悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

文字の大きさ
上 下
405 / 431
教団と大精霊

第374話-フランソワの厄介ごと-

しおりを挟む
 机に置かれた報告書の山と朝からの厄介ごとに頭を悩ませながら天井を眺めている。
 仮にも小領主な私のこんな姿を見せられるのはいつも隣にいてくれるユリくらいだ。
 ユリはこんな私を見飽きているのか何も言わずに部屋の景観のチェックをしてくれている。掃除なんかもしてくれる時はあるけどそれを止めても聞かないからもう諦めている。本人曰く「動いてる方が性に合っているので」らしい。

「しかし穏やかではないですね」

 ユリの言葉は多分今朝舞い込んできた絶賛私の頭を悩ませている招集の任務のことだろう。

「そうねぇ。最近の異変からこんな日が来るんじゃないかと思ってはいたんだけどねぇ」

 考えはある。誰をその任務に就かせるか。ただ、それを決め切るには至っていない。それを決め切るためにユリに相談してみようかと思った矢先に扉がノックされた。
 このノックの仕方は……聞き慣れて嫌になってしまったノックだ。

「どうぞ」

 さっきまでの気の抜け切った態度を改めて許可を出した。さっきまでの姿を見られたら何を言われるか分からない。

「失礼しますぞ」

 正解、ボーコリーだ。
 悪い人ではないけど小言が多いところが私は苦手だ。

「浮かない顔をされてますかの」
「全然そんな事ないわよ。それでどうしたの?」
「ヤン殿に課した任務どうなっておるかと思いましてな」

 前言撤回。悪い人じゃないとは思っていたけど結構悪い人じゃないかしらこいつ。

「そんな簡単には行かないわ。当たり前じゃない」
「女子二人を騎士団の中でも足が速い人選で追わせたのでは……?」

 確かにもうとっくに合流しているだろうに。かと言ってヤンに彼女達を始末させるつもりなんてない。
 あくまで優子さんが帰るまでの期間ヤンを護衛につけたつもりなんだから。彼女が帰るまで時間を稼ぐのが私の仕事。

「だからこそよ。二人旅なんて気をつけてるからこそ簡単に事は運ばないわ。移動だってどっかの馬車旅にくっついてるだろうしね。それとも馬車の同行者ごと始末するの?」
「ふむ……それはあまり良くはありませんな。しかし、人手が足りないなら私の方でも手配しますぞね
「ご心配に及ばないわ。ありがとう」

 そんなことされてたまるもんか。ややこしくなるわ。

「まぁ何かしら動きがあったらまた相談でもさせてもらうわ」

 適当にそのうちでっち上げて言っておこう。オーランあたりに報告貰ったことにしようか。

「お待ちしておりましょう。とりあえずそれはついででしてな。今朝の使者で兵たちの中で話が広がっておりますぞ」
「えっ? 誰が言ったのよ」
「情報は外からやってきますものじゃ。わしも噂程度だからこそここに来ましてな」

 使者が勝手に話すとも思えないし、今朝の話を聞いていたのは私とユリだけ。となると外からか。

「使者の話とは共同での討伐任務でよろしいですかな……?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

転生ヒロインは乙女ゲームを始めなかった。

よもぎ
ファンタジー
転生ヒロインがマトモな感性してる世界と、シナリオの強制力がある世界を混ぜたらどうなるの?という疑問への自分なりのアンサーです。転生ヒロインに近い視点でお話が進みます。激しい山場はございません。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

処理中です...