないよなっ!?」
俺が目を見開いた戸惑い顔で成美を凝視すると、
成美はニッコリ笑顔で「うん、そだよ♪」と間もなく返す。
「うん、そだよ♪...じゃねぇよっ!お前、俺のステータス見たよねっ!?」
「別にいいじゃん、平均以下レベルのステータスでもさぁ。やれるってっ!
さっきの説明係のお姉さんも言ってたけど、試験を受けても特にデメリットは
ないんだし受けてみなって!それでもし万が一が起こって合格出来たらさぁ、
超ラッキーじゃんさ♪」
いやいや成美さん。
その超ラッキーが出来ちゃうから、試験を受けたくなんですよ。
「なぁ、ひ、ひとつ聞くけどよ。初日でそれをやる奴っているのか?」
「そりゃいるに決まってんじゃん!いなきゃ、係のお姉さんもあんな事は
言わないし、そもそも昇級試験自体しないってば♪」
「そ、そっか...それもそうだよな......」
「それにね、昇級試験に合格した人達ってみんなS級...またはA級冒険者に
なってる人が多いから、その縁を手にするべく新人冒険者はこの日を狙って
試験を受けている人が結構多いんだよ?」
「―――ツァッ!?」
やえべぇぇぇええっ!?
そ、それって完全なる目立ちコースじゃんかぁぁぁあいっ!
あ、危うく、成美に乗せられて試験を受けるところだったぜっ!
「なぁ、成美さん...じ、時間もない事だし、や、やっぱ試験を受けるのは
また後日って事で―――」
俺はやんわり試験を受けるのをやめる事を、成美に伝えようとした瞬間、
「―――絶っっ対に試験官なんてしねぇっ!断固としてお断りだぁぁあっ!!」
試験場の方角から、何かを拒否っている怒号の大声が聞こえてきた。
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