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第一章 闇魔女はスパルタ教師に囲われる!?
落っこちて、落とされて? 3
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「エファリュー殿」
跪いたまま、アルクェスはエファリューの両の手を取った。
「このまま、どうかわたしのそばにいてはくださいませんか!?」
言葉だけなら求愛されているように受け取れた。
エファリューはぞぞぞ、と肌を粟立たせた。彼は確かに見目麗しく、恋人にしたら自慢できるような人物に思える。しかし会って数分で求愛とは、エファリューの中では論外だ。
「ご遠慮いたします」
「しかし、行くあてがないのでしたら、ここにいたらよろしいのでは」
「いいえ、絶対に面倒でしょうから」
確かにエファリューは高貴な身分の御仁との出会いを求めていたが、それは無償奉仕してくれる超極太のパトロンを指してのことだ。色恋は御免だ。
ただの平民の男と付き合ったって、なんだかんだ面倒がつきものだというのに、お貴族様にご奉仕なんて絶対骨が折れるに決まっている。
「何も、貴女の手を煩わせることにはなりません」
アルクェスはなおも食い下がった。
「何もしなくていいんです」
ぴくりとエファリューの耳が反応する。
「ただただ其処にいてくれるだけでいいんです。気が向いた時に、ちょっと微笑んでくれる程度で」
ぴく、ぴくり。
「衣食住の保証もいたします! 微々たるものですが、毎月決まった額の報奨金もお約束します。だからどうかお願いいたします! これから一生、貴女を囲う許しをください!」
「その話、ちょっと詳しく聞かせてもらえるかしら?」
破格の好待遇で、一生不自由せずに暮らせるなら願ったり叶ったりだ。
アルクェスは「ありがとうございます!」と心底嬉しそうに頭を下げて、エファリューをそっと立たせた。
「どうぞ、中でゆっくりお話を。そうだ、何か温かいものを用意しましょう。山と空を越えてきたんです、さぞお疲れでしょう?」
しばらくまともな食事をしていなかったエファリューの腹は、お誘いの言葉だけで涎が出そうなほどペコペコだった。
すっかりいい気になって、出された食事にぱくついていたら、猛烈な眠気に襲われた。エファリューは無作法にもフォークを取り落としてしまった。
かくり、かくりと舟を漕ぎ、椅子から崩れ落ちそうになるのを、アルクェスがすかさず支えた。その口許には、先程までとはまるで真逆の冷えた微笑が浮かぶ。
「……いますか、サラ?」
「ここに」
扉の陰から、赤毛を三つ編みにした侍女が姿を現した。
「姫様を寝台へ運んでください。そうそう、身につけたものはすべて……下穿きにいたるまで取り払い、わたしの部屋に届けなさい」
「承知いたしました」
跪いたまま、アルクェスはエファリューの両の手を取った。
「このまま、どうかわたしのそばにいてはくださいませんか!?」
言葉だけなら求愛されているように受け取れた。
エファリューはぞぞぞ、と肌を粟立たせた。彼は確かに見目麗しく、恋人にしたら自慢できるような人物に思える。しかし会って数分で求愛とは、エファリューの中では論外だ。
「ご遠慮いたします」
「しかし、行くあてがないのでしたら、ここにいたらよろしいのでは」
「いいえ、絶対に面倒でしょうから」
確かにエファリューは高貴な身分の御仁との出会いを求めていたが、それは無償奉仕してくれる超極太のパトロンを指してのことだ。色恋は御免だ。
ただの平民の男と付き合ったって、なんだかんだ面倒がつきものだというのに、お貴族様にご奉仕なんて絶対骨が折れるに決まっている。
「何も、貴女の手を煩わせることにはなりません」
アルクェスはなおも食い下がった。
「何もしなくていいんです」
ぴくりとエファリューの耳が反応する。
「ただただ其処にいてくれるだけでいいんです。気が向いた時に、ちょっと微笑んでくれる程度で」
ぴく、ぴくり。
「衣食住の保証もいたします! 微々たるものですが、毎月決まった額の報奨金もお約束します。だからどうかお願いいたします! これから一生、貴女を囲う許しをください!」
「その話、ちょっと詳しく聞かせてもらえるかしら?」
破格の好待遇で、一生不自由せずに暮らせるなら願ったり叶ったりだ。
アルクェスは「ありがとうございます!」と心底嬉しそうに頭を下げて、エファリューをそっと立たせた。
「どうぞ、中でゆっくりお話を。そうだ、何か温かいものを用意しましょう。山と空を越えてきたんです、さぞお疲れでしょう?」
しばらくまともな食事をしていなかったエファリューの腹は、お誘いの言葉だけで涎が出そうなほどペコペコだった。
すっかりいい気になって、出された食事にぱくついていたら、猛烈な眠気に襲われた。エファリューは無作法にもフォークを取り落としてしまった。
かくり、かくりと舟を漕ぎ、椅子から崩れ落ちそうになるのを、アルクェスがすかさず支えた。その口許には、先程までとはまるで真逆の冷えた微笑が浮かぶ。
「……いますか、サラ?」
「ここに」
扉の陰から、赤毛を三つ編みにした侍女が姿を現した。
「姫様を寝台へ運んでください。そうそう、身につけたものはすべて……下穿きにいたるまで取り払い、わたしの部屋に届けなさい」
「承知いたしました」
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✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
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