悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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教団と大精霊

第374話-フランソワの厄介ごと-

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 机に置かれた報告書の山と朝からの厄介ごとに頭を悩ませながら天井を眺めている。
 仮にも小領主な私のこんな姿を見せられるのはいつも隣にいてくれるユリくらいだ。
 ユリはこんな私を見飽きているのか何も言わずに部屋の景観のチェックをしてくれている。掃除なんかもしてくれる時はあるけどそれを止めても聞かないからもう諦めている。本人曰く「動いてる方が性に合っているので」らしい。

「しかし穏やかではないですね」

 ユリの言葉は多分今朝舞い込んできた絶賛私の頭を悩ませている招集の任務のことだろう。

「そうねぇ。最近の異変からこんな日が来るんじゃないかと思ってはいたんだけどねぇ」

 考えはある。誰をその任務に就かせるか。ただ、それを決め切るには至っていない。それを決め切るためにユリに相談してみようかと思った矢先に扉がノックされた。
 このノックの仕方は……聞き慣れて嫌になってしまったノックだ。

「どうぞ」

 さっきまでの気の抜け切った態度を改めて許可を出した。さっきまでの姿を見られたら何を言われるか分からない。

「失礼しますぞ」

 正解、ボーコリーだ。
 悪い人ではないけど小言が多いところが私は苦手だ。

「浮かない顔をされてますかの」
「全然そんな事ないわよ。それでどうしたの?」
「ヤン殿に課した任務どうなっておるかと思いましてな」

 前言撤回。悪い人じゃないとは思っていたけど結構悪い人じゃないかしらこいつ。

「そんな簡単には行かないわ。当たり前じゃない」
「女子二人を騎士団の中でも足が速い人選で追わせたのでは……?」

 確かにもうとっくに合流しているだろうに。かと言ってヤンに彼女達を始末させるつもりなんてない。
 あくまで優子さんが帰るまでの期間ヤンを護衛につけたつもりなんだから。彼女が帰るまで時間を稼ぐのが私の仕事。

「だからこそよ。二人旅なんて気をつけてるからこそ簡単に事は運ばないわ。移動だってどっかの馬車旅にくっついてるだろうしね。それとも馬車の同行者ごと始末するの?」
「ふむ……それはあまり良くはありませんな。しかし、人手が足りないなら私の方でも手配しますぞね
「ご心配に及ばないわ。ありがとう」

 そんなことされてたまるもんか。ややこしくなるわ。

「まぁ何かしら動きがあったらまた相談でもさせてもらうわ」

 適当にそのうちでっち上げて言っておこう。オーランあたりに報告貰ったことにしようか。

「お待ちしておりましょう。とりあえずそれはついででしてな。今朝の使者で兵たちの中で話が広がっておりますぞ」
「えっ? 誰が言ったのよ」
「情報は外からやってきますものじゃ。わしも噂程度だからこそここに来ましてな」

 使者が勝手に話すとも思えないし、今朝の話を聞いていたのは私とユリだけ。となると外からか。

「使者の話とは共同での討伐任務でよろしいですかな……?」
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