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新たなる始まり
第293話-仕事-
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「待って待って。急すぎるわよ! そんなのってある!?」
ヤンとユリィの間に割って入るように私は止めに入った。嫌な雰囲気になりかけているなーとは思っていたから身構えては居たけど、予想以上の展開になったから、思わず体が出てしまっていた。
「本気でそれ言ってるの!?」
ヤンはユリィを見たままで私の事なんて居ないかのように、少しもこっちを見ない。
ユリィはユリィでヤンの言葉に反論する事もなくただ黙っている。
私だけが声あげて、この場で浮いているように思えた。
「それが命令だからな。その命令を聞くのが俺の仕事だ」
「ようやく口を開いたと思ったらそんな事しか言わないの!?」
そうは言いながらでもユリィから目を離していない。
「お断りします」
「あんたが断れる断れないって話じゃないんだ」
ユリィもようやく口を開いて反論した。だけどヤンはその言葉を否定した。あくまで押し付ける形で、ユリィの意見を押しつぶした。
「フランソワ様の考えでも、私は受け入れられません。私にはやる事がありますから」
「やること?」
「フランソワ様、そして優子さんに言われて自分がまず何をするべきか少し見えた気がしました。それを確かめるまで私は死ねません」
「そんなの関係ないよな。俺がここで武器を抜いてお前の首を刎ねたら終わる話だろ」
「出来る限りの抵抗はします。仮に命を守れなくても、あなたの目くらいは潰す覚悟で」
物騒な事の言い合いに私はいまいち信頼性の欠ける壁となっていた。
窓から差し込む陽は明るいのにここだけは重い。頭と肩が誰かに押さえ込まれているような気さえする。
「わ、私もユリィに味方するわよ」
精一杯ヤンを睨みつける。
言ってから気付いたけど、そんな気はなくても声が震えている。
沈黙は続く。私の言葉を最後に誰も言葉を発さないし、動かない。
周りの環境音だけが静かに聞こえて来る。
ここだけが切り出された空間のような感じのまま時だけが過ぎていく。
「あんたの答えは分かった。最後に聞かせろ。フランソワにこのままだと迷惑を掛けるよな、どうする?」
固まった空間で口を開いたのはヤン。冷たい声でユリィに問いかける。
「この場での答えはありません。ただ、ここでフランソワ様のためとは言え死ねない。それだけは言えます」
「あんたに近衛騎士が居ればその返答にも現実味が出るんだろうけどな」
「それは今関係ありません」
固まっていた空気が動いたと思えばヒビの入る様な音がした気がした。
空気は流動的に動くのでなく、叩きつけたから振動した様な。
「はいはい。分かった。そしたらこれで俺の仕事は終わりだ」
いきなりヤンが手を上げる様な仕草をとった。
ヤンとユリィの間に割って入るように私は止めに入った。嫌な雰囲気になりかけているなーとは思っていたから身構えては居たけど、予想以上の展開になったから、思わず体が出てしまっていた。
「本気でそれ言ってるの!?」
ヤンはユリィを見たままで私の事なんて居ないかのように、少しもこっちを見ない。
ユリィはユリィでヤンの言葉に反論する事もなくただ黙っている。
私だけが声あげて、この場で浮いているように思えた。
「それが命令だからな。その命令を聞くのが俺の仕事だ」
「ようやく口を開いたと思ったらそんな事しか言わないの!?」
そうは言いながらでもユリィから目を離していない。
「お断りします」
「あんたが断れる断れないって話じゃないんだ」
ユリィもようやく口を開いて反論した。だけどヤンはその言葉を否定した。あくまで押し付ける形で、ユリィの意見を押しつぶした。
「フランソワ様の考えでも、私は受け入れられません。私にはやる事がありますから」
「やること?」
「フランソワ様、そして優子さんに言われて自分がまず何をするべきか少し見えた気がしました。それを確かめるまで私は死ねません」
「そんなの関係ないよな。俺がここで武器を抜いてお前の首を刎ねたら終わる話だろ」
「出来る限りの抵抗はします。仮に命を守れなくても、あなたの目くらいは潰す覚悟で」
物騒な事の言い合いに私はいまいち信頼性の欠ける壁となっていた。
窓から差し込む陽は明るいのにここだけは重い。頭と肩が誰かに押さえ込まれているような気さえする。
「わ、私もユリィに味方するわよ」
精一杯ヤンを睨みつける。
言ってから気付いたけど、そんな気はなくても声が震えている。
沈黙は続く。私の言葉を最後に誰も言葉を発さないし、動かない。
周りの環境音だけが静かに聞こえて来る。
ここだけが切り出された空間のような感じのまま時だけが過ぎていく。
「あんたの答えは分かった。最後に聞かせろ。フランソワにこのままだと迷惑を掛けるよな、どうする?」
固まった空間で口を開いたのはヤン。冷たい声でユリィに問いかける。
「この場での答えはありません。ただ、ここでフランソワ様のためとは言え死ねない。それだけは言えます」
「あんたに近衛騎士が居ればその返答にも現実味が出るんだろうけどな」
「それは今関係ありません」
固まっていた空気が動いたと思えばヒビの入る様な音がした気がした。
空気は流動的に動くのでなく、叩きつけたから振動した様な。
「はいはい。分かった。そしたらこれで俺の仕事は終わりだ」
いきなりヤンが手を上げる様な仕草をとった。
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