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教団と大精霊
第361話-偽物-
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さっきまでの空気とうって変わって緊迫した空気が張り詰めている。
この目の前の男の人が誰かは知らないからこそこの人の言葉がどこまで本当なのかは分からない。
「同じ名前だったり……」
私が恐る恐る言ってみた。
「ないな。俺の知る限り同名はいない。ありふれた名前でもねぇ」
「で、でも町の人達もみんな違和感なく接してたし」
「んなこた知ったことねぇ」
あっさりと否定されてしまった。
「で? どうなんだ、なんか言えよ」
私達の後ろにいる彼女に注目が集まった。
「なーんだ。本物帰って来ちゃったんだ」
その一言はこの緊迫した空気を飛ばした。一気に弾けた空気はとたんに殺伐とした空気に変わった。
私は彼女の言葉が言い終わる前にユリィとチェルさんに手を伸ばしてヤン達の方へ反射的に飛んでいた。
飛ぶ直前に構えていた男の人が名前を語った彼女まで詰めて剣を振るった。
力強い太刀筋は彼女に防御する暇も与える事なく達したように見えた。そのはずなのに剣は彼女の目の前に振り下ろされて地面を抉っていた。
「どこ攻撃してんだ! 見えてねぇのかよ!」
ヤンが叫ぶ。
いやそんなはずはない。私の素人の目で見ても間違いなく彼女は間合いにいた。それが外れるのはおかしい。
「その人精霊憑きです!」
ユリィの言葉に納得した。だとしたら何か魔法を使ったのかも知れない。
彼女はガラ空きになった男の人に腰の剣を抜いて切り払った。致命傷にはならない程には見えるけど腕を斬られた。
「そんな事分かるんだ。貴方達すごいね。そこの二人も精霊憑きでしょ。一人は今瞬間移動したよね、凄い!」
「貴方は誰なんですか。人の名前を偽って……」
「実験中だったんだよ。ごめんね~」
からかわれている様な返答。さっきまでの彼女にも愛嬌はあった、だけど今の彼女からは愛嬌は愛嬌でも少し違った感情を覚えた。
今度はヤンとバレルさんが彼女の元に走って攻撃をした。二人同時の攻撃だったはずなのにヤンの攻撃だけは防御された。
バレルさんの拳は当たった様に見えたのにまたさっきのように空中を切った。
「おっさんも何してんだよ!」
ヤンの言葉にはバレルさんだけじゃなくてこの場の全員が困惑している。そう彼女も含めて。
「あれぇ。私のことはっきり分かってるんだ。貴方どうして?」
「知らねぇよ?なんでもいいから大人しく斬られやがれ」
「それは嫌だなぁ。君強いでしょ。すっごい困ったな」
剣同士の押し合いをやめて彼女は後ろに下がった。下がると同時に手に持つ剣の切先をこちらに投げつけた。
この目の前の男の人が誰かは知らないからこそこの人の言葉がどこまで本当なのかは分からない。
「同じ名前だったり……」
私が恐る恐る言ってみた。
「ないな。俺の知る限り同名はいない。ありふれた名前でもねぇ」
「で、でも町の人達もみんな違和感なく接してたし」
「んなこた知ったことねぇ」
あっさりと否定されてしまった。
「で? どうなんだ、なんか言えよ」
私達の後ろにいる彼女に注目が集まった。
「なーんだ。本物帰って来ちゃったんだ」
その一言はこの緊迫した空気を飛ばした。一気に弾けた空気はとたんに殺伐とした空気に変わった。
私は彼女の言葉が言い終わる前にユリィとチェルさんに手を伸ばしてヤン達の方へ反射的に飛んでいた。
飛ぶ直前に構えていた男の人が名前を語った彼女まで詰めて剣を振るった。
力強い太刀筋は彼女に防御する暇も与える事なく達したように見えた。そのはずなのに剣は彼女の目の前に振り下ろされて地面を抉っていた。
「どこ攻撃してんだ! 見えてねぇのかよ!」
ヤンが叫ぶ。
いやそんなはずはない。私の素人の目で見ても間違いなく彼女は間合いにいた。それが外れるのはおかしい。
「その人精霊憑きです!」
ユリィの言葉に納得した。だとしたら何か魔法を使ったのかも知れない。
彼女はガラ空きになった男の人に腰の剣を抜いて切り払った。致命傷にはならない程には見えるけど腕を斬られた。
「そんな事分かるんだ。貴方達すごいね。そこの二人も精霊憑きでしょ。一人は今瞬間移動したよね、凄い!」
「貴方は誰なんですか。人の名前を偽って……」
「実験中だったんだよ。ごめんね~」
からかわれている様な返答。さっきまでの彼女にも愛嬌はあった、だけど今の彼女からは愛嬌は愛嬌でも少し違った感情を覚えた。
今度はヤンとバレルさんが彼女の元に走って攻撃をした。二人同時の攻撃だったはずなのにヤンの攻撃だけは防御された。
バレルさんの拳は当たった様に見えたのにまたさっきのように空中を切った。
「おっさんも何してんだよ!」
ヤンの言葉にはバレルさんだけじゃなくてこの場の全員が困惑している。そう彼女も含めて。
「あれぇ。私のことはっきり分かってるんだ。貴方どうして?」
「知らねぇよ?なんでもいいから大人しく斬られやがれ」
「それは嫌だなぁ。君強いでしょ。すっごい困ったな」
剣同士の押し合いをやめて彼女は後ろに下がった。下がると同時に手に持つ剣の切先をこちらに投げつけた。
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