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新たなる始まり
第284話-再会の騎士団-
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一旦部屋を出たフランソワがしばらくして戻ってきた。片手には何かが入った袋を持っている。
それを目の前の机に置くと金属同士が擦れる音が聞こえた。
「これは優子に返すものよ」
どうやら私の物らしいけど思い当たりがない。いや、むしろ私のものなどないはずなんだけど。
袋を開けるとそこには硬貨が詰まっていた。一応私もフランソワとしてこの世界で短い間だけど過ごした。
だからこの量のお金がどれほどのものかは見当はつく。
「なんでこれが私に?」
「覚えてないの? ガルド公からの贈り物よ」
思い返してみる。確かガルド城の地下で見つけものをしたはずだ。その時にユリが騎士になった。
そこまで記憶を掘り起こしてガルド公の言っていた事を捻り出した。
「あー。確かに貰ったかも。でもそれはフランソワが受け取った物だし」
「それをしたのは貴方じゃない。私このお金には手をつけるのはあんまりいい気はしなかったから一切手をつけてないの。それにこれは一部だから。追加が必要なら言って。まぁ貴方がこの世界に滞在する短い間なら贅沢しても無くならないわ。むしろこの領地内で使って経済を回してくれるのが嬉しいわね」
「さらっと領主っぽい事言うなぁ」
「小だけど領主なもので……。まぁそれは冗談としても、実際持っておくと経済回らないし使ってしまって欲しいわ。それは本音」
確かに使われないまま置いておくなら勿体無いことこの上ない。箪笥貯金で経済が回らないのと一緒だ。
「そう言う事なら受け取る。助かるし」
「どこに行って、何をするにしてもお金はあって困るものじゃないわ」
フランソワの言う通りだ。無くて困る事はあれど、あって困る事はそうそう無いはずだ。
「それじゃ有り難く。それともし使いきれない分があったらそれはフランソワの領地に寄付するわ。それでいい?」
「分かった。そのつもりでいるわ」
お互いが納得する形でお金の行く先は決まった。
確かにこの世界に来てずっとユリィにおんぶに抱っこでは情けない。このお金は今の私にはまさしく必要なものだったのかも知れない。
「後これもね」
そう言って自分の首裏に手を回して、巻いてあるものを取って私の前に置いた。
「懐かしいなぁ」
それは同じくガルド城で貰った指輪だ。
確かに私はそれをネックレスの様にしていた。
「これも私に?」
「えぇ。これも貴方のもの。本当はもっと返すべきものがいっぱいあると思うんだけどね」
どこか儚げさを漂わせながら言うフランソワは普段の二割増しで美人さにレベルが掛かっている。
強気な女の子が時折見せる弱さはギャップ故に心を唆られてしまう。
「そろそろ来るかしらね」
フランソワがそう言ったと同時に扉がノックされた。
「フランソワ様入ります」
フランソワの「どうぞ」と言う返答と同時に扉が開いた。
ただ、私は扉が開く前にその声の主には心当たりがあった。
「フランソワ様、失礼します。会わせたい人と言うのは?」
「お嬢の急な呼び出しは碌な話じゃないからな」
「ヤン先輩は相変わらず言いたいこと言いますね」
「それが先輩らしい様な気がするっすね」
順に入ってくるその顔は忘れることのない面々。
私の知っている顔つきよりも大人びたその姿に感極まってしまう。
「アル! ヤン! ユリィ! オーラン!」
それを目の前の机に置くと金属同士が擦れる音が聞こえた。
「これは優子に返すものよ」
どうやら私の物らしいけど思い当たりがない。いや、むしろ私のものなどないはずなんだけど。
袋を開けるとそこには硬貨が詰まっていた。一応私もフランソワとしてこの世界で短い間だけど過ごした。
だからこの量のお金がどれほどのものかは見当はつく。
「なんでこれが私に?」
「覚えてないの? ガルド公からの贈り物よ」
思い返してみる。確かガルド城の地下で見つけものをしたはずだ。その時にユリが騎士になった。
そこまで記憶を掘り起こしてガルド公の言っていた事を捻り出した。
「あー。確かに貰ったかも。でもそれはフランソワが受け取った物だし」
「それをしたのは貴方じゃない。私このお金には手をつけるのはあんまりいい気はしなかったから一切手をつけてないの。それにこれは一部だから。追加が必要なら言って。まぁ貴方がこの世界に滞在する短い間なら贅沢しても無くならないわ。むしろこの領地内で使って経済を回してくれるのが嬉しいわね」
「さらっと領主っぽい事言うなぁ」
「小だけど領主なもので……。まぁそれは冗談としても、実際持っておくと経済回らないし使ってしまって欲しいわ。それは本音」
確かに使われないまま置いておくなら勿体無いことこの上ない。箪笥貯金で経済が回らないのと一緒だ。
「そう言う事なら受け取る。助かるし」
「どこに行って、何をするにしてもお金はあって困るものじゃないわ」
フランソワの言う通りだ。無くて困る事はあれど、あって困る事はそうそう無いはずだ。
「それじゃ有り難く。それともし使いきれない分があったらそれはフランソワの領地に寄付するわ。それでいい?」
「分かった。そのつもりでいるわ」
お互いが納得する形でお金の行く先は決まった。
確かにこの世界に来てずっとユリィにおんぶに抱っこでは情けない。このお金は今の私にはまさしく必要なものだったのかも知れない。
「後これもね」
そう言って自分の首裏に手を回して、巻いてあるものを取って私の前に置いた。
「懐かしいなぁ」
それは同じくガルド城で貰った指輪だ。
確かに私はそれをネックレスの様にしていた。
「これも私に?」
「えぇ。これも貴方のもの。本当はもっと返すべきものがいっぱいあると思うんだけどね」
どこか儚げさを漂わせながら言うフランソワは普段の二割増しで美人さにレベルが掛かっている。
強気な女の子が時折見せる弱さはギャップ故に心を唆られてしまう。
「そろそろ来るかしらね」
フランソワがそう言ったと同時に扉がノックされた。
「フランソワ様入ります」
フランソワの「どうぞ」と言う返答と同時に扉が開いた。
ただ、私は扉が開く前にその声の主には心当たりがあった。
「フランソワ様、失礼します。会わせたい人と言うのは?」
「お嬢の急な呼び出しは碌な話じゃないからな」
「ヤン先輩は相変わらず言いたいこと言いますね」
「それが先輩らしい様な気がするっすね」
順に入ってくるその顔は忘れることのない面々。
私の知っている顔つきよりも大人びたその姿に感極まってしまう。
「アル! ヤン! ユリィ! オーラン!」
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