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新たなる始まり
第288話-ボーコリーの思惑-
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「領主がそんな声を出すのは如何なものかと思いますぞ」
諌める様な物言いで私への落胆を露わにするボーコリーに私は面食らっている。
「悪いけどそんな事言われたら誰だってこんな声ぐらい出るわ」
「小領主とは言え領主ですぞ。しっかりして貰わねば、ここに住む者たちが安心出来ませぬ」
「しっかりって……」
私なりに務めているつもりだけど、この相談役としては私はダメらしい。
「良いですかな、先日に引き続き昨日も話しておられましたな、それも楽しそうに」
『楽しそうに』と言った所に力を込めて言われた。引っかかるのはそこらしい。
「先日の話は屋敷内の人間にもいくらかは聞こえております。それが今では噂話として広がっておりますぞ」
「噂……?」
「『フランソワ様は魔法を禁止するのではないか』と」
「そんな事する気はないわ!」
そんなつもりは毛頭ない。勝手な憶測が歩き回っている事につい声を荒げてしまった。
「しかし、昨日あの活動家を招き入れ、楽しそうに談笑しておられましたな」
それは事実だ。主観も客観もない。
「それが何か問題?」
「話の内容を断ろうとも、周りから見れば活動家に寄り添っている様にも見えますな。同じ者が来れば断れば良いでは無いですか。何故招き入れるのか、そして談笑まで……。周りで噂が立つのは当然では無いですかな」
「だから処分だなんてありえないわ」
「だからこそですぞ。フランソワ様が直々に処分令を出される事で、周りの誤解は解けますな」
「私に友達を殺せと命令しろと?」
目の前で私に残酷で不愉快極まりない決断を迫る男は首を縦に振る。
「出来るわけないじゃない」
「それをやるのも領主の務め。領民の不信感あっては領主はやっていけません。それはいずれお父様への不満にも伝わります。ここはお父様の領であり、貴方はそこを任された小領主です」
「納得行かないわ」
私は睨みつけて返答した。効果はあるのか私には分かりかねる。
「分かりました。そしたら私が一肌脱ぎましょう。貴方はそこから学ばれよ」
「何をする気?」
言葉での返答はない。
ただ、静かに首を横に振った。
「結果を見れば分かってもらえます。この件にフランソワ様は関わっておりませぬ。良いですな?」
「答えになってないわ」
「報告をお待ちください」
そう言い残して部屋の出口へと戻ろうとしていく。
「分かったわ」
部屋から立ち去ろうとするボーコリーは私の方へ振り返った。
「私がやるわ。それでいいんでしょう」
「流石はフランソワ様。これは成長なされますな」
子どもの成長を喜ぶ様にボーコリーは喜んでいる。
私としてはその向けられた感情は受け入れ難いものでしか無かった。
諌める様な物言いで私への落胆を露わにするボーコリーに私は面食らっている。
「悪いけどそんな事言われたら誰だってこんな声ぐらい出るわ」
「小領主とは言え領主ですぞ。しっかりして貰わねば、ここに住む者たちが安心出来ませぬ」
「しっかりって……」
私なりに務めているつもりだけど、この相談役としては私はダメらしい。
「良いですかな、先日に引き続き昨日も話しておられましたな、それも楽しそうに」
『楽しそうに』と言った所に力を込めて言われた。引っかかるのはそこらしい。
「先日の話は屋敷内の人間にもいくらかは聞こえております。それが今では噂話として広がっておりますぞ」
「噂……?」
「『フランソワ様は魔法を禁止するのではないか』と」
「そんな事する気はないわ!」
そんなつもりは毛頭ない。勝手な憶測が歩き回っている事につい声を荒げてしまった。
「しかし、昨日あの活動家を招き入れ、楽しそうに談笑しておられましたな」
それは事実だ。主観も客観もない。
「それが何か問題?」
「話の内容を断ろうとも、周りから見れば活動家に寄り添っている様にも見えますな。同じ者が来れば断れば良いでは無いですか。何故招き入れるのか、そして談笑まで……。周りで噂が立つのは当然では無いですかな」
「だから処分だなんてありえないわ」
「だからこそですぞ。フランソワ様が直々に処分令を出される事で、周りの誤解は解けますな」
「私に友達を殺せと命令しろと?」
目の前で私に残酷で不愉快極まりない決断を迫る男は首を縦に振る。
「出来るわけないじゃない」
「それをやるのも領主の務め。領民の不信感あっては領主はやっていけません。それはいずれお父様への不満にも伝わります。ここはお父様の領であり、貴方はそこを任された小領主です」
「納得行かないわ」
私は睨みつけて返答した。効果はあるのか私には分かりかねる。
「分かりました。そしたら私が一肌脱ぎましょう。貴方はそこから学ばれよ」
「何をする気?」
言葉での返答はない。
ただ、静かに首を横に振った。
「結果を見れば分かってもらえます。この件にフランソワ様は関わっておりませぬ。良いですな?」
「答えになってないわ」
「報告をお待ちください」
そう言い残して部屋の出口へと戻ろうとしていく。
「分かったわ」
部屋から立ち去ろうとするボーコリーは私の方へ振り返った。
「私がやるわ。それでいいんでしょう」
「流石はフランソワ様。これは成長なされますな」
子どもの成長を喜ぶ様にボーコリーは喜んでいる。
私としてはその向けられた感情は受け入れ難いものでしか無かった。
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