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太陽系
バビロンの塔
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旧約聖書の創世記に、巨大な塔が登場する。
人々が同じ言葉を話して塔から離れようと
しないので、神が言葉を分けて、そして人々が
塔の建築をやめ、世界に旅立った。
そして現代、人々は、異なる恒星系まで
広がっている。神は、人間に再び巨大な塔の
建築を許したようだ。
地球を統治するアース連邦は、都市建築物を
基本的に禁止していく方針を持っている
一方で、この人類最大の建築物は許可する
方針だ。
惑星上で高さを追求する試みが、技術発展に
貢献する可能性を考慮している。
場所は、バビロニア州。ディサ・フレッドマン
が担当する地域から、少し西へ外れている。
その基部は、直径5キロ。高さ5キロ。
ずんぐりした形をもつ、巨大建築物だ。
外観はレンガ造りに見える素材を用いている
が、偏光技術を用いて、内部へも外部へも
別々に、あるいは同時に、透過させることが
可能だ。
内部の建物は、宇宙構造都市の技術が応用
された、最新の金属と樹脂と木材の塊だ。
今後は、まず1万メートルの高さを目ざす
という。自然の山も含めてこの惑星上で
最も高い物体になる。
その後、かなり長期的な話となるが、さらに
高みを目さすための、外殻側の強化も
並行して行う。つまり、直径10キロに
渡る外殻都市の建築を行い、それによって
上方への高さも上げていく。
塔は、上層へいくほど近代的なデザインと
なるように今のところ計画されている。
塔の中心先端部と宇宙からケーブルを繋ぐ
計画も検討されている。今までは、安全面
の配慮から、海上でしか宇宙エレベーター
は建設されてこなかった。
エレベーター都市なるものを検討している
のだ。巨大な塔の先に天に伸びるケーブルが
あり、そこを巨大な都市が昇ったり降りたり
する。
それ自体にあまり意味や効果は見いだせない
が、その景色が壮観となることは間違い
ないかもしれない。
天空都市なども近くを浮いていれば、
すごい景色になるのかもしれない。広大な
自然しか存在しない地上に、いきなり
現れる巨大な塔とその上の都市。
地表層の巨大なゲートを通って中に入ると、
地下部分も含めて、地表に近い部分から
利用が進んでおり、観光や商業区のみでなく、
居住区や農業、工業区も存在する。
まだあまり利用が進んでいない層もたくさん
あるが、上の層へとエレベーターで昇って
みる。1000メートル以上の階層では、
気密区域と大気区域に分かれている。
大気区域では、一気に1000メートル以上
をひとつのエレベーターで上がることは
できない造りだ。
最上層で、気密区域から大気区域に移動する
ことは出来なくもないが、気圧調整室で
しばらく調整したうえで、血中酸素飽和度
などの健康チェックも必要となる。
大気区域で少しづつ体を慣らしながら、
最上層まで上がる。5000メートルという
のは、ふだん移動住居ラウニでもトレーニング
で設定したりする気圧だ。
慣れないうちは高山病などになってしまって
大変だが、適応がうまくなれば、その冷たい
空気がおいしく感じる。
最上階はさすがに建築真っ最中という雰囲気
だが、その建築の様子も含めて見学できる
ようになっている。
これが高さ1万メートルまで到達すれば、
その高さで居住区ができ、都市生活ができる。
おそらくスポーツ選手などが利用して、
どういった身体能力が得られるかなどを
試すのだろう。
塔の地下利用は、建物としての基盤強化の
意味もあり、耐震なども考慮されている。
そのうえで、反重力エンジンなども構造の
要所に使われている。
このことは少し議論を呼んでおり、反重力
エンジンを使用している時点で、建築物
とは言えないのではないか、という指摘も
ある。
だが、定義はともかく安全面を考えると、
使えるものは何でも使うべきだ、という
建築方針になった。
また、今後構造上の、あるいは運用上の問題
が出た場合、すべてをいったん無に戻して、
新たに造りなおすという方針も出している。
これは、解体再利用の技術が今後も重要に
なるというのと、都市を緑化していく技術が
すでにかなり進歩している、という背景が
ある。
例えば、現在人類は太陽系外へ飛び出し、
別の恒星系に到達して暮らしを始めている。
その様子が光通信などで数年かけて
太陽系にも届く。
この、太陽系外に飛び出す際に使用された
移動都市、その当時の技術の粋を集めた
ものであったわけだが、当時もっとも
ポイントとなったのは、解体再利用の技術
発展だった、と言われている。
構造物にしてもゴミにしても、古くなって
使えなくなったものなどを、早くそして
楽に再利用できる技術があって、はじめて
太陽系の外に出ることができた、という
わけだ。
この時代、過去に人類が捨てたゴミすらも
すべて再利用され、惑星上に捨てられたゴミ、
というものがもはや存在しなくなってきて
いる。
人々が同じ言葉を話して塔から離れようと
しないので、神が言葉を分けて、そして人々が
塔の建築をやめ、世界に旅立った。
そして現代、人々は、異なる恒星系まで
広がっている。神は、人間に再び巨大な塔の
建築を許したようだ。
地球を統治するアース連邦は、都市建築物を
基本的に禁止していく方針を持っている
一方で、この人類最大の建築物は許可する
方針だ。
惑星上で高さを追求する試みが、技術発展に
貢献する可能性を考慮している。
場所は、バビロニア州。ディサ・フレッドマン
が担当する地域から、少し西へ外れている。
その基部は、直径5キロ。高さ5キロ。
ずんぐりした形をもつ、巨大建築物だ。
外観はレンガ造りに見える素材を用いている
が、偏光技術を用いて、内部へも外部へも
別々に、あるいは同時に、透過させることが
可能だ。
内部の建物は、宇宙構造都市の技術が応用
された、最新の金属と樹脂と木材の塊だ。
今後は、まず1万メートルの高さを目ざす
という。自然の山も含めてこの惑星上で
最も高い物体になる。
その後、かなり長期的な話となるが、さらに
高みを目さすための、外殻側の強化も
並行して行う。つまり、直径10キロに
渡る外殻都市の建築を行い、それによって
上方への高さも上げていく。
塔は、上層へいくほど近代的なデザインと
なるように今のところ計画されている。
塔の中心先端部と宇宙からケーブルを繋ぐ
計画も検討されている。今までは、安全面
の配慮から、海上でしか宇宙エレベーター
は建設されてこなかった。
エレベーター都市なるものを検討している
のだ。巨大な塔の先に天に伸びるケーブルが
あり、そこを巨大な都市が昇ったり降りたり
する。
それ自体にあまり意味や効果は見いだせない
が、その景色が壮観となることは間違い
ないかもしれない。
天空都市なども近くを浮いていれば、
すごい景色になるのかもしれない。広大な
自然しか存在しない地上に、いきなり
現れる巨大な塔とその上の都市。
地表層の巨大なゲートを通って中に入ると、
地下部分も含めて、地表に近い部分から
利用が進んでおり、観光や商業区のみでなく、
居住区や農業、工業区も存在する。
まだあまり利用が進んでいない層もたくさん
あるが、上の層へとエレベーターで昇って
みる。1000メートル以上の階層では、
気密区域と大気区域に分かれている。
大気区域では、一気に1000メートル以上
をひとつのエレベーターで上がることは
できない造りだ。
最上層で、気密区域から大気区域に移動する
ことは出来なくもないが、気圧調整室で
しばらく調整したうえで、血中酸素飽和度
などの健康チェックも必要となる。
大気区域で少しづつ体を慣らしながら、
最上層まで上がる。5000メートルという
のは、ふだん移動住居ラウニでもトレーニング
で設定したりする気圧だ。
慣れないうちは高山病などになってしまって
大変だが、適応がうまくなれば、その冷たい
空気がおいしく感じる。
最上階はさすがに建築真っ最中という雰囲気
だが、その建築の様子も含めて見学できる
ようになっている。
これが高さ1万メートルまで到達すれば、
その高さで居住区ができ、都市生活ができる。
おそらくスポーツ選手などが利用して、
どういった身体能力が得られるかなどを
試すのだろう。
塔の地下利用は、建物としての基盤強化の
意味もあり、耐震なども考慮されている。
そのうえで、反重力エンジンなども構造の
要所に使われている。
このことは少し議論を呼んでおり、反重力
エンジンを使用している時点で、建築物
とは言えないのではないか、という指摘も
ある。
だが、定義はともかく安全面を考えると、
使えるものは何でも使うべきだ、という
建築方針になった。
また、今後構造上の、あるいは運用上の問題
が出た場合、すべてをいったん無に戻して、
新たに造りなおすという方針も出している。
これは、解体再利用の技術が今後も重要に
なるというのと、都市を緑化していく技術が
すでにかなり進歩している、という背景が
ある。
例えば、現在人類は太陽系外へ飛び出し、
別の恒星系に到達して暮らしを始めている。
その様子が光通信などで数年かけて
太陽系にも届く。
この、太陽系外に飛び出す際に使用された
移動都市、その当時の技術の粋を集めた
ものであったわけだが、当時もっとも
ポイントとなったのは、解体再利用の技術
発展だった、と言われている。
構造物にしてもゴミにしても、古くなって
使えなくなったものなどを、早くそして
楽に再利用できる技術があって、はじめて
太陽系の外に出ることができた、という
わけだ。
この時代、過去に人類が捨てたゴミすらも
すべて再利用され、惑星上に捨てられたゴミ、
というものがもはや存在しなくなってきて
いる。
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