悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

文字の大きさ
上 下
356 / 431
新たなる始まり

第325話-精霊の魔法-

しおりを挟む
 ヤンからの話によると私たちを追っていた一人がヤンが戦う所へ逃げてきて、状況を伝えて、そのまま逃げ帰ったらしい。ヤンが戦っていたのがリーダーらしく、命令を出していたのもそいつだったとか。
 その後ヤンは大きな音がした方へ来てくれて私達を見つけてくれた。
 その場で私を動かすことも出来ずに困っていたユリィと倒れて血まみれの私を今ここにいる離れた洞窟へと運んで手当てをしてくれた。

「ありがとう。ヤンは頼りになるね」
「当たり前のことをしかしてねぇ。むしろこっちが面食らったわ」
「だ、だよねー」

 私は笑って誤魔化した。
 今度は私のことも話した。何があってこうなったか。ユリィからは話は聞いていたけど、私からの視点での話をした。
 ヤンとユリィは聞いてるだけで、相槌を打つ様にたまに反応をしてくれる。

「何が起こったか結局詳しくは分からねぇが、お嬢が魔法を使える様にはなったってことだな」
「うん。間違いない」
「しかも優子さんは精霊憑きです。それも間違いありません」

 ユリィが断言した。

「私の話からさせてもらいます。私は今回優子さんにかけていたこちらに呼ぶための魔法を解きました」
「呼ぶ魔法ってのは使ったらそれで終わりじゃないのか? そもそもあんたの精霊はなんなんだ?」
「優子さんから聞いているとは思いますが改めて……。私に憑いている精霊は魂の精霊です。最初は優子さんの魂だけをこちらに呼べていました。ただ、今ではご覧のとおり、彼女の魂を呼び、それに合わせて彼女の身体さえも呼べる様になりましたが」

 それは前にも聞いていた。ただ、改めてその話を聞くといかに精霊が凄いものなのかと言うことを再認識させられた。

「ただ、呼ぶ魔法は使って終わりではありません。呼んだ魂を留めておくのに私の生命力を回しています。だから他の魔法が使えなかったんです」
「なるほどな。それを今回解いた。なのにお嬢がここにいるってのが不思議な事になるんだな」
「そうなんです。それは色々考えてみましたが答えは出ませんでした」

 確かにあの時ユリィは慌ててた。私にもその理由は当然分からない。

「他の魔法ってのはどんなのが使えるんだ?」
「優子さんが精霊憑きだと断言出来たのもその話になります。私は人の魂が見えるんです。色の付いた球の様なものですね」

 魂が見える。それはにわかには信じにくいけど、嘘ではないんだろう、それが魔法であり、精霊の恩恵なのかもしれない。私の魔法の様に。

「優子さんの魂の色は特殊です。他の人とは違いますから、だから断言出来ました」
「なるほどな。他には使えないのか?」
「今はこのくらいですね。精霊憑きの魔法は万能ではないので……」
「分かった。ありがとよ。そしたら次はお嬢だ」

 二人の視線が私に集まった。
 二人とも気になって仕方ないんだろう。あの大きな手が出てくる様な精霊憑きの魔法が……。

「私の精霊は……」


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

彼女がいなくなった6年後の話

こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。 彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。 彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。 「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」 何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。 「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」 突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。 ※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です! ※なろう様にも掲載

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

処理中です...