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半獣半人座星系
唯一無二
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扉を開けると、そこに階層ボスは
いなかった。いったん旅団代表者で集まり、
今後を協議する。
臥龍旅団と、神姫旅団がもう一日このブロック
に留まることとなった。階層ボスの再出現が
絶対にない、という保証はないからだ。
だが、そのあとは、別の上級旅団にお願いして
そこに常駐してもらう。臥龍、神姫の2旅団の
戦力は後の攻略にやはり必要だ。
臥龍旅団を残し、イゾルデ王国の5旅団が
地下8階へ進む。神姫旅団も戻ってくる。
よく見れば、この2旅団は全員女性だ。
そして、両旅団とも趣向は違うが派手な外見。
自分もこの階層ボスブロックに残りたい、
そんな気持ちを抑えながら、先に進む。
地下8階は、10旅団が200メートルの
間隔を開けながら進む。南へ直進し、その後
時計回りで中央通路を階層ボスのブロック
へ向かう。
幸いにも、どの旅団も危険生物とは遭遇
しなかった。この後、いったん南北エリアを
探索して危険生物の数を減らし、襲撃の
可能性を減らしておくのか、
それとも階層ボス攻略へ向かうのか議論に
なった。けっきょく、南北エリア探索は
上級旅団に任せ、我々はボス攻略となった。
上級クラスの旅団については20あまりが
参加している。難易度的には地下8階は少し
厳しいところもあるが、無理さえしなければ
上級旅団でもまず問題ないという判断だ。
もうひとつ情報があった。階層ボスが
いるブロックだが、他の階と異なり、扉が
一ブロック手前にあるという。つまり、
2ブロック分のエリアがありそうなのだ。
内部を解析すると、何か巨大なものがいる、
という話だ。地下7階攻略時と同様、
狂獣旅団、神亀旅団、纏魔旅団の教国
3旅団が当たることになった。
扉を開け、突入していく。玄想旅団は、
シキガミから送られてくる映像を見つめる。
中に居たのは、巨大な竜だった。
エンジニアのヨミー・セカンドがすぐさま
文献を調べる。我々が生まれる前、はるか
昔に、攻城戦などに利用されたもの、
らしいのだが、体表面が装甲化され、鎧の
ようになっている。強化改良されている
ようだ。頭からしっぽまでは100メートル
はありそう。
強化される前から、恐ろしいほどの耐久力を
もっていたと伝えられている。攻城戦に
使われるだけあって、パワーは凄いのだが、
その攻撃が素早い人間を捉えることは難しい
と推測できた。
討伐までには時間がかかるだろうな、
と思っていたのだが、すでに一時間が経過
している。3旅団はひたすら巨竜の攻撃を
かわし、そして攻撃を当てる。
それを繰り返しているのだが、明確な損害を
与えられている雰囲気がない。
別の3旅団と交替し、ローテーションを
組みながら損害を蓄積させていくことに
なった。
教国の陰陽旅団、麒麟旅団、そして、イゾルデ
王国の白狐旅団が交替する。最強の剣士と
最強の魔法士が同時に闘うという話だ。
さすがにこれで決着が着くだろうと高を括って
いたが、やはり一時間してもまだ無理な
ことが判明した。
それどころか、エンジニア達の解析によると、
このペースでは24時間交替で攻撃し続け
ても、1週間はかかりそうな予測が出た。
これはのんびりやるしかないな、と
宿営地でリラックスしていると、玄想旅団
ヨミー・セカンドの献策が通ったらしい。
玄想旅団、ベルンハード・ハネルによる、
頭部への特殊な打撃を用いた討伐、という
策だった。
というわけで、いきなり出番が回って来
そうだ。巨竜のほうは、イゾルデ王国の
百足旅団、鳳凰旅団、そして甲殻旅団に
交替している。
急ぎで特製の梯子が作成開始される。
巨竜の、尻尾あたりが比較的低く、動きも
小さいことから、ここに梯子をかけて
