321 / 431
新たなる始まり
第290話-旅の始まり-
しおりを挟む
私とユリィは町で簡単な買い物をして旅の準備をした。
食糧、私の服だ。ユリィに借りていた物を返してこの世界の店で服を買った。荷物を入れる鞄も買って、見た目だけはバックパッカーの様になっていた。
そして私とユリィはこの町を出た。
行き先は一つ隣の町になっていた。理由としては旅の目的の人物胡散臭いテールとやらと会ったと言う方向へと足を進めるためだった。
「なるほど。こうやって町から町へと進んで行くのね」
私たちは馬車に乗っている。商いを行う人達が集まって一つの大きな集団として町を移動していて、私たちはそれに乗せてもらう形になっていた。
馬車が複数台集まって、その周りを警備の傭兵が取り囲む様に追従してきている。
「個人の商人はこうして安全に移動しているんです」
ユリィは旅に慣れているから馬車の同行手配も全て終わらせてくれていた。
「ちょうど出発するタイミングで良かったですね。下手したらかなり待つ時もありますから」
「そうだねー、すんなり行けたしね」
「明日には町へと着きます。それまでに聞いておきたい事があります」
「ん? 何を?」
「旅の期間です」
「期間?」
「はい。優子さんの生活の時間もあるでしょうから」
「生活……?」
「そうです」
言われてみれば全く考えてなかった。
「とりあえず半年は大丈夫よ」
「半年!?」
「言ってなかったけ。私がこっちきて、半年くらいいたんだけど、目が覚めたら一晩経って無かったから問題なしよ。だから半年基準」
「そ、そうだったんですね」
驚いた様子のユリィは平穏を取り戻すために深く深呼吸をしている。その姿が可愛らしい。
「時間の流れが違うんですね」
「なのかな?」
お互い頭をかしげるけど答えはでない。なぜなら二回目の事例がないからだ。
「でもそうなのかも知れないね」
そこで頭をよぎったのは有栖川さんの事。彼女もこの世界に来ていた、長い期間だ。なのに問題になった様な事は言ってなかった気がする。
「だからとりあえず半年目処で。そこからはまた考えましょうよ」
問題の先延ばしの様にも見えるけど、私は今ここでリミットを決めてしまうのは嫌だった。
お尻が見えていると時間に囚われてしまう、それはユリィも私も焦ってしまう要因でしかないと思ったから。
「まずはこの旅を楽しみましょう。難しい事を考えるのは後からでいいじゃない」
ユリィも同意してくれたのか「はい」と頷いてくれた。
食糧、私の服だ。ユリィに借りていた物を返してこの世界の店で服を買った。荷物を入れる鞄も買って、見た目だけはバックパッカーの様になっていた。
そして私とユリィはこの町を出た。
行き先は一つ隣の町になっていた。理由としては旅の目的の人物胡散臭いテールとやらと会ったと言う方向へと足を進めるためだった。
「なるほど。こうやって町から町へと進んで行くのね」
私たちは馬車に乗っている。商いを行う人達が集まって一つの大きな集団として町を移動していて、私たちはそれに乗せてもらう形になっていた。
馬車が複数台集まって、その周りを警備の傭兵が取り囲む様に追従してきている。
「個人の商人はこうして安全に移動しているんです」
ユリィは旅に慣れているから馬車の同行手配も全て終わらせてくれていた。
「ちょうど出発するタイミングで良かったですね。下手したらかなり待つ時もありますから」
「そうだねー、すんなり行けたしね」
「明日には町へと着きます。それまでに聞いておきたい事があります」
「ん? 何を?」
「旅の期間です」
「期間?」
「はい。優子さんの生活の時間もあるでしょうから」
「生活……?」
「そうです」
言われてみれば全く考えてなかった。
「とりあえず半年は大丈夫よ」
「半年!?」
「言ってなかったけ。私がこっちきて、半年くらいいたんだけど、目が覚めたら一晩経って無かったから問題なしよ。だから半年基準」
「そ、そうだったんですね」
驚いた様子のユリィは平穏を取り戻すために深く深呼吸をしている。その姿が可愛らしい。
「時間の流れが違うんですね」
「なのかな?」
お互い頭をかしげるけど答えはでない。なぜなら二回目の事例がないからだ。
「でもそうなのかも知れないね」
そこで頭をよぎったのは有栖川さんの事。彼女もこの世界に来ていた、長い期間だ。なのに問題になった様な事は言ってなかった気がする。
「だからとりあえず半年目処で。そこからはまた考えましょうよ」
問題の先延ばしの様にも見えるけど、私は今ここでリミットを決めてしまうのは嫌だった。
お尻が見えていると時間に囚われてしまう、それはユリィも私も焦ってしまう要因でしかないと思ったから。
「まずはこの旅を楽しみましょう。難しい事を考えるのは後からでいいじゃない」
ユリィも同意してくれたのか「はい」と頷いてくれた。
0
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる