悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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新たなる始まり

第312話-町中の罠-

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 町に入るとさっき援護魔法を打ってきたやつらが倒れていた。争った形跡が見えるのはアル達との戦いの後なんだろう。
 幸いここに知ってる顔はない。つまりアル達はちゃんと生きてここを抜けた言うことに少し胸を撫で下ろす。
 俺の走る道はざっと見た感じ町の中を走る三本の通りの真ん中らしい。両側には家の壁が立ち並び、ちょくちょく家の隙間から反対側に町の外が見える。
 喧騒は先から聞こえて来る。ここに来るまでは何にもなかった。だからアル達にも追いつける。ただそうは簡単には行かない。

「見えてんだよ!」

 左手側の家の隙間から向こうが見えた、そこにいたのは知らない武装した男達だ。こっちには気づいていない。
 進路を左手側に変えて走り抜けた。そこにはこっちに気づかず前に進んでいた男達の背中がある。人数は五人。
 強襲となった形に相手は反応が遅れた。武器を抜く暇も、魔法を撃つ暇も与えないまま俺の攻撃が先制した。
 四人を背後から斬って、一人を地面に叩きつける形で動けなくした。

「お前らこんなとこで何してた」

 アル達が進んだ道はさっきまで俺がいた道のはず。ならなんでこいつらはここにいるのか。仮説は出ていても、それが本当かは確認してこそ確信に変わる。
 ただ、男はだんまりだ。

「言う気はねぇか。なら……」

 咄嗟に危険を感じて脅し構えていた剣を男の身体に食い込ませた。
 肉を引きちぎる感触が握る手に伝わる。そして男の悲鳴が上がる。同時にさっき足元から感じていた危険性を帯びた熱気が引いた。熱気の出元は男の手からだ。

「魔法に対しては油断しちゃなんねぇってお前のとこの親玉から習ったんだよ」

 さっきの大男との戦いで魔法の危険性に身を引き締めた。動きを取れないようにしても魔法は出てくる。もちろん身体の何処からでも。
 それでも予兆はある。だからそれを見逃さない。

「だ、だれがあんな野蛮な奴が親玉だと。あんなごろつきと仲間にするな」
「やっと口を開いたと思ったら面白いこと言うじゃねぇか。だったらお前らが誰か吐いてもらうぜ」

 男が息を切らしながら吐いた言葉の真偽を確かめるため、そしてここで何をしようとしていたのか聞き出すために剣を握る手に力を込めて、決意を固める。
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