404 / 431
教団と大精霊
第373話-意外な経歴-
しおりを挟む
「さて、そしたら俺はここらで帰ろうかね」
「あっ、スウェイさん待って下さい」
「どうした?」
「知りたい事知れましたか……?」
巻き込まれただけでこの場に来てくれたスウェイさん、最初の目的は自分の住んでいる村に何が起こったを知りたかったはずだ。なのにまだその話は出来てない。
「代わりに予想以上に凄いことを聞けたからもういい。この村に何が起こったかはここにいる全員で意見を出しても推測の域を出ないだろう。気を使わせたな」
悔しいけどスウェイさんの言う通りだ。この場に事件の当事者がいないんだから推測しか言えない。
「まぁ待てよ。俺からも話がある」
「なんだいきなり」
スウェイさんに声をかけたのは意外にもヤンだった。
「あんた護衛の仕事につかないか?」
「突然だな」
「まぁ俺らは魔法教団とも揉める立場でな、人数の多いあいつらに対抗するのに護衛はどれだけいても不足しねぇ」
ヤンの提案は確かにありがたい。人手は多いに越したことはない。
「あんたがこの村でやることがあるとかなら素直に引き下がるが……どうだ?」
「ゆっくり休むための里帰りだったんだがな……まぁいいだろうその話乗ろう。俺の名前を騙っていたやつにも少し腹が立っているしな。お前たちといればまた会えそうな気もする」
「その保証はねぇが……とりあえずよろしくな。お嬢も問題ねぇな」
「私も賛成」
誰も異論はないらしい。むしろみんなが小さく拍手をしていた。歓迎の声の代わりに歓迎の音が鳴った。
「そしたら報酬の話は後にして、改めて自己紹介させてもらう」
部屋の奥からわざわざ私の前にやってきた。近くで見ると長身の上に筋肉質な腕が見えているから威圧感と言うか迫力が凄い。
「名はスウェイ=アルバンズ、元はしがない王国騎士団員だ。雇い入れてくれて感謝する。至らぬ所があれば言ってくれ」
「「王国騎士団員!?」」
スウェイさんの自己紹介に反応したのは意外にもヤンとバレルさんだった。
よく見たらチェルさんとユリィも口に手を当てて少し驚いている。無反応は私とテールさんだけ。
「そんな凄いことなの……?」
「そりゃ王国騎士団と言えばエリートの集まりだからな……」
バレルさんが言うならそうなんだろう。
だけどスウェイさんだけはそれを否定した。
「そうは言われているがどこにだって落ちこぼれはいる。馴染めないダメなやつもな」
自分の事を言っているんだろうけど、それはいかんせん肯定しにくい。何より肯定するにも否定するにも材料がない。
「まぁ気は使わずこき使ってくれ。後給金は村に預けておいてくれ、それでいい。後はだな……一つ条件だけ飲んでくれ」
「えーと、できる事であれば……」
「同行中の衣食住はよろしく頼む」
「一個に見せかけて『衣』『食』『住』の三個入ってませんそれ?」
「こりゃ手厳しいね。だめかい?」
「それぐらい大丈夫ですよ。そしたら改めてよろしくお願いします」
お互いが差し出した手を握り交わして私たちの契約は成立した。
「あっ、スウェイさん待って下さい」
「どうした?」
「知りたい事知れましたか……?」
巻き込まれただけでこの場に来てくれたスウェイさん、最初の目的は自分の住んでいる村に何が起こったを知りたかったはずだ。なのにまだその話は出来てない。
「代わりに予想以上に凄いことを聞けたからもういい。この村に何が起こったかはここにいる全員で意見を出しても推測の域を出ないだろう。気を使わせたな」
悔しいけどスウェイさんの言う通りだ。この場に事件の当事者がいないんだから推測しか言えない。
「まぁ待てよ。俺からも話がある」
「なんだいきなり」
スウェイさんに声をかけたのは意外にもヤンだった。
「あんた護衛の仕事につかないか?」
「突然だな」
「まぁ俺らは魔法教団とも揉める立場でな、人数の多いあいつらに対抗するのに護衛はどれだけいても不足しねぇ」
ヤンの提案は確かにありがたい。人手は多いに越したことはない。
「あんたがこの村でやることがあるとかなら素直に引き下がるが……どうだ?」
「ゆっくり休むための里帰りだったんだがな……まぁいいだろうその話乗ろう。俺の名前を騙っていたやつにも少し腹が立っているしな。お前たちといればまた会えそうな気もする」
「その保証はねぇが……とりあえずよろしくな。お嬢も問題ねぇな」
「私も賛成」
誰も異論はないらしい。むしろみんなが小さく拍手をしていた。歓迎の声の代わりに歓迎の音が鳴った。
「そしたら報酬の話は後にして、改めて自己紹介させてもらう」
部屋の奥からわざわざ私の前にやってきた。近くで見ると長身の上に筋肉質な腕が見えているから威圧感と言うか迫力が凄い。
「名はスウェイ=アルバンズ、元はしがない王国騎士団員だ。雇い入れてくれて感謝する。至らぬ所があれば言ってくれ」
「「王国騎士団員!?」」
スウェイさんの自己紹介に反応したのは意外にもヤンとバレルさんだった。
よく見たらチェルさんとユリィも口に手を当てて少し驚いている。無反応は私とテールさんだけ。
「そんな凄いことなの……?」
「そりゃ王国騎士団と言えばエリートの集まりだからな……」
バレルさんが言うならそうなんだろう。
だけどスウェイさんだけはそれを否定した。
「そうは言われているがどこにだって落ちこぼれはいる。馴染めないダメなやつもな」
自分の事を言っているんだろうけど、それはいかんせん肯定しにくい。何より肯定するにも否定するにも材料がない。
「まぁ気は使わずこき使ってくれ。後給金は村に預けておいてくれ、それでいい。後はだな……一つ条件だけ飲んでくれ」
「えーと、できる事であれば……」
「同行中の衣食住はよろしく頼む」
「一個に見せかけて『衣』『食』『住』の三個入ってませんそれ?」
「こりゃ手厳しいね。だめかい?」
「それぐらい大丈夫ですよ。そしたら改めてよろしくお願いします」
お互いが差し出した手を握り交わして私たちの契約は成立した。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

転生ヒロインは乙女ゲームを始めなかった。
よもぎ
ファンタジー
転生ヒロインがマトモな感性してる世界と、シナリオの強制力がある世界を混ぜたらどうなるの?という疑問への自分なりのアンサーです。転生ヒロインに近い視点でお話が進みます。激しい山場はございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる