悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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教団と大精霊

第375話-共同討伐任務-

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「その通りよ、別の情報でも流れてくれていた方が良かったのに」
「ふむ……してどうされるつもりで?」

 考えはある。あるからこそ催促されるのはなんだかムカついてくる。
 
「噂では巷を騒がせている黒い獣のかなり大きな個体であるとか」

 情報はまたまた正しい。
 今朝来た使者の話した任務。周辺地域での共同討伐任務、話によるとかなり大柄な黒い生き物が巣くった場所があるらしい。そこを人手を集めて叩く作戦。
 なんでこんな話が来たかと言うとその場所の近くであると言うのもあるけど、王都も人手が足りていないかららしい。
 人手不足が実際はどうかは分からない、だけど任務が来たのは間違いない。確かにここ最近黒い獣の被害報告は増えてきている。それに対応を追われているんなら納得はできる。

「募集人数は四名よ。考えはあるわ」
「聞かせていただいても?」
「アルを中心とした四人よ。アルは指揮する力もあるしね。残り三名の人選はまだ今から。アルにお願いするか、募集するか」
「ユリ殿やオーラン殿は出されませんのか?」
「オーランは諜報任務中よ。仮に居ても二人には待機してもらうわ。何が周りで起こるか分からないし」
「賢明な判断ですな」
「だからこちらは私に任せてもらいます」
「ふむ。それなら出る幕はなさそうですな」

 拍子抜けするくらいにあっさりと納得してくれた事に驚く。けどそれを顔に出しちゃいけない。

「アル殿の活躍と無事を祈りましょう。それでは私は職務へと戻りますので」

 言いたい事だけ言って部屋を去っていってしまった。私としては心労が少なくて助かった。
 部屋が私だけになると入れ替わりでユリが戻ってきた。

「あー、早速だけどアルを呼んできてくれないかしら」
「分かりました」

 ユリは言葉通りにすぐにアルを連れてきてくれた。
 今度はユリにも同席してもらってアルに任務の内容を伝えた。
 考え込む様にして話を聞くアル、表情はいつもの優しい顔つきからは想像出来ないほどの険しいものになっている。

「その任務お受けします」
「ありがとう。負担ばかりかけて悪いわね」

 アルには普段から仕事を任せてしまっている。彼の指示役としての適性は高い。だからどうしても手間と責任感のかかる仕事を任せてしまっている状態が続いている。

「そんなことありません。では早速任務のための人選に移りますので失礼致します」

 迅速さと真面目さが彼を信頼できる所ではあるんだけど、それがいつか彼の危険へとつながらないかが不安な点でもある。
 それを分かっていながら彼に重い任務を任せてしまうのは上役の人間としては良くないところなのだと自己嫌悪に至ってしまう。

「アル隊長なら大丈夫ですよ」

 そんな心の中を察してフォローしてくれユリには足を向けて寝られない。
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