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時を操った少女
第380話-人間と精霊-
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「精霊のせい……?」
アリスはポツリと呟いた。その言葉は呆気にとられたように出て感情と言うものは混ざっていない。
ただその言葉は私からも溢れそうになっていた。
「そうさ。君、精霊を拒絶か何かしたんじゃ無い?」
「はい。フランソワ様……いや、優子様に諭されてその時に」
ややこしいけど私がって事は、私がこの世界にフランソワとしていた時のことだろう。あの時間を巻き戻してた時。
「私はもう大丈夫ですって。そう言った覚えがあります」
「そうか、だからだね。精霊は君の元を去った。でも精霊とのつながりは完全に断ち切ることなんて出来ないんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ。完全に断ち切ったら……人間は死ぬよ」
その言葉に全身が寒くなった。予想もしてなかった。そんな言葉が出てくるなんて。思わず息を呑んだ。
「でも今の君に精霊は見えないし声も聞こえないだろ。精霊は元々別の世界にいる、そこに帰った。だけど繋がりを断つ事はできない、だから繋がりを残したままね。君と精霊は細い線一本で繋がっている状態だと思えばいい。その細い線を通じて君と精霊は生命力を共有しているんだ」
お茶を冷まして口に含んで飲み込めるぐらい長い説明だった。普段飄々としているテールさんだから真剣味が際立っている。
「元々君の生命力は弱かった。だけど精霊がいたおかげで満足に生活できてたんだと思う。その生命力の共有が薄い、だから君の身体は弱ってきている」
「それってアリスはいずれ死ぬって事?」
私が口を挟んでしまった。これを聞く権利は本来アリスが持っているはずなのに。
「なんとも言えないけど、それは遠い先の話かな。ただ不自由な事は多くなってくるんじゃ無いかな」
「今以上に私の身体は動かなくなりますか?」
「かも知れない」
「アリスさんを救う方法はないんでしょうか? 精霊を呼び戻すとか」
「無理だね。奇跡を待つしかない」
「奇跡?」
「精霊への声は伝わらない、違う世界にいるからね。向こうがこっちにきてくれるまでは連絡は取れない」
『無理』。その一言がこの場の空気にとどめを刺した。
「バレルさんの魔法みたいに生命力を流し込むのはだめなの?」
バレルさんの魔法を教えてもらった時のことを思い出す。生命力を分け与えることでの治癒力を推進させる魔法。
「生命力を活発化させるのとはまた別物だよ。言っちゃえば源泉が弱いんだ。だから現時点では手の施しようがないんだ」
体温が上がってくるのがわかる。思考がまとまってこなくなってきた。打開策が思い浮かない。そんなつもりはなくても、目頭が熱くなって瞬きをしたら乾いた頬に一筋の水路が出来上がりそうだ。
突きつけられた現実を覆せない自分が情けなくて腹が立つ。
そんな私を尻目にアリスは笑ってこう言った。
「仕方ありませんね」
アリスはポツリと呟いた。その言葉は呆気にとられたように出て感情と言うものは混ざっていない。
ただその言葉は私からも溢れそうになっていた。
「そうさ。君、精霊を拒絶か何かしたんじゃ無い?」
「はい。フランソワ様……いや、優子様に諭されてその時に」
ややこしいけど私がって事は、私がこの世界にフランソワとしていた時のことだろう。あの時間を巻き戻してた時。
「私はもう大丈夫ですって。そう言った覚えがあります」
「そうか、だからだね。精霊は君の元を去った。でも精霊とのつながりは完全に断ち切ることなんて出来ないんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ。完全に断ち切ったら……人間は死ぬよ」
その言葉に全身が寒くなった。予想もしてなかった。そんな言葉が出てくるなんて。思わず息を呑んだ。
「でも今の君に精霊は見えないし声も聞こえないだろ。精霊は元々別の世界にいる、そこに帰った。だけど繋がりを断つ事はできない、だから繋がりを残したままね。君と精霊は細い線一本で繋がっている状態だと思えばいい。その細い線を通じて君と精霊は生命力を共有しているんだ」
お茶を冷まして口に含んで飲み込めるぐらい長い説明だった。普段飄々としているテールさんだから真剣味が際立っている。
「元々君の生命力は弱かった。だけど精霊がいたおかげで満足に生活できてたんだと思う。その生命力の共有が薄い、だから君の身体は弱ってきている」
「それってアリスはいずれ死ぬって事?」
私が口を挟んでしまった。これを聞く権利は本来アリスが持っているはずなのに。
「なんとも言えないけど、それは遠い先の話かな。ただ不自由な事は多くなってくるんじゃ無いかな」
「今以上に私の身体は動かなくなりますか?」
「かも知れない」
「アリスさんを救う方法はないんでしょうか? 精霊を呼び戻すとか」
「無理だね。奇跡を待つしかない」
「奇跡?」
「精霊への声は伝わらない、違う世界にいるからね。向こうがこっちにきてくれるまでは連絡は取れない」
『無理』。その一言がこの場の空気にとどめを刺した。
「バレルさんの魔法みたいに生命力を流し込むのはだめなの?」
バレルさんの魔法を教えてもらった時のことを思い出す。生命力を分け与えることでの治癒力を推進させる魔法。
「生命力を活発化させるのとはまた別物だよ。言っちゃえば源泉が弱いんだ。だから現時点では手の施しようがないんだ」
体温が上がってくるのがわかる。思考がまとまってこなくなってきた。打開策が思い浮かない。そんなつもりはなくても、目頭が熱くなって瞬きをしたら乾いた頬に一筋の水路が出来上がりそうだ。
突きつけられた現実を覆せない自分が情けなくて腹が立つ。
そんな私を尻目にアリスは笑ってこう言った。
「仕方ありませんね」
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