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時を操った少女
第381話-意志-
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「仕方ないって…なによそれ」
思わず口からこぼれてしまった無意識の言葉はみんなの視線を私に集めるには十分過ぎる一言だった。
「よくないでしょ! どうすれば元気になれるか考えようよ!」
「ありがとうございます」
私の溢れでた感情に対してアリスは優しい口調で一言お礼を言った。
慈悲のような温かみを感じるその言葉にはどんなアリスの思いが乗っているんだろうか、私には今は分からなかった。
怒ってくれてありがとうなのか、何で怒っているのか、怒るほどのことでもないと言う意味なのか、私には理解できなかった。
「私はたくさん悪いことをしました。それをみんなが覚えてなくても、自分のために」
淡々と自分の脚を摩りながら語る。
「自分の欲望のために、何回も何回もやり直して、みんなの時間を無かったことにして好き放題やっていました。よく知ってますよね」
私に向けられた言葉なのは間違いない。だけど、私はその問いかけに答えなかった。いや、答えられない。今答えたらそれはアリスを肯定してしまうことに繋がりそうだから。
「だから今間違いを正してもらって私は幸せです。時間の大切さをしって、自分の間違いを見つめ直すことができました。それでもまだ迷惑をかけている人もいます。世話をしてくれているシャバーニ、心配をかけている両親、私のため怒ってくれている優子さん」
外からは微かにヤンとシャバーニの声が聞こえている。二人で試合でもしているんだろうか。
「これは私への戒めです。私の勝手な都合でさよならをした私の友達、私のために魔法を使ってくれていたのに。私が拒絶をした結果がこれなら……仕方ありません」
『仕方ない』その言葉はさっきと同じ。彼女の中で答えは出ている。それを私なんかが言っても変えることを出来ない、そらを思い知った。
いや、私だけじゃないかもしれない。誰に言われても変わらないのかも知れない。
「テールさん、他に方法はないの?」
「ない。大精霊の僕が断言するよ。もう精霊次第でしか解決方法はないよ」
お墨付きで答えが出てしまった。その答えに脱力してしまって立っている事すら出来なくなって椅子の上にお尻から落ちた。
痛みなんてものはほとんど感じない。
「可哀想……とは思わないで下さい」
「そんなこと思ってない」と言おうとしたけど、言えなかった。
だって私が怒った理由は……。
アリスは私が怒った理由を見抜いていた。
思わず口からこぼれてしまった無意識の言葉はみんなの視線を私に集めるには十分過ぎる一言だった。
「よくないでしょ! どうすれば元気になれるか考えようよ!」
「ありがとうございます」
私の溢れでた感情に対してアリスは優しい口調で一言お礼を言った。
慈悲のような温かみを感じるその言葉にはどんなアリスの思いが乗っているんだろうか、私には今は分からなかった。
怒ってくれてありがとうなのか、何で怒っているのか、怒るほどのことでもないと言う意味なのか、私には理解できなかった。
「私はたくさん悪いことをしました。それをみんなが覚えてなくても、自分のために」
淡々と自分の脚を摩りながら語る。
「自分の欲望のために、何回も何回もやり直して、みんなの時間を無かったことにして好き放題やっていました。よく知ってますよね」
私に向けられた言葉なのは間違いない。だけど、私はその問いかけに答えなかった。いや、答えられない。今答えたらそれはアリスを肯定してしまうことに繋がりそうだから。
「だから今間違いを正してもらって私は幸せです。時間の大切さをしって、自分の間違いを見つめ直すことができました。それでもまだ迷惑をかけている人もいます。世話をしてくれているシャバーニ、心配をかけている両親、私のため怒ってくれている優子さん」
外からは微かにヤンとシャバーニの声が聞こえている。二人で試合でもしているんだろうか。
「これは私への戒めです。私の勝手な都合でさよならをした私の友達、私のために魔法を使ってくれていたのに。私が拒絶をした結果がこれなら……仕方ありません」
『仕方ない』その言葉はさっきと同じ。彼女の中で答えは出ている。それを私なんかが言っても変えることを出来ない、そらを思い知った。
いや、私だけじゃないかもしれない。誰に言われても変わらないのかも知れない。
「テールさん、他に方法はないの?」
「ない。大精霊の僕が断言するよ。もう精霊次第でしか解決方法はないよ」
お墨付きで答えが出てしまった。その答えに脱力してしまって立っている事すら出来なくなって椅子の上にお尻から落ちた。
痛みなんてものはほとんど感じない。
「可哀想……とは思わないで下さい」
「そんなこと思ってない」と言おうとしたけど、言えなかった。
だって私が怒った理由は……。
アリスは私が怒った理由を見抜いていた。
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