悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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黒い獣

第331話-依頼任務-

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「ガルド公からの依頼は黒い獣の退治だ」
「退治ですか? 商団に?」
「俺たちは基本商団だが、それなりに戦う術も持ち合わせてる。そうじゃなきゃこのご時世に移動しながら商売なんて出来ねぇもんさ」

 確かに盗賊の襲撃を受けたことのある身としては納得する答えだった。

「この付近じゃ最近黒い獣の被害が出てるらしくてな。だからこの町に物資もままならないから、それもあって俺たちが派遣されたわけだ」
「このお祭りみたいなものも?」
「あぁ、少しでも励ましになればと思ってな。隣町まで医者にも行けないってのを聞いてたから俺もこうしてるんだ」
「なるほど」

 被害がどの程度のものかは分からないけど、確かに落ち込んで空気が重くなるとどんどん暗くなっていくものだから、こうしてリフレッシュ出来たら少しは元気も出るだろうに。

「被害はどの程度でてるんだ?」
「怪我人が十人程度、農作物がさらに被害を受けてる」
「獣の被害にしちゃでかいな。俺もフランソワのとこにいた時に聞いた話だけだが、大なり小なりかなり駆除には手がかかるってのは聞いたな」
「あぁ、しかも正体、出自も不明だからな。厄介な事この上ない」

 ヤンの耳にも入ってはいるが、対峙はしたことないと言う。

「正体が分からない?」

 今の会話でそこが気になった。
 黒い獣と言うんだから動物じゃないんだろうか。

「らしい。駆除すると消えちまうんだとよ」
「消える?」
「死んだら地面に溶けるように消えるんだとよ」

 それは確かに調べようがない。

「なら動物じゃないって事だよね?」
「結果的にそうなるな」
「今回の依頼には一応正体調査も入ってるけどな。まぁガルド公も期待はしてないだろうが」

 聞いてる感じ確かに不気味な存在だ。正体が分からないのには不安感しか湧かない。

「ってことで聞いてみたんだが、まぁ知らないならいいさ。今日はこの町に泊まるのか?」
「そのつもりだ。だよな、お嬢?」
「あっ、うん」
「だったらあんま夜は出歩くなよ。一応警備は張ってるが……どうなるかわからねえからな」
「分かりました。それなら一応言ってみますけど、私達も手伝った方がいいですか?」
「いやいや、そんな気はねぇ。あんたらは安心して町中にいてくれよ」
「でも、私達も手伝った方が良くないですか? ねぇヤン?」
「俺に聞くなよ……」

 ヤンがため息混じりで呆れたように答えた。





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