背中に上がる、
そのまま背中を進んでいき、頭部まで
到達したら、特殊棍棒で打撃を与える
手筈だ。
30分ほどで梯子が完成し、迷宮の壁を
使って練習を始める。盾は持たず、予備の
棍棒を背負う。
梯子はアントンとスヴェンに支えてもらう。
何かの時のためにシャマーラとイスハーク、
そしてセイジェンがバックアップする。
巨竜の背の部分は、高さ10メートルほども
あるが、尖っているわけではなく、比較的
平らだ。巨竜が動いている間も、歩いて移動が
可能のようだ。
そして、首が長いわけではなく、野生の生物
でもっとも形状が近いとすると、鰐と呼ばれる
動物かもしれない。足が6本あるところは異
なるかもしれないが。
打撃する場所は二か所あり、巨竜の脳に損害
を与えるわけだが、冗長化されているらしい。
ゴーグルを装着し、通信と映像で打撃箇所が
わかるようにしてもらう。
事前に巨竜の映像からも位置確認しておく。
同時に出てもらう旅団は、白狐旅団と麒麟
旅団となった。頭部に下からの攻撃を集中
してもらい、目くらましとする。
そこからまた色々と準備をしていたので、
百足、鳳凰、甲殻の3旅団には、合計1時間
半ほど戦ってもらうことになった。
そして、いよいよ我々が階層ボスエリアに
入る。さすがに、最強の剣士を抱える
白狐旅団、そして最強の魔法士を抱える
麒麟旅団は、見た目も凛々しい。
一方我々は、梯子や木槌や棍棒などを抱えて、
若干建設業者風だ。しかし、見た目どうこう
は言ってられない。
6人で尻尾の付け根に接近する。巨大な尻尾
は、当たれば危険だが、振られる範囲が
それほど広くない。
イスハークが見張って声を出してくれるので
大丈夫そうだ。少し恐いのが、後ろ足だ。
これもゆっくりした動きなので、ふつうなら
大丈夫なのだが、梯子を掛けるときは
気を付けなければならない。
シャマーラが後ろ脚を気にしながら声を
かけてくれる。セイジェンは少し後ろで、
巨竜含めブロック全体を監視だ。
頭部側の攻撃も開始され、後ろ脚の動きも
鈍ったところで一気に登る。
いなかった。いったん旅団代表者で集まり、
今後を協議する。
臥龍旅団と、神姫旅団がもう一日このブロック
に留まることとなった。階層ボスの再出現が
絶対にない、という保証はないからだ。
だが、そのあとは、別の上級旅団にお願いして
そこに常駐してもらう。臥龍、神姫の2旅団の
戦力は後の攻略にやはり必要だ。
臥龍旅団を残し、イゾルデ王国の5旅団が
地下8階へ進む。神姫旅団も戻ってくる。
よく見れば、この2旅団は全員女性だ。
そして、両旅団とも趣向は違うが派手な外見。
自分もこの階層ボスブロックに残りたい、
そんな気持ちを抑えながら、先に進む。
地下8階は、10旅団が200メートルの
間隔を開けながら進む。南へ直進し、その後
時計回りで中央通路を階層ボスのブロック
へ向かう。
幸いにも、どの旅団も危険生物とは遭遇
しなかった。この後、いったん南北エリアを
探索して危険生物の数を減らし、襲撃の
可能性を減らしておくのか、
それとも階層ボス攻略へ向かうのか議論に
なった。けっきょく、南北エリア探索は
上級旅団に任せ、我々はボス攻略となった。
上級クラスの旅団については20あまりが
参加している。難易度的には地下8階は少し
厳しいところもあるが、無理さえしなければ
上級旅団でもまず問題ないという判断だ。
もうひとつ情報があった。階層ボスが
いるブロックだが、他の階と異なり、扉が
一ブロック手前にあるという。つまり、
2ブロック分のエリアがありそうなのだ。
内部を解析すると、何か巨大なものがいる、
という話だ。地下7階攻略時と同様、
狂獣旅団、神亀旅団、纏魔旅団の教国
3旅団が当たることになった。
扉を開け、突入していく。玄想旅団は、
シキガミから送られてくる映像を見つめる。
中に居たのは、巨大な竜だった。
エンジニアのヨミー・セカンドがすぐさま
文献を調べる。我々が生まれる前、はるか
昔に、攻城戦などに利用されたもの、
らしいのだが、体表面が装甲化され、鎧の
ようになっている。強化改良されている
ようだ。頭からしっぽまでは100メートル
はありそう。
強化される前から、恐ろしいほどの耐久力を
もっていたと伝えられている。攻城戦に
使われるだけあって、パワーは凄いのだが、
その攻撃が素早い人間を捉えることは難しい
と推測できた。
討伐までには時間がかかるだろうな、
と思っていたのだが、すでに一時間が経過
している。3旅団はひたすら巨竜の攻撃を
かわし、そして攻撃を当てる。
それを繰り返しているのだが、明確な損害を
与えられている雰囲気がない。
別の3旅団と交替し、ローテーションを
組みながら損害を蓄積させていくことに
なった。
教国の陰陽旅団、麒麟旅団、そして、イゾルデ
王国の白狐旅団が交替する。最強の剣士と
最強の魔法士が同時に闘うという話だ。
さすがにこれで決着が着くだろうと高を括って
いたが、やはり一時間してもまだ無理な
ことが判明した。
それどころか、エンジニア達の解析によると、
このペースでは24時間交替で攻撃し続け
ても、1週間はかかりそうな予測が出た。
これはのんびりやるしかないな、と
宿営地でリラックスしていると、玄想旅団
ヨミー・セカンドの献策が通ったらしい。
玄想旅団、ベルンハード・ハネルによる、
頭部への特殊な打撃を用いた討伐、という
策だった。
というわけで、いきなり出番が回って来
そうだ。巨竜のほうは、イゾルデ王国の
百足旅団、鳳凰旅団、そして甲殻旅団に
交替している。
急ぎで特製の梯子が作成開始される。
巨竜の、尻尾あたりが比較的低く、動きも
小さいことから、ここに梯子をかけて
背中に上がる、
そのまま背中を進んでいき、頭部まで
到達したら、特殊棍棒で打撃を与える
手筈だ。
30分ほどで梯子が完成し、迷宮の壁を
使って練習を始める。盾は持たず、予備の
棍棒を背負う。
梯子はアントンとスヴェンに支えてもらう。
何かの時のためにシャマーラとイスハーク、
そしてセイジェンがバックアップする。
巨竜の背の部分は、高さ10メートルほども
あるが、尖っているわけではなく、比較的
平らだ。巨竜が動いている間も、歩いて移動が
可能のようだ。
そして、首が長いわけではなく、野生の生物
でもっとも形状が近いとすると、鰐と呼ばれる
動物かもしれない。足が6本あるところは異
なるかもしれないが。
打撃する場所は二か所あり、巨竜の脳に損害
を与えるわけだが、冗長化されているらしい。
ゴーグルを装着し、通信と映像で打撃箇所が
わかるようにしてもらう。
事前に巨竜の映像からも位置確認しておく。
同時に出てもらう旅団は、白狐旅団と麒麟
旅団となった。頭部に下からの攻撃を集中
してもらい、目くらましとする。
そこからまた色々と準備をしていたので、
百足、鳳凰、甲殻の3旅団には、合計1時間
半ほど戦ってもらうことになった。
そして、いよいよ我々が階層ボスエリアに
入る。さすがに、最強の剣士を抱える
白狐旅団、そして最強の魔法士を抱える
麒麟旅団は、見た目も凛々しい。
一方我々は、梯子や木槌や棍棒などを抱えて、
若干建設業者風だ。しかし、見た目どうこう
は言ってられない。
6人で尻尾の付け根に接近する。巨大な尻尾
は、当たれば危険だが、振られる範囲が
それほど広くない。
イスハークが見張って声を出してくれるので
大丈夫そうだ。少し恐いのが、後ろ足だ。
これもゆっくりした動きなので、ふつうなら
大丈夫なのだが、梯子を掛けるときは
気を付けなければならない。
シャマーラが後ろ脚を気にしながら声を
かけてくれる。セイジェンは少し後ろで、
巨竜含めブロック全体を監視だ。
頭部側の攻撃も開始され、後ろ脚の動きも
鈍ったところで一気に登る。
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