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新たなる始まり
第321話-危機迫る逃亡-
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ユリィに掴まれながら走っていた私は逃げる間にユリィに担がれる形になっていた。
それでもユリィの速度は衰えない。なんなら私を掴んでいた時よりも早い。
「魔法が使えたら身体強化も出来るのですが……、連れて走るよりもこっちの方が早いんです。今は大人しく掴まっていて下さいね」
完全にユリィの足手まといだ。
木々を掻き分け、すり抜けながら私たちは進んでいる。少しでも距離を離すために一直線に。
後ろに追手の姿は見えてこない。ヤンが一人で引きつけているのかもしれない。
「今のうちに言っておきますね」
息を少し切らしながらユリィは重い口調で切り出した。
「本当にダメだと思ったら、貴方を元の世界に帰します」
「えっ」
「狙いは私になるでしょう。ただ万が一でも貴方への被害だけでもかけたくない。私が今も使っている魔法、それを解けば貴方は帰れます。それに私もそっちに割いている力が戻るので逃げられるかもしれません」
今の説明を聞いて自分が今の状況では想像以上の荷物なのだと改めて実感してしまう。
「でも、勘違いしないでください。私はまだ貴方と一緒に旅をしたいと思っています。今でも足手まといだなんて、一切思っていません。そして、こっちに呼ぶ魔法は簡単に使えないので、ここで魔法を解いたら……次に会えるのはいつになるか分かりません」
私のユリィを掴む腕に思わず力が入ってしまう。ユリィもそれに呼応するように私を掴む手に力が入った。
「先に言っておきます。ありがとうございました」
「別れの言葉みたいじゃない」と思ってしまった。ただ、それを口に出すのは憚られた。それを肯定されてしまったらどう答えたらいいか正解が分からなかった。
「私もよありがとうユリィ」
だから私もお礼を言った。前のフランソワの時は短いながらも言葉を交わす時間があった。ただ、今回も同じとは限らないから。
「ユリィ! 後ろから来たわ。右に避けて!」
追手の姿が見えた瞬間に足元目がけて攻撃が飛んでくる。こっちを殺すまで行かなくても怪我をさせるには大丈夫らしい。
足を狙ってきたのは逃げられなくするためか。
追手の姿は四人。木々の合間からでも小さな魔法を飛ばしてくる。それを私がユリィに伝えて避けていく。
避けることはできている。ただ、そのために逃げる速度は遅くなってきている。それは私にも分かる。
じりじりと追手と私たちの距離は近くなってきている。
それでもユリィの速度は衰えない。なんなら私を掴んでいた時よりも早い。
「魔法が使えたら身体強化も出来るのですが……、連れて走るよりもこっちの方が早いんです。今は大人しく掴まっていて下さいね」
完全にユリィの足手まといだ。
木々を掻き分け、すり抜けながら私たちは進んでいる。少しでも距離を離すために一直線に。
後ろに追手の姿は見えてこない。ヤンが一人で引きつけているのかもしれない。
「今のうちに言っておきますね」
息を少し切らしながらユリィは重い口調で切り出した。
「本当にダメだと思ったら、貴方を元の世界に帰します」
「えっ」
「狙いは私になるでしょう。ただ万が一でも貴方への被害だけでもかけたくない。私が今も使っている魔法、それを解けば貴方は帰れます。それに私もそっちに割いている力が戻るので逃げられるかもしれません」
今の説明を聞いて自分が今の状況では想像以上の荷物なのだと改めて実感してしまう。
「でも、勘違いしないでください。私はまだ貴方と一緒に旅をしたいと思っています。今でも足手まといだなんて、一切思っていません。そして、こっちに呼ぶ魔法は簡単に使えないので、ここで魔法を解いたら……次に会えるのはいつになるか分かりません」
私のユリィを掴む腕に思わず力が入ってしまう。ユリィもそれに呼応するように私を掴む手に力が入った。
「先に言っておきます。ありがとうございました」
「別れの言葉みたいじゃない」と思ってしまった。ただ、それを口に出すのは憚られた。それを肯定されてしまったらどう答えたらいいか正解が分からなかった。
「私もよありがとうユリィ」
だから私もお礼を言った。前のフランソワの時は短いながらも言葉を交わす時間があった。ただ、今回も同じとは限らないから。
「ユリィ! 後ろから来たわ。右に避けて!」
追手の姿が見えた瞬間に足元目がけて攻撃が飛んでくる。こっちを殺すまで行かなくても怪我をさせるには大丈夫らしい。
足を狙ってきたのは逃げられなくするためか。
追手の姿は四人。木々の合間からでも小さな魔法を飛ばしてくる。それを私がユリィに伝えて避けていく。
避けることはできている。ただ、そのために逃げる速度は遅くなってきている。それは私にも分かる。
じりじりと追手と私たちの距離は近くなってきている。
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