悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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時を操った少女

第389話-力の差-

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 そこにいる全員が呆気に取られていた。
 目の前で繰り広げられる魔法を使った戦いに。
 見たことのないレベルの魔法が飛び交う事を見ているしかなかった。
 発動までの時間と発動規模が桁違いだからこそ、如何に魔法のレベルに差がありすぎるかが嫌でも理解できてしまう。
 ただそれでも短いながらでも一緒に旅をした仲間が追い込まれてるのを見ているだけには出来ない、それぐらいの情は俺にもある。

「やめとけ、邪魔になるだけだ」

 スウェイが一歩前に出ようとした俺を制した。

「力の差がありすぎる。場違いだ。巻き込まれるぞ」
「でも、ほっとけねぇだろ」

 外野から見てても致命の一撃が入っていた。その状態から追い込まれていくあいつを見てるだけなんて出来ない。

「近づかなきゃいいだろ!」

 制した手を払いのけて俺は茂みから飛び出てテールに襲いかかる男に向かって風の刃を飛ばした。
 一瞬の溜め時間を渾身の魔法を放つ、男はこっちのことなんて目にもくれていない、このタイミングなら避けられない。
 剣から放たれた風の刃が男の元へと一直線に飛び、直撃した。
 直撃したはずだった……。
 男は当たったにも関わらず無反応でそのままテールの方へと走っていく。
 堪えているようにも見えない、ただ何もなかった様に、当たり前の様に戦いを続けている。

「なんだよ、俺の渾身の魔法だったぞ」

 焦りが湧き出てきた。
 それは多少なりとも魔法を後輩に習い、他人にも通じていたから、それが無視されるレベルのものだったと言う事での焦り。

「ふっざけんな」

 俺は制止された事を忘れて、男の元へと駆け出した、一気に間合いを詰めて剣を振り下ろした。
 魔法での身体強化は間違いなく出来ている、スピードには自信があった、だからこそ間合いを詰められた。
 男に剣が当たると手に衝撃が走り、鈍い音がした。
 音の正体は剣の折れる音。振り下ろした剣は男を切る事なく折れた。
 テールの魔法を防ぐ様に魔法で防がれたわけじゃない、当たっただけで折れた。

「雑魚が目障りなんだよぉ!」

 ここでようやく男の反応が来た。ただそこにダメージの一つもない。
 こちらを振り払う様に固められた拳が俺に向かってくる、避けられないタイミングで向かってきた拳から放たれた魔法から轟音と共に衝撃が走った。
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