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新たなる始まり
第311話-魔法の使い方-
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緩んでいた気を締め直して戦いに挑み直す。
後ろでは参戦してきた兵達が声を上げながら戦っているのが耳で分かる。
前ではアル達が魔法で支援して来ていた奴らを蹴散らしてそのまま前へと進んでいっている。
「俺も負けらんねーな」
大男との擬似的な一騎打ち。負けるつもりはない。
時間が掛かればまた増援が来るかも知れない。時間はかけられない。
だから勝負を早めに切り上げるための戦い方を選んだ。
腰に剣を構えた。
「こっちに先手を譲ってくれるなんざお優しいなぁ!!」
大男が嬉しそうに手を構えた。そして飛び出してくる魔法。それを躱して剣を握る手に力を込めた。
着地の瞬間に剣を振った。何もない空を切る軌道で剣が俺の目の前を切り裂いた。
「風絶」
イメージは居合。勢いよく振り抜けた剣先から俺の魔法が放たれた。
「な、なんだこれぇぇぇ」
俺が唯一技として使える魔法。『風絶』と名付けた魔法。
剣撃が風の刃として圧縮され、目の前の敵を切り裂く。
大男の攻撃の隙をついたカウンターの一撃は距離があっても避けられない。そしてガードも間に合わなかった。
大男の身体は風の刃が切り裂き、鮮血を撒き散らした。弱々しい叫び声と共に後ろへと飛んだ。
「こんなことする奴でも血は赤いんだな」
飛び散った血痕を見て思わず口に出してしまう。
後ろへと吹き飛ばされた大男は動かない。抵抗も無く受け止めたなら間違いなく勝負はついた。相手が魔法に過信したからこそ勝てた勝負。自分の方が魔法が強いから、近づきさえしなければ勝てると言う慢心が生んだ隙が一撃で終わった要因に他ならない。
大男が動かないのを確認だけ済まして後ろの戦場へと戻る。敵を減らしたとは言え、残っている敵の数は多い。
「お頭をよくも!」
こっちに気付いた敵が襲ってくるがそれを返す手で斬り捨てる。ここに俺の相手になるのは恐らくさっきの大男ぐらいのはず。
力量について自惚れる気はないが、『お頭』と呼ばれていた立場上、大男が一番強いんだろう。単純に考えてこいつらが大男より強い気はしない。
「あんた! こっちは大丈夫だからさっきの三人追ってくれ! あっちが心配だ!」
三人と言うのはアル達のことか。ただ、俺としてはこっちの方が心配ではある。アル達は大丈夫だろうと言う信頼があった。だが……。
「本当に大丈夫なんだな!」
「もちろんだ! 任せてくれ!」
万が一がある、罠の可能性もある。そう思うと信頼はしていても心配にはなる。
「分かった。任せるからな。死ぬなよ」
人数が多くて混乱した戦場を後ろの兵に任せて、俺はアル達の後を追うように町の中へ入っていった。
後ろでは参戦してきた兵達が声を上げながら戦っているのが耳で分かる。
前ではアル達が魔法で支援して来ていた奴らを蹴散らしてそのまま前へと進んでいっている。
「俺も負けらんねーな」
大男との擬似的な一騎打ち。負けるつもりはない。
時間が掛かればまた増援が来るかも知れない。時間はかけられない。
だから勝負を早めに切り上げるための戦い方を選んだ。
腰に剣を構えた。
「こっちに先手を譲ってくれるなんざお優しいなぁ!!」
大男が嬉しそうに手を構えた。そして飛び出してくる魔法。それを躱して剣を握る手に力を込めた。
着地の瞬間に剣を振った。何もない空を切る軌道で剣が俺の目の前を切り裂いた。
「風絶」
イメージは居合。勢いよく振り抜けた剣先から俺の魔法が放たれた。
「な、なんだこれぇぇぇ」
俺が唯一技として使える魔法。『風絶』と名付けた魔法。
剣撃が風の刃として圧縮され、目の前の敵を切り裂く。
大男の攻撃の隙をついたカウンターの一撃は距離があっても避けられない。そしてガードも間に合わなかった。
大男の身体は風の刃が切り裂き、鮮血を撒き散らした。弱々しい叫び声と共に後ろへと飛んだ。
「こんなことする奴でも血は赤いんだな」
飛び散った血痕を見て思わず口に出してしまう。
後ろへと吹き飛ばされた大男は動かない。抵抗も無く受け止めたなら間違いなく勝負はついた。相手が魔法に過信したからこそ勝てた勝負。自分の方が魔法が強いから、近づきさえしなければ勝てると言う慢心が生んだ隙が一撃で終わった要因に他ならない。
大男が動かないのを確認だけ済まして後ろの戦場へと戻る。敵を減らしたとは言え、残っている敵の数は多い。
「お頭をよくも!」
こっちに気付いた敵が襲ってくるがそれを返す手で斬り捨てる。ここに俺の相手になるのは恐らくさっきの大男ぐらいのはず。
力量について自惚れる気はないが、『お頭』と呼ばれていた立場上、大男が一番強いんだろう。単純に考えてこいつらが大男より強い気はしない。
「あんた! こっちは大丈夫だからさっきの三人追ってくれ! あっちが心配だ!」
三人と言うのはアル達のことか。ただ、俺としてはこっちの方が心配ではある。アル達は大丈夫だろうと言う信頼があった。だが……。
「本当に大丈夫なんだな!」
「もちろんだ! 任せてくれ!」
万が一がある、罠の可能性もある。そう思うと信頼はしていても心配にはなる。
「分かった。任せるからな。死ぬなよ」
人数が多くて混乱した戦場を後ろの兵に任せて、俺はアル達の後を追うように町の中へ入っていった。
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