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新たなる始まり
第314話-タガマ戦いの跡-
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「町の中の火を消します」
ユリが魔法を使って燃え盛る火へと水をかけていく。それでも火は燃える勢いが収まらない。
「もういい。無理だ。戻るぞ」
「……分かりました」
俺の言葉にユリは一瞬考え込んで首を縦に振った。ただ、心の底からは納得していないと言うのが目に見えて分かる。
「納得出来ないのは分かるけどよ。個人の力には限界がある事も分かれよ」
「これは自分の力不足を恨んでです。すみません」
「謝んな。さっさと戻るぞ」
俺たちは町の外へと出て遠回りをする形で急いで入口へと戻った。視界の側では村は魔法攻撃の余波を受け、壊れ、燃えていた。無事なのは町の入り口から中間部分くらいだ。ただ、時期に無事じゃなくなるだろう。火の勢いは全てを燃やすまで続くだろう。
戻ると入り口付近の戦いも終わりを迎えていた。
「無事戻ってきたか。良かったなぁ」
俺たちを見つけて出迎えてくれた人物は町の人間だった。傷だらけで服には血が滲んでいる。
「他の人達は無事ですか?」
「いや、全員とは言えない。ただ、敵はみんな倒した。なんなら二、三人生捕りだ」
アルの問いかけに男は誇らしそうに答えた。ただ、その表情は無理をしているようにしか見えない。
「ここはとりあえず離れましょう。ここに敵はもういませんから。町の中は燃えています。火がここまで来るまでに早く」
「そりゃ大変だ。みんなに伝えてくるよ」
俺たちはここに居る全員が引き上げたのを確認してから後を追いように引き上げる。その頃には既に火がここからでも見え始めていた。
引き上げ先はお嬢のいる所。そこで俺たちは戦果を報告した。喜んだ人もいれば、悲しんでいる人もいた。
町は取り戻せても失った家族や知り合いは取り戻せない。
結果として入口での交戦中で怪我人は多く出た。そして死者も出た。町の人間が三人、兵が二人。それを聞いた時俺の手の汗は止まらなくなった。
俺があの時あの場所であのまま戦っていたらそうはならなかったかも知れない。
だけど俺はアル達への救援を選んだ。結果として入口での死者は出た。ただ、その結果を誰も責めはしなかった。むしろ、気にするなとまで町の人は言ってくれた。
『そうしたら貴方の仲間が死んでいたかもしれない』
重い言葉だ。驕りかもしれない。俺がいても死者は出たかもしれない。だけど、その言葉でも自分が不甲斐なく思えた。
結果として町から侵略者は追い出した。だけど、町の人間は戦いで死に、町は燃え尽きた。
ここから再建するには長い年月がかかる。
『タガマを守ってくれてありがとう。貴方達は英雄だよ』
何が英雄だ。町はなくなった。人も巻き込んで死んだ。
本当の英雄なら町の人は死なさない。町も形を残したまま取り戻せていた。戦いの余波なんか町に残さない。
俺は後味の悪い戦いを終わらせてお嬢と共に屋敷へと戻って行った。
ユリが魔法を使って燃え盛る火へと水をかけていく。それでも火は燃える勢いが収まらない。
「もういい。無理だ。戻るぞ」
「……分かりました」
俺の言葉にユリは一瞬考え込んで首を縦に振った。ただ、心の底からは納得していないと言うのが目に見えて分かる。
「納得出来ないのは分かるけどよ。個人の力には限界がある事も分かれよ」
「これは自分の力不足を恨んでです。すみません」
「謝んな。さっさと戻るぞ」
俺たちは町の外へと出て遠回りをする形で急いで入口へと戻った。視界の側では村は魔法攻撃の余波を受け、壊れ、燃えていた。無事なのは町の入り口から中間部分くらいだ。ただ、時期に無事じゃなくなるだろう。火の勢いは全てを燃やすまで続くだろう。
戻ると入り口付近の戦いも終わりを迎えていた。
「無事戻ってきたか。良かったなぁ」
俺たちを見つけて出迎えてくれた人物は町の人間だった。傷だらけで服には血が滲んでいる。
「他の人達は無事ですか?」
「いや、全員とは言えない。ただ、敵はみんな倒した。なんなら二、三人生捕りだ」
アルの問いかけに男は誇らしそうに答えた。ただ、その表情は無理をしているようにしか見えない。
「ここはとりあえず離れましょう。ここに敵はもういませんから。町の中は燃えています。火がここまで来るまでに早く」
「そりゃ大変だ。みんなに伝えてくるよ」
俺たちはここに居る全員が引き上げたのを確認してから後を追いように引き上げる。その頃には既に火がここからでも見え始めていた。
引き上げ先はお嬢のいる所。そこで俺たちは戦果を報告した。喜んだ人もいれば、悲しんでいる人もいた。
町は取り戻せても失った家族や知り合いは取り戻せない。
結果として入口での交戦中で怪我人は多く出た。そして死者も出た。町の人間が三人、兵が二人。それを聞いた時俺の手の汗は止まらなくなった。
俺があの時あの場所であのまま戦っていたらそうはならなかったかも知れない。
だけど俺はアル達への救援を選んだ。結果として入口での死者は出た。ただ、その結果を誰も責めはしなかった。むしろ、気にするなとまで町の人は言ってくれた。
『そうしたら貴方の仲間が死んでいたかもしれない』
重い言葉だ。驕りかもしれない。俺がいても死者は出たかもしれない。だけど、その言葉でも自分が不甲斐なく思えた。
結果として町から侵略者は追い出した。だけど、町の人間は戦いで死に、町は燃え尽きた。
ここから再建するには長い年月がかかる。
『タガマを守ってくれてありがとう。貴方達は英雄だよ』
何が英雄だ。町はなくなった。人も巻き込んで死んだ。
本当の英雄なら町の人は死なさない。町も形を残したまま取り戻せていた。戦いの余波なんか町に残さない。
俺は後味の悪い戦いを終わらせてお嬢と共に屋敷へと戻って行った。
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